「世界99上・下」
 村田沙耶香著

 

 

 

図書館上巻新刊として置かれており、
スレッズの紹介でよく見かけていたため読んだ。


まったく救いのない話。

人は他人と接して、
他人の情報を取り入れて、
競合しようと情報をインストールする。
自分を変化させていくものだと思う。
それが苦しいことであることが”過度に”強調されている。
小説の世界では、
みながその苦しい状態を飲み込んで生きている。

この小説の世界では、
さまざまな気質・階層が悪であるかのように、
統一へ向かっていく。
その思想・方法がグロテスクであり、
気分が悪くなった。

心理描写が多くの読者を納得させるのかもしれないが、
私には嫌悪感で一杯だった。
私は「クリーンな人」である。



この世界人間
「ピョコルン」
という、
パンダ、イルカ、ウサギ、アルパカ
の遺伝子が偶発的に組み合わさって出来上がった生き物
を飼っている。
愛玩以上の役割りを担っていく。
そして
「ラロロリン人」
という遺伝しないDNAを持つ人間を差別・区別している。
日本では、
外人を
「ウエガイコク、シタガイコク」
差別・区別していた。


主人公如月空子(きさらぎそらこ)
生涯を描いている。
空子喜怒哀楽、性格、感情がなかった。
自分を人間そっくりのロボットだと感じていた。

10歳
「小さな分裂を繰り返しながら生きている。」
と理解していた。
相手に呼応しトレースしていた。

35歳では、
世界①②③カテゴリ分けしたそれぞれのグループで、
それに応じたキャラクターを演じていた。
やがて空子
「世界99」
という、
「たくさんの世界で生きている無数の自分をその世界の自分がぼーっと見ている感じ」
世界にずっと生きてきたことに気づく。
そして上巻の最後(35歳)、
ピョコルンラロロリン人衝撃的な出来事があった。
空子の行動はとても気持ちが悪い表現で描かれていた。

下巻49歳の時、
世の中
「恵まれた人、クリーンな人、かわいそうな人」
に別れていた。


どうなるのか下巻は夢中になってどんどん読み進めた。
最後のほうはドキドキしながら読んだが、
50歳で主人公が選択したことは邪魔されることもなくたんたんと進んだ。
それが実行される様子にとても気分が悪くなった。


最後は、
選択後の89歳
世の中は統一に向かって進んでいるようだった。
しかし空子選択後の意識はきちんと持っているようだった。
空子の選択の是非は私には分からない。

 

 

 

 

 

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