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しこうかいブログ

至高を志向し思考し試行することを嗜好する人たちが、快し会し峡し回し介し解しモノゴトを探求する開かれた会

いよいよ解散総選挙が迫ってきました。

各党から政策や公約が発表されています。

今回はその中から『憲法改正』について書いてみます。

 

今回の改憲目的は大きく2つ。

自衛隊の明記と緊急事態条項(緊急政令)の明記

 

他に教育無償化と参議院の合区(2つの県で一つの選挙区)解消がありますが、どちらも憲法に書くようなモノとは思えません。

 

自民党は9月25日、党のHPに下記を掲載しいますので、この記事を元に感想などを書いてみました。

 

自衛隊明記と緊急政令に関する論点を整理憲法改正実現本部が取りまとめ
2024年9月5日


 党憲法改正実現本部は9月2日、選挙困難事態における国会議員の任期特例に加え、早急に取り組むべき憲法改正の重要なテーマとして確認した、自衛隊明記と緊急政令に関する論点整理を取りまとめました
 自衛隊の明記については、平成30年の「条文イメージ(たたき台素案)」の枠組みを前提とすることを確認。第9条との関係を整理する文言(条文イメージ「必要な自衛の措置をとることを妨げず」の部分)と条文の置き場所は引き続き議論していくとしました。

憲法改正に関する議論の状況について 平成30年3月26日
第九条の二 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
(※第9条全体を維持した上で、その次に追加)

[9条2項削除論]
9条2項を削除・改正した上で、陸海空自衛隊を保持し、自衛権行使の範囲については、安全保障基本法で制約することとし、憲法上の制約は設けない。また、シビリアンコントロールに関する規定も置く。これにより、「戦力」や「交戦権」などの9条を巡る積年の懸案を解消すべきとの意見もあった。
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 条文の置き場所は、条文イメージに明記された「第9条の2」を基本的に堅持すべきことを確認する一方、総理や内閣の服務を規定した第5章に規定することも「選択肢の一つとして排除されるものではない」との意見を紹介。第5章への規定を検討する際は、「有事において武力を行使する実力組織としての自衛隊が通常の行政機関として固定されないような表現と条文の置き場所を検討する必要があるとの意見も述べられた」としました。

ーーー〈私見〉ーーー
 自衛隊が法的立場を変えないまま憲法に明記されても、実質的には何も変わらないと思われます。現在の自衛隊は警察とほぼ同様の組織であり、行動はポジティブリストに依るので、行動は著しく制限されています。通常「軍隊」はネガティブリストであり、人道的に許し難い行為や国際法で禁じられている行為だけを制限し、その他のことは如何なる行為も法の規制を受けません。
 なので、警察組織のまま自衛隊が明記されても、行動制限はそのまま残ることになります。最新兵器を用いる戦闘で、攻撃されない限り反撃できないという専守防衛では、一方的にヤラれるだけで勝ち目はありません。そもそも決定的な抑止力(今なら核兵器)を持っていないので、核を持つ国とは戦争はできません。そのことがどれほど外交に影響しているかを考える必要もあります。
 また、諸外国は自衛隊を実力的、体系的には軍隊と見なしていますが、日本の法的には警察組織と同様なので、非常に曖昧な立場であり、どちらにも解釈されてしまうので、相手国に都合よく解釈され、より不利な状況になる懸念もあります。
 例えば、自衛隊が先制攻撃を行えば、専守防衛に違反していると言われ、こちらが丸腰であって攻撃する意思が無かったとしても、軍隊として扱われるので、攻撃されても文句を言えません。自衛隊はとても理不尽な状況に置かれています。
 そして、軍人と民間人(一般国民)とは、法的に異なる存在となります。もっともそれを示すと思われることが、乱暴な言い方をすれば、軍人は殺人を犯しても罪に問われないということです。戦争行為は殺人行為です。それは日本人、外国人を問いません。だからポジティブリストの警察官は正当防衛でも専守防衛でなければなりません。それを守らなければ単に殺人犯です。
 しかし、軍人は国際法の範疇で殺人を犯しても罪に問われません。もちろん、国際法に準じた国内法も整備されていなければなりません。その行動規範はネガティブリストによるので、防衛のための先制攻撃も制限を受けませんし、できうる行為はポジティブリストと比較した場合、大幅に広がります。
 また、戦争行為、すなわち相手を殺害して国を守る行為を行う軍人にも、一般人とは異なる規律・法律が必要です。例えば敵前逃亡や重大な命令違反をした場合は、その場で銃殺刑に処されても人権軽視・違法とはならないこともあります。そのくらい厳しい規律が求められる組織が軍隊ですので、一般の民間人とは異なる立場となります。
 当然ですが、軍人になる人たちは、その厳しい規律を遵守することを認識し、国家のために命を捧げる覚悟で入隊されるわけですから、それなりに優遇されることも当然だと思います。
 これらの事を自衛隊員と国民の双方が理解していなければなりません。

 個人的には自衛隊は軍隊組織として憲法に明記して欲しいと思っていますが、現状を鑑みると非常に苦しい気持ちになります。それは、日米安保と日米地位協定が今のままで、単に自衛隊が憲法に明記されれば、自衛隊は米軍に代わって他国の為に戦わされる懸念があるからです。
 その場合、自衛隊は軍隊とも警察とも言える曖昧な形でそれを実行させられることになってしまう。できれば、法律も整備されて、軍備も国産化し、確実な抑止力を持ち、国内的にも対外的にも軍隊としてからの方が良いし、そうするべきだと思うのですが、今の日本の国力ではアメリカにNoと言えないので、今後トランプ氏が大統領になり、日本は自国で防衛してね。となったとしても、軍備の自国生産や原子力潜水艦や決定的な抑止力を持つ為の交換条件として、自衛隊が米軍の肩代わりすることを要求されるかもしれません。自衛隊を憲法に明記するしないはさほど重要な事ではなく、如何に米国と折り合いを付けながら自立の道を進めるかとうことが最も重要な事だと思いますので、いずれにしても今後の試練に耐える覚悟が私たちには必要だということと思います。
ーーーここまでーーー


 国会による法律制定を待ついとまがない場合に内閣が発出する緊急政令についても、条文イメージの枠組みを前提とし、対象とする緊急事態の類型は大地震その他の異常かつ大規模な災害、武力攻撃、テロ・内乱、感染症まん延等としました
 その上で憲法改正発議のタイミングと憲法に設ける規定の法的性質については、幅広い会派との合意可能性を視野に入れつつ、引き続き議論していくことを確認。
 具体的な議論の方向性として、(1)改憲発議のタイミングを選挙困難事態における国会議員の任期特例とセットで進めるべきか否か(2)法的性質については災害対策基本法等に規定されている法律上の個別的緊急政令の確認規定とするか、それを超えた憲法上での包括的緊急政令の創設規定とするかどうか―を提示しました。

ーーー〈私見〉ーーー
 緊急政令(緊急事態時に内閣が出す法律と同等政令)、これまで緊急事態条項と言っていたモノについては、要件に感染症のまん延が入っている時点で、恣意的に緊急事態とされる懸念が強く、これだけでも賛成できません。更に緊急事態をダシに、内閣に権限を集中させ、それを監視や是正する仕組みも無く、情報統制や行動制限が行われれば、民意を訴えることも困難となり、国会議員の任期延長により選挙も行わないとなると、いよいよ独裁政治となりそれを止める事も難しくなってしまいます。

 東日本大震災もコロナ騒動も、日本は問題なく対処してきました。東日本大震災では、日本人の行動と対応は世界から称賛されました。
 コロナ騒動でも初期段階では、日本はうまく対処できていました。欧米で感染者や死亡者が急増する中、日本では感染者数も少なく、死亡者数もさざ波と言われるくらいでした。

 しかし、今の政府は誰の指示に従ったのか、無意味な感染症対策、自粛や行動制限、マスクの常用とワクチン接種の推進により国民を窮地に追い込んでしまった。自粛や行動規制は多くの中小企業や個人事業主を廃業に追い込み、ワクチン被害者を多数生み出し、ワクチン後遺症で苦しむ国民は今もなお増え続けています。そして、稀に見る死亡数の増加を記録していますが、未だにその検証も行われていない。
 コロナ騒動は、PCR検査で検査陽性者を感染者とするデタラメな感染者数と、直接の死因に関係なく検査陽性者をコロナ死とすることで恐怖を煽り、ワクチン接種を推し進め、結果さらに悪化して今もなお進行形という、政府と官僚による前代未聞の亡国行為です。

 このような状況で内閣に権限を集中し、国民の自由を奪い、人権侵害にも繋がるような愚案に賛成などできるはずはありません。
ーーーここまでーーー


 会合に出席した岸田総裁は「複数のテーマを一括して国民投票にかけるべく議論を加速化させる。その準備が整ってきた」と論点整理の意義を強調。その上で「憲法改正の議論は継続性を持たせることが大事だ。議論の到達点についてはその都度ピン留めし、そこからまた先を目指すという努力を続けていかなければならない」と語り、論点整理を新総裁に引き継ぐ考えを示しました。


まとめ(私見)

 改憲の大きな目的は、自衛隊明記と緊急事態条項ですが、他にも細かい修正が入る可能性があります。自民党の平成24年度案では、様々な条文の改正案が出されていましたが、詳細はあまり知られていないと思います。そこで、24年度案をよくよく見ると、国民にとっては改悪となりそうな所が散見されます。

 石破総理は所信表明演説で、「与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します」と発言されましたが、9月の会合で岸田総理は「複数のテーマを一括して国民投票にかけるべく議論を加速化させる。その準備が整ってきた」と発言されているので、国民的な議論がどの様にどの程度されるのか。非常に疑問です。

 日本が自主独立するためには、国力を上げることは必須であり、世界は「力ずく」である限り、軍備を整え他国と対抗することも必須であると考えたとき、先ず私たち国民はそのことを熟考し覚悟を持たなければなりません。
 その上で改憲案が提示されたときにどう動くのかを考える必要があります。いずれにせよ試練には耐えなければ先に進めませんので、改憲となった場合は、テーマごとの国民投票に持って行くようにしたい。そして、自衛隊明記は覚悟を決めて賛成。緊急事態条項については断固反対。それ以外は出てから要検討ですが、たぶん、反対の方向になると予想します。

 もし、予定通りに一括で国民投票になった場合は、私は拒否したい。緊急事態条項は全てを犠牲にしてでも成立させてはならないと思います。
 軍備は今の自衛隊のままでも拡充する方法はあると考えられますが、行動制限、言論統制を独裁的にヤラれたら、これはかなり厳しい状況と成らざるを得ません。