主治医は、どこか浮かない様子で私に告げる。
主治医『しっきぃさん・・・申訳ありません・・・』
私『・・・・え・・・・?』
主治医『今日は予定通り、しっきぃさんの脱血処置を行う予定だったのですが・・・』
私『は、はい、そうですよね。・・・何か、私に問題でも・・・!?』
主治医『あ、いえ・・・そういう事ではありません。実は、お母様の容態が安定していないんです。』
----と、すみません。
えー、一部映像が乱れてしまいました・・・??
大変失礼いたしました。。。。
昨日、母の体内へ弟の新鮮な血液を入れ、一時的に容態は悪化した。
心拍数、脈拍、酸素供給数値・・・すべて。
でも、それは自分以外の血液が入ることで起こる化学反応だと、
前もって説明されていたのでまた、容態は回復するのだと思っていた。
しかし、あくまでも予定は予定。
機械を相手にしているのではなく、生身のニンゲンなのだ。
予定通りに行かなくて当たり前。
輸血は本来、本体(母)の血圧や心拍数、酸素供給が安定していなくてはならない。
なので、結論としては・・・・
主治医『お母様のペースに合わせた治療を優先したいので、ゆうべ薬を服用してもらったのですけど・・・受け入れられない状態なので、今日は見送りということにさせてもらえないでしょうか。』
私『・・・ああ、そういう事でしたか!!ぜんっぜんオッケーですよ(*'ω'*)!母を思っての内容ですし、むしろ安心しました(笑)』
主治医『お仕事のご都合もあるでしょうし、本当に申し訳ありませんでした』
私『先生、謝らないでください。仕事なんて、母のことに比べれば大したことないんです。他にもスタッフがいるんで、仕事はなんとかなります。でもドナーは特別でしょ?私たちにしかできないことは、なんとしても優先させたいですから。では、母の容態が落ち着いたらもう一度準備ということで宜しいんですよね??』
主治医『はい、そういう事です。明日、午前中になんらかのご連絡させていただきますね。明日、お母様の容態が落ち着いていれば、しっきぃさんの脱血処置を行います。本当によくご理解いただいて大変感謝していますm(_ _"m)』
私『助けたい思いはみんな一緒ですから(笑)では、明日ご連絡お待ちしています』
私はひとまず父へ簡単に経緯を説明し、
薬の影響もあり殆ど睡眠がとれていなかったため、
明日の処置に備えて休暇をもらうことにした。
その夜、母へ面会に出向いた。
母は、相変わらず目をうっすらと開けている。
しかし、意識が薄いようで・・・少々反応が乏しかった。
ちょうどICU担当医が来てくれたので、私に簡単な説明をしてくれた。
ICU担当医『午前中は全体的に数値が低く、顆粒球輸血に踏み込めなかったのですが・・・、夕方から徐々に回復してきていますので、このまま行ってくれれば明日は予定通り、処置できそうですよ^^』
おかーさん、すごいよ。
おかーさんが頑張ってるから私も頑張れるよ。
明日は私の血液を輸血してまたしんどくなるかもしれないけど・・・
次こそは肺炎、治るといいね。
ICU担当医『あ、あと嬉しいニュースがありますよ』
私『えっ??な、なんですか!?』
ICU担当医『安定してきたので、先ほど血液を採血して、血球中の数値をみたのですが・・・お母様の体内に、白血球の赤ちゃんが5個産まれてました。お母さま自身で治そうとするチカラが芽生えたってことです。』
私『・・・・・・!!』
泣き崩れた。
すごくすごく嬉しかった。
なんて言っていいのか言葉が出ず、緊張の糸が切れたような感覚に陥った・・・・
ICU担当医『弟さんの顆粒球を入れたことにより、白血球と血小板数値が少し上昇、肺炎数値は少し下がりました。時間がたってしまっているので、弟さんの白血球をすべて使い切ってしまったため・・・また元の数値に戻ってしまったのですけど、元々が『10』だったのが今は『15』になってるんです^^』
健康な人ならば、白血球数値7000~8000程あるのに対し
母は「15」しかない。だから、肺炎を治せずにいる。
白血球が少ないから、自分の体内にある億単位の菌をコントロールできずにいる。
弱毒菌をやっつけるチカラさえもない。
でも、自分の白血球が生まれてきたってことは、希望が出てきたという事!
私は病院を出てすぐ、父へ連絡を入れた。
5月10日(水)。
朝、私のケータイへ主治医からのコール。
母の容態が安定期に入ったため、これからすぐに病院へ来てほしいと言われた。
脱血の準備を行いたいのだという。
会社を抜けて、すぐ向かった。
昨日は体感的に辛かった症状も、今日はバッチリだった。
しっかり眠れたし、若干腰の鈍い痛みがあるだけで、特に問題はない。
痛み止めのテープを貼り、2本目の白血球増力剤を左肩へ注射。
時間が経ってしまっているので、念のため打つことにしたようだ。
2~3時間ほどで効果があらわれてくるので、
12時半より脱血処置を開始すると言われた。
時間をつぶすため、病院内にあるレストランでひたすら
タブレットをパチパチとタイピング。
ここぞとばかりに、ブログを書き貯めていた(笑)
・
・
・
時間になり、いよいよ処置開始。
かちゃかちゃと、機材を運び始めセッティングし始める。
主治医の右手には注射器??のようなものが・・・・、
ふ、ふ、・・・
太っ!!!!
めっちゃ太い針!!
まさにドドリアさんのような心境でした。
こ、これを刺すんですね・・・ゴクリ。
左腕はストレートに1本、右腕は3か所ぶち込まれた。
右腕はうまく血管が出てこず、右手の甲より刺す。
つまり、こんな感じ(。-∀-)
後ろの洗濯物はスルーしてくださいwww\(^o^)/
いたそーって思ったけど、
言うほど痛くありませんでした(*ノωノ)w←●ゾじゃないYO☆
女は痛みに耐えれるようにできてるんですね。感謝感謝♪
脱血中の状況をスマホで撮影したかったのだけど
両腕に極太針が刺さったままだったので
身動き取れず・・・・_(:3 」∠ )_w
とりあえず、脱血中の状態としては・・・
寒さ!
血液を抜くと、血圧と体温が下がるようです。
ガチガチと唇が震えはじめ、
膝もガクガクと震えはじめました。
電気毛布を用意してくれたので、寒さはなんとか軽減。
舌がしびれる!
医療的説明を聞くのを忘れたのだけど、
献血中ならだれでも起こる当たり前の現象なんだそう。
装着完了後、おねいさんと楽しくおしゃべりできていたので
これは特に問題なかったようだ。
とにかく摂れる!搾れる!!
弟の時もそうだったらしいが、血液が良く摂れる家系だと褒められた(笑)
どんなに若く健康な人に、同じ処置を施したとしても
なかなか摂れない人も居るのだそう。
弟は途中、血液の流動が止まったりしていたので時間がかかったようだが
私の血管は太く健康であるため、血圧も安定しており・・・
作業を中断することなく、脱血時間は2時間ほどで完了。
弟とほぼ同じ量が摂れたらしい。
きっと、ドーピング2回してるからだな(*ノωノ)w
終わった後、特にふらつくこともなく・・・
直帰してよい、との事だったので、
自分で車を運転し、晩御飯にマクド買って帰りました(笑)
今夜、母を苦しめている肺炎ウイルスとの闘いが始まる。
私の血液は優秀だから←
肺炎をやっつけた後は速やかに消滅してくれるだろう(笑)
でも・・・ひとつだけ気がかりなことが(´・ω・`)
私の血液、優秀なんだけどかなり気が強いから・・・・
おかーさんの体内で暴れすぎないかが不安だったりもする(;´Д`)w
考えていても、しゃーない。
その日の夜は、早めの就寝をした。