健気な少女は、大きめの声で、
「私はお母さんの娘です。信じてくれる?」
と問いかける。しかし、結華の耳には届かない。
結華が、もしもし、聞こえないんだけど、何かしゃべって!
と繰り返し物言うのだが少女の声は届かず、電波の乱れが激しくなり、
もういいわよ!と彼女は怒って電話を切った。
「お父さん、私の声、お母さんに聞こえないみたい。
電話、切られちゃった。ゴメンなさい」
少女は悲しくなっておずおずと携帯を隆一に返す。
え?じゃあ、どーすんのよ?これから……
彼は、 状況がさらにヤバくなったことに気付き、急いで彼女にメールを入れる。 冷たい汗が額から流れ落ちる。
結華は、考え込んでしまった。(私の娘?あり得ないわ、やっぱり。話そうと思った私が馬鹿だったわ!どうせ新しい女が出来たに決まってる。私は、彼に裏切られたのよ)辛くて涙が溢れ出す。私なりに、ずっと尽くしてきたのにさ……
隆一は、この気まずすぎる展開に困惑していた。ダメだ!!終わりだ…。その父の苦しむ姿を見て、少女は胸を痛める。
(私が、いけないんだ…)
「お父さん、元気出して。未来を私は知ってるの。お父さんとお母さんは結婚して、私を産むんだよ」
隆一は、(けど、その話、何の論理も根拠もないだろ…、どーしたらいいんだよ?マジで…)と思っている。
その思考の最中、彼女からの携帯の着信音が鳴り響く。
急いで電話に出ると、開口一番、結華は覚悟の言葉を告げた。
「もう、私達別れましょう。その前に、言いたいこと何でも言って」
彼は、雷に打たれたようなショックを受け、何を言って良いか益々分からなくなった。
