久しぶりの更新です。
3月下旬から4月上旬まで仕事が忙しく、
5月はその反動でゆったりモード。
あっというまに6月も終わろうとしている今、
また言葉にしたい気持ちが湧いてきました
ゆったりモードを引きずった結果、
旬が過ぎた話題ですみませんなのですが、
今日紹介したいのは映画『PERFECT DAYS』。
※2024年6月現在、日比谷シャンテで公開中のようです。もう公開終了になりそうなので、お近くの方は急いで下さい〜
簡単にあらすじを紹介しますと、
主人公は役者広司さん演じるトイレ清掃員。
渋谷の公共トイレの清掃の仕事をしています。
おそらく押上あたりのスカイツリーが間近に見える風呂無しの老朽アパートに一人暮らし。
毎朝早朝から、自前で仕事用に改造した箱バンに乗って、仕事に向かいます。
これだけ聞くと、生活困窮者?孤独な高齢者の話?
みたいな想像をするのですが、
主人公の平山さんは毎日とても満ち足りた生活を送っているのです。
それは例えば、
毎朝仕事に向かう時に、
玄関を出て見上げる朝日。
箱バンでかける
大好きな昔の洋楽のカセットテープ。
アパートの寝室にずらりと並ぶ小説。
愛おしそうに育てている盆栽。
そしてお昼の休憩中にいつもの神社で撮る、
木漏れ日の写真。
これは平山さんの日課になっていて、
常に同じ角度から毎日撮影しています。
平山さんの生活は満ち足りていて、
まさにperfect daysなのです。
そんな平山さんの日常に、いくつかの出来事が起こります。それは決して大きな出来事ではないのですが、確実に平山さんの日常に少し変化が起こっていきます。
映画は淡々と、平山さんの一日を繰り返していきます。
本当に超淡々としているので、合わない人は合わない映画だと思いますが、私にはクリーンヒットでした。
映画を観た後のじんわりとした幸福感、
それだけでなく確実にある切なさや寂しさ、
日常への感謝の気持ち、
複雑で、でも心地の良い感情が
さざなみのように止めどなく押し寄せてくる。
私が最近忘れかけていた、似ている感情にさせてくれるものに、北欧の暮らしがあります。
北欧諸国は幸福度ランキングで上位に位置することで有名ですが、私個人の研究の見立てとして、その秘訣は「ない。でも、ある。」という価値観だと思います。
最近、都知事選のニュースと共に、東京都の財源は北欧のスウェーデンとほぼ同等という話をよく聞きますが、
北欧諸国の首都に行っても、煌びやかなビルや設備は少なく、質素で、でも洗練されていて、街にアート作品が溶け込んでいる、そんな場所です。
中心街から少し足を伸ばせば、森があり湖があり、自然がすぐ側にあります。
数年前にスウェーデンの首都ストックホルムに行ったとき、夕方5時頃になると、リュックサックを背負ったビジネスマンたちが、自転車で軽快に帰宅していく光景が印象的でした。
夕刻のストックホルム
最新で派手で煌びやかなものはない。
でも、心を満ち足りた状態にしてくれるものは
たしかにある。
そんな価値観を、北欧の暮らし
そしてこの『PERFECT DAYS』には感じます。
「ない。でも、ある。」
心に留めておきたい、大事な価値観だと
思いました。