朝限定の膝の痛み(鍼灸) | 島川はり灸院(院長ブログ)

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堺市ではり灸院を営んでいます。
各疾患別に治療例を紹介しています。
はり灸の話を中心に日記も書いていきます。

こんにちは。

2月に入り寒さもピークです。

寒いと朝も起きにくく私など腰が痛いです。

そこで今日は2月始めに来られた膝痛の患者さんの治験例を

紹介いたします。

患者さんは60代の男性。

主訴は左側の膝痛で朝の間はじっとしていても左膝が重痛く

感じ起立時や歩行時になると痛みが増すとの事。

その他の愁訴は肩こり、腰痛など。

左膝の痛みは20年位前からあるそうで痛みが増すとその都度

温泉やマッサージなどで痛みを誤魔化していたらしいです。

触診ですが左膝には変形や腫脹、熱感は診られませんでした。

また、圧を加えても左膝に痛みは見られません。

しかし、ベットの上でじっとされていても左膝には鈍痛あり。

脈やお腹などを診た結果、虚労寒湿の腎虚と診断いたしました。

治療は胃腸の弱りと腎気の消耗の改善をメインに施しました。

患部の左膝には膝蓋骨の真ん中とその周囲に知熱灸を行なった。

結果、左膝の重痛い違和感がスーと退いていき消失しました。

また、起立時や歩行時での左膝の違和感も完全に取れる。

患者さん「2日後のゴルフコンペに行ける」と大喜びされる。

考察になりますが今回の膝痛の原因の1つは冷えだったといえます。

胃腸が弱る(冷え)と飲食物の消化が完全に行えず不完全な栄養素

(気血)が出来上がります。

不完全な栄養素は肺や心の協力を得て全身をめぐるのですが

完全な栄養素に比べるとスムースには流れません。

そして、老化からくる腎の消耗が肺と心にも影響してさらに栄養素

の流れが悪くなります。

こういった状態が続くと体内の節々に不完全な栄養素が詰りだします。

所謂、気滞といわれるものです。

今回のケースは気滞と外界の冷えが合わさった事が朝限定の膝痛に

繋がっていたのだと思います。

朝一はどうしても体内の気血の巡りが悪いです。

そして、身体を動かしているうちに陽気が体内に流れだし昼頃になる

と気滞の状態が緩和され膝の痛みが一時的に楽になっているのです。

今回の患者さんは過去20年間、膝が悪化もせず良くもならないといっ

た状態を無意識のうちに維持されていたのです。

最後に気の滞り(気滞)が肩に生じれば「肩こり」になります。

同じく、腰に生じれば「腰痛」にもなります。

ですからこの寒湿から生じる気滞は身体の何処にでも起こります。

坐骨神経痛の痛みもこの気滞が原因です。

神経痛症状をお持ちの方の多くは冬の時期に悪化しやすい傾向

があります。

痛みのある患部を温めると痛みが一時的に弱まるといった経験が

あると思います。

これは患部を温めることで気が流れだす事を意味します。

基本、神経痛は冷やすのではなく温めるほうが良いでしょう。

おわり。

 

 

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