3月11日。

突然の激しい揺れが襲った。

商品棚が激しく揺れる。倒れないようにおさえながら

お客様の誘導を促す。



なんとか怪我人はなく、備品が倒れた程度でおさまったが、

情報を得ようとしてもなかなかネットに繋がらない。



やっと繋がって、震源地の被害状況が伝えられるうちに

とてつもない何かが起こっていることに気付き、得体の知れない

恐怖が襲って来た。





その後、阪神大震災をも超える「未曾有」の大災害の全容が一部ずつ

ではあるが伝えられてきた。



僕の知っている長閑で海と一体になった景色が素晴らしいリアス式海岸は

見る影もなかった。



黒い波が街を襲う映像は、映画を見ているような――いや、映画でも

想像できなかったであろう――感覚で、リアリティが伴わなかった。



我に返ったのは、被害に遭われた方の悲しみに暮れるインタビューや、

後に残った幸せだった生活を示す日常品や思い出の品の残骸を見てである。




僕達が経験したことも見聞きしたこともない大災害。

まさに未曾有の大災害に直面し、もちろんテレビの中の出来事ではないことは

分かっている。何かしなければ、という気持ちもある。



だけど、テレビの人は「支援物資は行き渡りつつある」と言っているし、

「ボランティアは今は必要ない」とも言っている。




僕はつい、「支援物資も足りそうで、ボランティアの必要もないなら、今は

何もできないな」と「やらない理由」を考えてしまった。