うちの子の成長を感じた瞬間

 

 

 

 

 

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「猫が50年も生きられるように

なるかもしれないんだって」



「そりゃ、飼い主は長く生きてほしいだろうけど」



「猫って、そんなに長く生きたいのかな」




テレビでそういう研究がされてると

知った息子が言った。





「自分勝手だね、人間って」




テレビから視線を外さずに

また息子は言った。




アナウンサーは、

さも素晴らしいことだと言わんばかりに

満面の笑みで猫の寿命を延ばす話をする。




猫の気持ちは二の次である。





「ぼく、そんなに長く生きなくていいや」







命をいじるという

人間の傲慢さを誰に教わるでもなく、

感じ取ったらしい息子。





「古い世代はどんどん死んで、

世代交代しないとね」


 


私は言った。




「ジジイとババアは、どの生き物でも

さっさと死んで、若者に譲らないといけない」



「それが自然の摂理」




私はキッチンで肉を切りながら言った。




「いつか必ず終わりが来るからこそ、

本気で生きなきゃと思う」




「若さは永遠じゃない。

あなたの人生が80年だとしても、

若いのはせいぜい初めの10代から20代まで」




「若いときは何にでもなれるし、

何だって出来るさ」




「どうか楽しんで、若さを」





息子は肉が焼ける匂いを

いい匂いと言いながら、

私の話を聞いていた(と、思う)。





「ぼくは一生懸命、死ぬまで生きるよ」




笑顔が生気に溢れて、

艶々と瑞々しかった。





こんな話をしてくるようになったんだ、と

私は驚きとともに感慨深さを感じた。