私が尊敬する福岡のM先生が、歯周病研究会の講演の中で推奨していた本だ。出光興産の創業者をモデルにしたビジネス小説だが、主人公以外はほぼ実名で登場していて、内容はほぼ史実に基づいたものと考えられる。文献や関連書籍を読まないと、どこまで脚色されているのかは分からない。
 先週土曜日に書店で購入し夕方5時から読み始めて、夕飯をはさんで翌朝4時過ぎまで読み続けた。ほぼ半日で上巻を読破してしまった。夜2時にはいったん寝ようとしたのだが、ストーリーの行方が気になってしまい寝付けなかった。読書でこんな思いをしたのは人生初である。
 M先生は「泣きました」とおっしゃっていたが、いざ自分も読み始めると涙腺が緩みっぱなしであった。気骨のある男というのは、こう人のことを言うのか。こんなスケールの大きな人がいたのか。今スケールの小さい自分はどうすべきなのだろう。単なる成功物語ではない。死のうという思いを何度も乗り越えながら、時の権力に対抗し、自身の魅力で多くの味方を得る。自分の正義を貫く壮絶な主人公の人生を読みながら、様々なことを考えさせられる2冊だった。
海賊とよばれた男 上/講談社
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