皆さま大変ご無沙汰しておりました。

ASKでございます。
 
今年のバンディング(ヒナに標識の足環を付ける調査)もほぼ終了しましたので、ご報告いたします。
 
今年は春の雪解けも早く、シマフクロウの子育て期間中に北海道の各地で過去最高の気温を記録した比較的温暖な繁殖シーズンとなりました。
 
シーズン初めの調査では繁殖失敗の報告が続いたので、今年はダメか…と思っていたのですが、蓋を開けてみれば、こちらも過去最高のヒナ数を確認出来ました!
 
シマボ担当エリアで繁殖成功したつがいの数も過去最高の11つがいで多かったのですが、1つのつがいで2羽のヒナが育っている所も多く、ヒナの数だけ見ると17羽と例年の倍近くの数になりました!
 
今回は新たに発見した繁殖地での営巣が数ヵ所あったり、今まで繁殖成功していなかった巣箱でヒナが出たりと、今後の展開が非常に楽しみな結果となりました。
 
事前調査におけるヒナの成長具合の確認では、
「ありゃ、今にも巣立ちそうです!」
とか、
「2羽とも巣立っちゃってます!」
とか…
 
「突然ですが明日バンディングします!」
となるパターンが多発。
 
今年は各地でヒナの巣立ちのタイミングがほぼ同じ様な感じで、バタバタなバンディングとなってしまった事は今後の課題です。
 
例年だと6月中旬位までは巣立ってない所もあるのですが、今回は初旬位で皆さん外の世界へ飛び出していました!
 
ある営巣地では、2羽のヒナの内1羽だけが手の届かない位置にいてバンディング出来ない所がありました。
 
1週間後にリベンジバンディングをしに行ったのですが、捕獲しようとした瞬間に木の上から100mほど滑空(羽ばたいていたのでほぼ飛んでいました!)してあっさり逃げられてしまいました。
 
着地はまだ不慣れな様で、倒木の根元に降り立った姿のままカポッとはまっていたので無事バンディングはできたのですが、巣立ち後1週間ちょっとでこんなに滑空できるのかと感心しました。
 
うん、逞しいね。
 
場所によっては近くにキツネを見かけたりと心配はつきないのですが、バンディング後の無事を確認できた所も数ヵ所あるし、あとは無事に生き抜いてくれることを願うばかりです。
 
 
ASK
 
(ハカセ注釈)
 今年は環境省事業全体でも25か所36羽に標識し過去最高でした。詳細は以下報道発表資料を参照ください。

http://hokkaido.env.go.jp/kushiro/pre_2019/post_78.html

 生息数が少しづつ増加しているので、標識雛数も毎年少しずつ増加しています。ただし、シマフクロウは繁殖成功率が平均で30%と低く、一回一回の繁殖成功が絶滅を回避するためにとても重要です。生息地に踏みこむことはシマフクロウへの影響があることと、保護関係者の無用な労力を増やすことになりますので、ご理解の上、避けて頂けるよう、重ねてお願い申し上げます。