. | 少女勅使河原の混沌たる日常
今日で九月が終わる
明日から十月で、今年も後三ヶ月ですぐ来年になってしまう

…早いなあ

なんか全然そんな感じがしない
時間感覚どころか月感覚まで消えちゃったな

十月はハロウィンですね
去年のハロウィンは友達と一緒にカラオケに行ってたような気がする

嫌だよ もうすぐ来年なんて早すぎだろ
今年は何もしない一年だった 部活の先輩と後輩とみんな本当にごめんなさい
本当は帰りたいし戻りたいけど 今更居場所がない場所に一人で帰れるわけない
迎え入れてくれるわけでもないのに、一人で飛び込んでいくような元気は私には備わっていない

まあ全部自分が仕出かしたことでこうなったんだからしょうがない
全部自分が悪い ていうか今になると、もうあのときどうすれば良かったのか分からない

最初は家に残ればよかったな、とか思っていたけど
あのまま家に残っていたら残っていたで凄く辛いことになっただろう

猫とおばあちゃんは元気かな
もーちゃん家に帰ってきたのかな 子猫達はどうなったんだろう
きっとあの父親のことだから、子猫も里親に出さずに全部家に居させているんだろうな

病院にも連れていかずに、猫に薬も飲ませずに毎日ご飯だけやって放置して
偽物の愛で可愛がっているんだろうな

猫に会いたいよ
また前みたいに抱きしめて、一緒に寝たりしたいだけなのに

母親も父親も、いとこの母親もみんなみんな嘘ばっかり吐いてさ
大人なんて嫌い 大っ嫌いだ

担任の先生も、まるで私のことを全部知っているかのように喋ってさ
私の書いた文章と文字を褒めてくれるけど
何も知らないくせに 私が何を思って今ここで暮らしているかも知らないくせに

トラは元気かな
かりんちゃんとさっちゃんは元気にしてるかな

みんなの名前が思い出せなくなってきている自分が嫌い
何も言わないまま居なくなって、助けられなくて、幸せに暮らせなくてごめんね

私があの家で生きろって言われた猫だったら、きっと一人で外に逃げていくだろうと思う
にーくん本当にごめんね 父親に蹴られたりして痛かったよね

ミケちゃんも小雪くんも、病院に連れていかなったからあんな早くに死んじゃったんだよ
私は何回も病院連れていけって、薬毎日飲ませてよって母親に言っていたけど
無力な自分が全部悪かったんだ

みんな私のことなんか嫌いだろうな
もう忘れられているのかな

ずっと前に家に無理やり荷物取りに行かされたときに、かりんちゃんとかに会って触れようとしたけど離れていったことを思い出した
本当に本当にごめんなさい 私のせいでこんなことになったんだ

にーくんごめんね
にーくんはしんどくて危険だったときに、分かっていたのに私は外に遊びに行っていて
さよならを言えなくてごめんなさい

私は最低な奴だ
結局誰も守れなくて、約束すら簡単に破ってしまう

私の左足の太もものところに、なーさんと小雪ちゃんがこたつの中で喧嘩していたときに
引っ掻かれた傷が残ってる 痛かったけどあれは喧嘩真っ最中だったのにこたつで寝ていた私が悪い

でも残っていることが嬉しい
なーさんと小雪ちゃんが私と一緒に暮らしていたことの印みたいで嬉しい

母親はもう忘れているんだろう
にーくんが死んじゃったときに、母親の手の甲に引っ掻いたときに残った傷のことなんて
なんでそう簡単に、全部忘れられるの?

私は忘れたくないよ
私の本当の家のことも、昔のことも、おじいちゃんが元気だったときのことも、
おばあちゃんと家の中で文通しあっていたことも、いとこと一緒にお正月バイトしたことも
近所の幼馴染とかと神社の裏に秘密基地を作ったことも、私が小さくてまだ弟が生まれていないとき家族で遊園地に行ったときのことも、
父親にシャンプーしてもらっていたときのことも、本当は全部忘れたくない

もう忘れたくない
後悔はしたくないけど

けど
一体どうすればいいんだよ

もうわからないよ
バカ

とりあえず今は、いとこの声が聞きたい
多分私のことだから緊張して何も話せないんだろうな

みんなに会いたい