イチナナサンイチロク-母が骨髄異形成症候群になった日- -5ページ目

イチナナサンイチロク-母が骨髄異形成症候群になった日-

2017年3月16日、母が60歳で骨髄異形成症候群と診断された日をブログタイトルにしました。発症してから日が浅いので、治療はこれからですが、母が完治に至るまでの経緯を記録として残したいと強く願い、書こうと思いました。

主治医は、どこか浮かない様子で私に告げる。

主治医『しっきぃさん・・・申訳ありません・・・』
私『・・・・え・・・・?』
主治医『今日は予定通り、しっきぃさんの脱血処置を行う予定だったのですが・・・』
私『は、はい、そうですよね。・・・何か、私に問題でも・・・!?』
主治医『あ、いえ・・・そういう事ではありません。実は、お母様の容態が安定していないんです。』
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----と、すみません。
えー、一部映像が乱れてしまいました・・・??
大変失礼いたしました。。。。

昨日、母の体内へ弟の新鮮な血液を入れ、一時的に容態は悪化した。
心拍数、脈拍、酸素供給数値・・・すべて。
でも、それは自分以外の血液が入ることで起こる化学反応だと、
前もって説明されていたのでまた、容態は回復するのだと思っていた。
しかし、あくまでも予定は予定。
機械を相手にしているのではなく、生身のニンゲンなのだ。
予定通りに行かなくて当たり前。
輸血は本来、本体(母)の血圧や心拍数、酸素供給が安定していなくてはならない。
なので、結論としては・・・・

主治医『お母様のペースに合わせた治療を優先したいので、ゆうべ薬を服用してもらったのですけど・・・受け入れられない状態なので、今日は見送りということにさせてもらえないでしょうか。』
私『・・・ああ、そういう事でしたか!!ぜんっぜんオッケーですよ(*'ω'*)!母を思っての内容ですし、むしろ安心しました(笑)』
主治医『お仕事のご都合もあるでしょうし、本当に申し訳ありませんでした』
私『先生、謝らないでください。仕事なんて、母のことに比べれば大したことないんです。他にもスタッフがいるんで、仕事はなんとかなります。でもドナーは特別でしょ?私たちにしかできないことは、なんとしても優先させたいですから。では、母の容態が落ち着いたらもう一度準備ということで宜しいんですよね??』
主治医『はい、そういう事です。明日、午前中になんらかのご連絡させていただきますね。明日、お母様の容態が落ち着いていれば、しっきぃさんの脱血処置を行います。本当によくご理解いただいて大変感謝していますm(_ _"m)』
私『助けたい思いはみんな一緒ですから(笑)では、明日ご連絡お待ちしています』

私はひとまず父へ簡単に経緯を説明し、
薬の影響もあり殆ど睡眠がとれていなかったため、
明日の処置に備えて休暇をもらうことにした。

その夜、母へ面会に出向いた。

母は、相変わらず目をうっすらと開けている。
しかし、意識が薄いようで・・・少々反応が乏しかった。

ちょうどICU担当医が来てくれたので、私に簡単な説明をしてくれた。

ICU担当医『午前中は全体的に数値が低く、顆粒球輸血に踏み込めなかったのですが・・・、夕方から徐々に回復してきていますので、このまま行ってくれれば明日は予定通り、処置できそうですよ^^』

おかーさん、すごいよ。
おかーさんが頑張ってるから私も頑張れるよ。
明日は私の血液を輸血してまたしんどくなるかもしれないけど・・・
次こそは肺炎、治るといいね。

ICU担当医『あ、あと嬉しいニュースがありますよ』
私『えっ??な、なんですか!?』
ICU担当医『安定してきたので、先ほど血液を採血して、血球中の数値をみたのですが・・・お母様の体内に、白血球の赤ちゃんが5個産まれてました。お母さま自身で治そうとするチカラが芽生えたってことです。』
私『・・・・・・!!』

泣き崩れた。
すごくすごく嬉しかった。
なんて言っていいのか言葉が出ず、緊張の糸が切れたような感覚に陥った・・・・

ICU担当医『弟さんの顆粒球を入れたことにより、白血球と血小板数値が少し上昇、肺炎数値は少し下がりました。時間がたってしまっているので、弟さんの白血球をすべて使い切ってしまったため・・・また元の数値に戻ってしまったのですけど、元々が『10』だったのが今は『15』になってるんです^^』

健康な人ならば、白血球数値7000~8000程あるのに対し
母は「15」しかない。だから、肺炎を治せずにいる。
白血球が少ないから、自分の体内にある億単位の菌をコントロールできずにいる。
弱毒菌をやっつけるチカラさえもない。
でも、自分の白血球が生まれてきたってことは、希望が出てきたという事!

私は病院を出てすぐ、父へ連絡を入れた。

5月10日(水)。
朝、私のケータイへ主治医からのコール。
母の容態が安定期に入ったため、これからすぐに病院へ来てほしいと言われた。
脱血の準備を行いたいのだという。
会社を抜けて、すぐ向かった。

昨日は体感的に辛かった症状も、今日はバッチリだった。
しっかり眠れたし、若干腰の鈍い痛みがあるだけで、特に問題はない。

痛み止めのテープを貼り、2本目の白血球増力剤を左肩へ注射。
時間が経ってしまっているので、念のため打つことにしたようだ。

2~3時間ほどで効果があらわれてくるので、
12時半より脱血処置を開始すると言われた。

時間をつぶすため、病院内にあるレストランでひたすら
タブレットをパチパチとタイピング。
ここぞとばかりに、ブログを書き貯めていた(笑)





時間になり、いよいよ処置開始。
かちゃかちゃと、機材を運び始めセッティングし始める。
主治医の右手には注射器??のようなものが・・・・、

ふ、ふ、・・・
太っ!!!!
めっちゃ太い針!!
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まさにドドリアさんのような心境でした。

こ、これを刺すんですね・・・ゴクリ。
左腕はストレートに1本、右腕は3か所ぶち込まれた。
右腕はうまく血管が出てこず、右手の甲より刺す。
つまり、こんな感じ(。-∀-)
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後ろの洗濯物はスルーしてくださいwww\(^o^)/

いたそーって思ったけど、
言うほど痛くありませんでした(*ノωノ)w←●ゾじゃないYO☆
女は痛みに耐えれるようにできてるんですね。感謝感謝♪

脱血中の状況をスマホで撮影したかったのだけど
両腕に極太針が刺さったままだったので
身動き取れず・・・・_(:3 」∠ )_w

とりあえず、脱血中の状態としては・・・

寒さ!
血液を抜くと、血圧と体温が下がるようです。
ガチガチと唇が震えはじめ、
膝もガクガクと震えはじめました。
電気毛布を用意してくれたので、寒さはなんとか軽減。

舌がしびれる!
医療的説明を聞くのを忘れたのだけど、
献血中ならだれでも起こる当たり前の現象なんだそう。
装着完了後、おねいさんと楽しくおしゃべりできていたので
これは特に問題なかったようだ。

とにかく摂れる!搾れる!!
弟の時もそうだったらしいが、血液が良く摂れる家系だと褒められた(笑)
どんなに若く健康な人に、同じ処置を施したとしても
なかなか摂れない人も居るのだそう。
弟は途中、血液の流動が止まったりしていたので時間がかかったようだが
私の血管は太く健康であるため、血圧も安定しており・・・
作業を中断することなく、脱血時間は2時間ほどで完了。
弟とほぼ同じ量が摂れたらしい。
きっと、ドーピング2回してるからだな(*ノωノ)w

終わった後、特にふらつくこともなく・・・
直帰してよい、との事だったので、
自分で車を運転し、晩御飯にマクド買って帰りました(笑)

今夜、母を苦しめている肺炎ウイルスとの闘いが始まる。
私の血液は優秀だから←
肺炎をやっつけた後は速やかに消滅してくれるだろう(笑)

でも・・・ひとつだけ気がかりなことが(´・ω・`)
私の血液、優秀なんだけどかなり気が強いから・・・・
おかーさんの体内で暴れすぎないかが不安だったりもする(;´Д`)w

考えていても、しゃーない。
その日の夜は、早めの就寝をした。
 

 

5月9日(火)、時刻は21時。

次なる攻撃をしかけるべく、
白血球零号機操縦士の私は
碇指令(主治医)の元へやってきた。

左肩をあらわにした私を前に、
右手に白血球増力剤を持ちながら
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いや、主治医は
こんなセリフ
言ってないですYO!

でもまぁこんなニュアンスのようなことを言ってました。

要は『お母様を一刻も早く治しましょうね』ってことです。←

ステロイドを2錠のみ、注射器によるドーピングが終わったのち、
少しだけ、おかーさんに会えるかな・・・と思い、
集中治療部へ足を運んだ。

ICUのインターフォンを鳴らす。

ICU『はい、ICUです』
私『あ、夜分にすみません・・・少しだけ母に会いたくて来たのですけど、無理でしょうか??』
ICU『あ、はい娘さんですね。大丈夫ですよ、どうぞお入りください^^』

夜9時回っているため、病室内は消灯していた。
母の病室のみ電気がついていた。
きっと、私が面会に来たのでわざわざ付けてくれたのだろう。
母を起こしてしまったと思い少し申し訳なく感じたが、
入室前にガウンなど着用したのち・・・静かに入室した。

私『・・・・あれっ?』

母はうつぶせで寝かされていたのに、
仰向けに寝かされていた。

私『・・・おかーさーん・・・お邪魔しまぁす・・・』

母はうっすらと目をあけていた!
ちょっとびびった・・・・(笑)

私『おかーさん、起こしちゃった??ごめんね、こんな夜遅くに・・・』
母『・・・・・(またたきを何度かしている)』
私『おかーさん、今日から仰向けに寝てるんだね・・・』
母『・・・・(目を閉じる)』
私『仰向けで寝れるってことは、肺にたまってた水が抜けたのかな・・・』
母『・・・・・(目をきょろきょろしている)』
私『今日は弟の血液がおかーさんの体内に入ったんやで。これで肺炎をやっつけるんだって!私らもおかーさんの治療に協力できるんよ??明日は私の血液がおかーさんを助けるからね。一緒に頑張ろうね・・・』
母『・・・・・(目を見開きながら、うんうん、と頷き返してくれた)』

看護師さんが入室してきた。

看護師『ちょっと点滴の交換させてもらいますね~。お母様、今朝から意識が戻ってるんですよ♪』
私『あ、そうだったんですか!じゃあ、麻酔は効いてないから意識が浮上してるんですね・・・!』
看護師『そうなんです^^麻酔が切れた分、おクチの管が痛いかもしれないので、様子を診ながら痛みを緩和させるような処置になります・・・今はちょうど切れてますので、起きてますね~^^』
私『そうですよね。こんな太い管が喉の奥にあったら・・・・おえってなりそう(>_<)』
看護師『面会が終わったら麻酔入れますので意識がぼんやりになっちゃいますが、今のうちにお声を沢山聞かせてあげてくださいね(*'▽')』
私『あ、先ほど少し喋りましたし、痛いのも辛いと思いますのでそろそろお暇しますm(_ _"m)お気遣いありがとうございます!』
看護師『いえいえ^^今日は注射打ったんですよね??夜、寝づらいと思いますが・・・明日に備えて、可能な限りゆっくり休んでくださいね♪』
私『ありがとうございます。失礼します┏○))ペコ』


その夜。
私の体の中で覚醒が起き始める。

マリオカートで例えるなら、
両手に赤のカメの甲羅を所持しつつスーパースター状態(一定時間無敵)で
怖いもの無しのままレインボーロードを爆走中なイメージ⊂⌒~⊃。Д。)⊃www
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んー懐かしい!!よく遊んだわ、コレ。スーファミのやつね(笑)

症状としては・・・・、
まず、腰のあたりがすっごい疼く!!!
生理痛の重たいやつ・・・男性にはわかりづらいか(;'∀')
鈍器・・・いや鋭利な物で腰をぐりぐりされてるような感覚??
とにかく骨髄があるであろう場所が痙攣しっぱなし。
血球が量産されているのだろう(笑)

そして下半身の痺れ!
んと・・・長時間正座してたらビリビリくるような、あんな感じ。
そしてこむら返りが起こりそうなほど足の筋肉が張っている(笑)
歩くと剣山の上歩いてるようで足の裏がチクチクと痛む('A`)

若干の息苦しさ。
興奮してる状態だから、しゃーないか・・・
変態さんが『ハァハァ』してる情景を思い浮かべてください(笑)

喉の不快感!
魚の骨、喉にささったことあります?^^;
あんな感じで、唾飲み込むと違和感アリアリで気持ち悪かったです。
痛くはありませんでした。

大量の発汗!!!
これが一番参りました_(:3 」∠ )_・・・・
眠りが浅いようで何度か目が覚めて起きるのだけど、
全身汗びっしょりなんですわ。
3回ほど起きたかな・・・・よく覚えてないけど(笑)

自分の汗でひんやりと体が何度も冷えたので、
大事な献血が控えてるのに風邪ひかないかヒヤヒヤモノでした。





よく寝付けないまま、再びNERV(-ネルフ-)へ向かう。←しつこいか(笑)

主治医に呼ばれ、診察室へ入った私は・・・
予想だにしていなかったことを主治医より通告されてしまった。

 

 

ついに、母の肺を蝕むウイルスが断定した。

弱毒菌と呼ばれる『マルトフィリア』。
この菌は環境に存在し、極めて発見しにくい菌であり、
主に水回りに存在するらしい。
感染経路としてはヒトからヒトではなく・・・・
カテーテルや医療器具、
抗生物質などの薬物の中に微量だが存在するようだ。

では、母は院内感染だったのか??

正直なところ、カテーテルやその他医療器具、
どの抗生物質にマルトフィリアが付着していたのか
特定が非常に困難であると説明された。
可能性がある、という仮定の話なので
院内感染ではないのかもしれない。

ただ、抗がん剤治療を始める前に医師から説明はあった。
『お母様は一時的に白血球が減るので、感染症になりやすい』と。
おそらくこのとき示唆していた感染症とは、
弱毒菌に侵されやすくなることなのだと悟った。

医師は説明する。
『外部からの強い毒性をもったウイルスならば、毎日抗生物質を投与していたので細菌が体内へ侵入したとしても、すぐ死滅します。しかし、中には抗生物質が効かない菌もいるんです。これにかかると、自身の白血球でしか治す方法がありません』

肺炎のウイルスも色々種類があるようだが
母が今回患ってしまったのは『マルトフィリア』であり、
抗生物質に対して耐性のあるウイルス。
しかも感染すれば致死性が高いとはっきり言われた。
治すには自身の白血球を以って治す以外治療法はなく・・・
尚且つ、元々の病状が『骨髄異形成症候群』なため、
血球数値が正常ではない・・・・。

そこで、荒療治として健康な白血球を輸血し、母の体内へ注入。
いわゆる『白血球の増援』を行うのだ。

先日の記事にも書いたが、
これは日本では普及していない治療法であり、リスクもある。
白血球は本来、骨髄移植をして生産されるもの・・・
しかし、ドナーが見つからず肺炎が発症してしまった現在、
待っている余裕が無い。

マルトフィリア(大魔王バラモス)討伐の為
ドナーに選ばれし3血士(さんけつし)たちは、見事試練をクリア。

マルトフィリアのいる最終ダンジョンへ向かうべく、
攻略に向かうための下準備に取り掛かった。
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『顆粒球輸血(かりゅうきゅうゆけつ』
マルトフィリア討伐スケジュールは、下記の通りである。

5月8日(月)夜21時。
白血球初号機操縦士の弟へ、白血球増力剤を注射。
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ステロイド2錠服用。その後帰宅。

夜、全身筋肉痛が起き興奮状態にあり(覚醒!?)
なかなか寝付けないまま夜を過ごし、
朝9時になり初号機はNERV-ネルフ-(つまり血液内科外来)へ訪問。

およそ5時間激闘の末、無事に脱血処置完了・・・・・。
弟はおよそ13か所極太注射をぶっさされ(肉厚体型だったので)、
血管が細いため脱血スピードを落としながらの処置になったとの事。

その後白血球初号機の血液は放射線を照射され、浄化。
母の体内へ侵入。。。マルトフィリア討伐へ向けて始動した。

母の容態が一時的に低下。
体の中で、大魔王バラモス vs 初号機のバトルが繰り広げられていた。
心拍数、血圧、酸素濃度が下がりはじめるも。。。

戦闘結果は、
CRP値(肺炎):36→28、
白血球:10→350
血小板:9000→27000。

顆粒球を入れたことにより、数値は少々ではあるが回復!!
臨床は成功したと言える。
が、しかし・・・まだまだ大魔王バラモスの勢力は強いままである。
追い打ちをかけるべく、次は白血球零号機(私)を始動することとなった。


※ドラクエとエヴァのみっくす文章で混乱した内容となりすみませんでした※
 

 

5月8日(月)AM9時過ぎ。
慌ただしい職場の中、私の携帯が鳴る。

私『はい、もしもし』
先生『おはようございます。今、少しお時間大丈夫でしょうか??』
私『はい、大丈夫です。どうされましたか??』
先生『実は頼みたいことがありまして・・・急で申し訳ないのですが、娘さんと、弟さんと、娘さんの旦那様に血液提供の協力を申し出たいのです。できれば娘さんだけではなく、3名様一緒に来てもらいたくて。詳しいことは病院でお話しさせてもらいたいのですけど、来ていただけませんか??』
私『わかりました!何時ごろお伺いすればいいですか?』
先生『昼1時頃、都合大丈夫ですか?』
私『もちろんです。何とかして向かいます。』
先生『ご協力ありがとうございます。それではお待ちしております。』

父に電話の内容を伝えると、
会社のことは任せて行ってきてくれ、と即答。
こんな時、家族経営で助かるなぁ・・・と痛感。
他の企業に勤めていたら、すぐ抜けれなかったかもしれない。

できるだけ今ある受注注文出荷の準備を急いで行い、
午後から3名抜ける段取りを組んだ。





午後、1時。

主治医から、協力に関しての詳しい説明をされた。
母の酸素供給が安定期に入ったため、
次なるステージアップ(肺炎の本格的な治療)を行いたいのだと言う。

本来ならば、赤血球と血小板輸血は
血液センターから病院が購入しているのだが、
どうしても日数がかかるので、
母の容態は一刻を争うため待っていられないらしい。
(最短で1週間~10日ほどかかる)
血液センターから購入する血液は鮮度も落ちているので、
なるべく鮮度の良い血液が理想なのだそうだ。

納品するのを待つとなると、
肺に更に深刻なダメージを与え続けることになるばかりか、
その他臓器もダメージを追ってしまうため、、、
早急に手を打たなくてはならない。

ここからが本題である。
日本ではまだ普及されていない治療方法になるのだが
同じ血液型の家族・親族が居る場合
白血球濃度をあげたのち血液を提供してもらい、
血液中に含まれる白血球・血小板を母へ輸血し、
健康な白血球・血小板を以て母の肺炎ウイルスを撃退し、
母自身の白血球回復を臨むという治療法を行う
ようだ。
費用はすべて病院が負担。
『臨床』として協力してほしいのだそう。

ただし、これにはリスクも当然伴う。

まず、レシピエント(患者)への負担。
自分以外の血液が入ることで、反応がどうしても起こってしまい
一時的にすべての数値が低くなる。
他、肺炎を治すどころか他臓器を破壊しかねないという事。

やってみなければわからない、という極めて不透明な治療法であるとの事。

そして、ドナー(私たち)への負担もある。
一時的に白血球濃度を上げるために、
ステロイド2錠服用、腕に注射を打って24時間後に脱血を行う。
脱血時間はドナーの健康状態にもよるが、
平均して3時間脱血処置、最大で10リットル摘出をする。

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普通に考えれば10リットルも抜くとなると
絶命しかねないのですけど、様子を診ながら血液を抜き
必要な分の血液を採取(??)、不要な血液は体へ戻す
というルートを作っているので、気を失う事はありません。
カルシウムを多く消耗するため、点滴処置も施されるようです。
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これにより、一時的に体温・血圧の低下、体の痺れや全身倦怠感、
のどの不快感・腰椎の鈍い痛み、大量の汗が出るなどして
副作用が伴う。これらの副作用は、ドナーによりけりらしい。

大前提として、ドナーがレシピエントと同じ血液型であることと、
若く健康な血液保持者でなくてはならない。

採血、採尿、心電図・エコー、レントゲン、血圧測定、身長・体重計測。

説明が終わり、私たち3名は同意書を記入し、提出。
検査の結果、3名とも健康な血液であると診断された。

つまり・・・・、
私たちはドナーとして合格した!!
これでおかーさんの治療に協力できる!!

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A型バンザーイ!!

 

②へつづく。

 

 

 

『ビーッ!ビーッ!』

少しうたた寝していたとき、控室にコール音が鳴り響き目が覚めた。

私『・・・はい、控室です』
ICU『ICUです。お母様と面会できますが、どうなさいますか??』
私『・・・あっ、いいんですか!?お伺いいたします。』
ICU『はい。お母様がお待ちですよ^^』
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おかーさんが待っている。
なんて嬉しい言葉なんだろう。
はやる気持ちで、病室へ向かう。
病室前で、担当の看護師さんが挨拶をしてくれた。

看護師『おはようございます。ゆうべは、眠れましたか?』
私『あ、はい。まぁまぁ・・・(笑)』
看護師『心配ですもんね。でも、お母様は娘さんが傍についていてくれたお陰で、無事乗り越えましたよ^^』
私『・・・・ほんと、ですか・・・!』

母は、まだ麻酔が効いていて意識はないが・・・
昨日の面会に比べれば、やや穏やかな表情に見えた。

私『おかーさーん・・・よく、耐えたね・・・!お父さんも忠も、喜ぶよ・・・』
泣きながら語り掛ける私に、看護師さんは優しく背中を撫でてくれた。

私は、先日の大分県の旅で知り合えた、身代わり地蔵様の事を話した。
すると、看護師さんは『病室に置いてもらえないか聞いてみますっ!』と言い、
師長さんへ許可をもらいに行ってくれたのだ。

看護師『オッケー出ましたよっ!(*'ω'*)』
私『わぁ、ありがとうございます!!控室にあるんで、すぐ取りに行ってきます!』

ケースに入った身代わり地蔵様を看護師さんが受け取り、
透明の袋に入れて、病室の窓辺に置いてくれた。
母の方へ体を向け、笑顔で両手を合わせ、お祈りしてくれている。
これでもう、大丈夫だ!!( ;∀;)

おかーさんにしばらく付いていると・・・
母『昨日あんまり寝てないんだから早く帰って休め( ゚Д゚)』
って言われてるような気がした。
途端に眠くなってしまった(笑)

時間は朝の8時。
お父さんに電話を入れて、無事に峠を越したことを伝えると
声を出せないまま泣き崩れてしまった。
父の体調がかなり心配だったが、めまいはもう無い、とのこと。
ホントによかった・・・。

私は帰宅し、昼まで仮眠をとった。
旦那は9時に会社へ向かい、パートさんと共に出荷準備をする。

無事に運送業者に集荷へ来てもらい、
昼過ぎに業務は終わったようだ。

頼れる仲間に感謝!!
母の容態が好転したことで、何もかもうまく行くような気がする!!

昼の面会は、弟が体調崩しているので
父と私の二人で向かう事なり、
旦那にはゆっくり休んでもらう事にした。


午後の面会。
峠を越えた母に会える。
私たちの気分は、とても明るかった。

・・・・が、やはりそこはICU。
一進一退を繰り返す患者が多いため、
なかなか気が休まる状況ではないことを再認識させられた。。。

峠は、超えた。
しかし、まだまだ深刻な状況であるのは間違いはない。
ICU担当医からの説明は、以下の通りである。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
・酸素濃度の圧力をMAX100%→80%へ下げた。
つまり、20%は自発呼吸が出来ている。

・やや不整脈が気になるが、心拍数&血圧&酸素濃度は落ち着き始めた。
心拍数:120~150、血圧:117/80台~100/60台、酸素濃度:98-100。

・血小板輸血をしているが、一向に止血が出来ない。
肺炎ウイルスは未だ勢力を保ったままであるため、母自体の白血球が
生み出されてこない。つまり、肺炎を治すためには白血球が必要不可欠であり
自身のチカラで肺炎を治すことも出血を止めることもできない。

・肺炎が極めて重篤な症状(マルトフィリア感染の疑い)であるため、
致死率が高いと言う事。これに伴い、肝臓・腎臓の機能も低下。
このまま白血球がうまれなければ、人工透析処置が必要であるとの事。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


私たちは、絶望しなかった。
だって、母は諦めていない。
医療スタッフも、諦めていない。
まだ、救える方法がきっとある。

父は泣いてばかりで、下向きな事ばかりを言う。
こんなとき、男の人はメンタルが弱いな、とつくづく思う。
悪いことを言葉にすれば、その通りになっちゃうかもしれないのに。
下ばかり向かず、上を向いてほしい。

母はこんなに頑張ってるんだよ。
沢山課題はあるけど・・・おとーさん、今はひとまず喜ぼうよ。
自発呼吸、少しずつやけどできるようになったんやで?
おとーさんにとって、これ以上にない最高のバースデープレゼントやん。

父の中でいろんな葛藤があるんだとおもう。
母の夫であり、二人の子供の父親であり、
会社経営者の立場であり・・・
入院している年老いた母(私の祖母)の事も心配でたまらない様子だし。

とにかくとにかく、父が心労で倒れないよう、
私たち子供が全力でサポートしないと。

そりゃー、ワタシラ倒れてるヒマなんてないでしょ(笑)

 

5月6日(土)。

家に帰ってもほとんど眠れず家で過ごしたわけだが、
夕べから弟が病院へ寝泊まりしているので交代しようと思い、
昼前に旦那とふたり、病院へ向かった。

家族控室には、すでに父の姿があった。
父も一度帰宅したものの、眠れずに過ごしたらしい。
めまいの不調を訴えた。
弟も、掛け布団を持っていなかったため寒気を感じ、風邪をひいた。
私たち夫婦が引継ぎ、早々に休んでもらう事にした。

今日は父の誕生日なのに、お祝いムードになれるはずもなく・・・

父にプレゼントした商売繁盛のお地蔵様は、家族控え室で優し気に微笑んでいた。
商売繁盛地蔵
もちろん、身代わり地蔵様も持ってきた。
100均ショップで透明のプラケースを買い、
接着剤で完全に固定し、集中治療部へもって入れないだろうと思うものの、
せめて一緒にお祈りしたくて連れてきた。

昼、2時。
入室許可が出たので、母に会いに出向いた。

集中治療部の中は別世界で、
完全に隔離された環境である。
常にアラーム音が鳴り響き、決して静かな環境ではない。

母のほかにも、救命措置を施されている患者が数名いた。
母の病室は、一番奥の角部屋だった。

手指消毒、エプロン、専用マスク、医療用手袋着用にて入室。

私『・・・おかーさーん・・・?』

母は仰向けではなく、うつぶせの状態で、顔を横に向けられていた。

体にはたくさんの点滴や薬、管、管、管。
クチには、太い管を入れられており、
出血したのか、血液の付着が見受けられた。
人工呼吸器の装着を終えた母は、静かに眠っていた。

薬の影響で、全体的にかなりむくんでいた。
もはや別人である。。。
でも、母はこうして生きてる。
先生に、感謝してもしきれない。

入室後、しばらくして医師が入室。

集中治療部に入っている患者の家族は、
1日1度、14時-15時半の間に必ずICU担当の医師から
状況説明が施され、今後の治療などを細かく聞くことが義務付けられている。

現状の母の状態は・・・
全身麻酔をかけて、寝かせている。
覚醒すると激痛が起きるため、あえて抑制剤を投与。
暴れないよう、手足を固定。

左側の肺に水が溜まっているので、出さなければならない。
出血も少量だが見受けられる。

酸素濃度100%MAX状態、体に圧力最大値の負荷をかけているが
調整しつつ圧をかけないと肺が破れる可能性あり。
酸素濃度88%。(通常は96~100)
96を下回ると、かなりの息苦しさを感じるという。

赤血球数値は正常、血小板と白血球が乏しいため、
輸血でどのくらい補えるのか。
出血を施すために血小板輸血を24時間投与。

懸念される事項としては、母は血小板輸血にアレルギー反応が
どうしても生じてしまうため、肺胞出血がどのくらい止血できるか
現段階では見当がつかない。

目標は、酸素濃度の圧レベルを徐々に下げ、
気胸(肺が破れる)だけは絶対に避けなければならないので
精密な医療的調整が必要となるが、患者自身の自発呼吸をさせるべく
全力で24時間酸素供給のサポートを行う、との事。

今夜が正念場だと言われたので、引き続き家族待機命令。

・・・です(´・ω・`)

父に
『待機できないことを看護師さんにつたえてるので、今日は帰って休め』と
言われたけど・・・・
正念場な今だからこそ、母ひとりにさせたくない。

かと言って父も弟も、体調崩してるので・・・
私はひとり、元気だし(笑)

病院で一夜を過ごすことに迷いはなく、
ただ、体調だけは絶対崩さないようにと
準備万端で徹夜をキメこんだ('ω')

傍にいたかっただけなんだけどね(笑)

次の日は、GW最終日。
おびただしい数の発注書が入っていたので、
急きょ、7日は営業することにした。

私は貫徹なので、旦那とパートさん1名を向かわせ
出来る範囲まででよいから、
月曜日出荷分を少しでも荷造りしてもらうよう指示を出した。

時間がどんどん過ぎていき、、私はひたすらタブレットを打ち続ける。
ありがたいことに、集中治療部からのコールが鳴る事はなく・・・
ただ、静かに夜が更けていった。
 

 

5月5日(金)、時刻は22時前。

集中治療部へ移動した母へ人工呼吸器の処置が施されている間、
私たち家族が待つ控室に、先生方数名がやってきた。

入院から肺炎が起こってしまった経緯を詳しく話してくれた。
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入院当初(厳密にいえば入院する前から)より熱は37度を行ったり来たりしていた状態。
母の容態は、急性白血病ではないにしろ(芽球4.4%に基づき判断)、WT-1の値(通常は50未満)が14000あるため、いつ白血病に移行してもおかしくない状態だとの診断。一刻も早く、WT-1を下げなければならないと判断し、抗がん剤の中でもかなり強めの薬の投与(キロサイドとダウノルビシン)を迫られる。

ただし、抗がん剤を打つことによってリスクが高まることも説明された。
それは、白血球が一時的に下がるため、臓器炎症を起こしやすくなる、と言う事だった。つまり、感染しやすい状況下になる、と言う事である。
いずれにしても、選択肢があるようで私たちには無い。
モタモタしていたら、母が白血病になってしまう。
やってみなければわからない、という不安要素があるが
助かる可能性に賭けるしかなかった。

抗がん剤初日。投与からしばらくして、体に異変が出始める。
40度近い高熱が出る。手足の震え、悪寒。頭が割れるほどの頭痛、おびただしい発疹。。。
様子を見ながら抗がん剤を止め、抗生物質を打つなどして、母のペースに合わせて投与したとのこと。
その日の夜は食事ができるほどに回復。
昼間に感じた手足の震えや頭痛などの症状はなく、吐き気、フラツキもなし。

数日間、熱は36度台をキープし続け、
リハビリの許可が出る。1人でトイレへ行くようになる。
しかし入院1週間後、再び熱が38度近くまで上がり始める。

無菌病棟の工事が終わったため、すぐさま無菌室へ移動。

母は熱が38度あっても体感的に辛くないようで、
ふわふわとした気分の中、無菌室の快適さにただ感動しているようだった。

入院してから毎日のように、家族が面会へ向かう。
衛生管理の元、入室を許可していただき、
母に直接触れることはできないが、
着替えや読書用の本など、毎日のように差し入れをしていた。

『面会者通路』というものもある。
窓ガラス越しにインターフォンを使用して、顔を見ながら会話が可能となる。
面会者通路は、家族以外の者が面会できる場所なのだ。

大部屋に居るときよりも、無菌室へ移動してからは
本当に順調よく治療が進んでいたのだ。

検査結果は極めて良好。このまま順調にいけば、
5月末には一時退院できるんじゃないか、というお話もあったほどだ。

5月12日~14日は、奄美から母の姉たちがお見舞いにやってくる予定。
なんとしても、このままの状態を維持したい。
欲を言えば、無菌室を出て、デイルームで会話したかったに違いない。

そして、5月3日(水)。
この日は、私が大分県へ旅立つ前の日だった。
つい長居をしてしまい、母に無理させたかな・・・と心配したが
母はなんてことないように笑っていた。
安心して行ってきてね、と。
治るように、しっかりお詣りしてきてね、と送り出してくれた。

5月4日(木)。
父は昼と夕方、母と面会をしている。
昼は元気だったのだけど、夕方から熱が上がってきたので
抗生物質を投与し、様子を診る、との事。
それからしばらくして容態は落ち着いたらしいので、
父は長居することなく、家に帰ったのだそうだ。

5月5日(金)。
また、熱が上がったらしく抗生物質を投与するも、熱が一向に下がらず。
血圧、脈拍を測定すると弱っていたため、酸素供給を施すべく
酸素吸引機を装着したらしい。それは父が昼の面会が終わって、
帰宅直後に起こった事のようだった。
すぐ父へ電話をしようとした看護師に、母は
『大丈夫。すぐ治まるので電話しないでください』
と、心配をかけたくなくて、お願いしたようだった。

その夜。
酸素濃度が低下し、
家族が呼ばれ、
母は集中治療部で救命処置を施されることとなる。

あんなに元気だった母なのに。
病人らしくない、いたってフツウな顔だったし。
何が起こったの??
肺炎て、院内感染??
それとも、私ら家族が毎日出入りしてたから
外部からの雑菌を持ち込んでしまったのか。。。?

先生の話では、肺炎の原因はこう推測されるようだ。

『外部からの持ち込みによる雑菌や、ウイルス性の強い菌であれば、お母様には毎日抗生物質を投与していましたので感染したとしてもすぐ菌自体が消えるんです。しかし、中には抗生物質が効かない菌もいるんです。それが『弱毒菌』と呼ばれる、環境菌・・・または、お母様自身の体内にもともとある『常在菌』が突如変異したか、だと思うのです。抗がん剤を打つと、お薬の副作用で一時的に『白血球が下がる』んですね。しかし、これは本当に一時的なので、また回復するものなんです。なので、白血球がほぼゼロに等しいと、常在菌であっても環境菌であっても、抵抗するチカラや常在菌をコントロールするチカラがないので、肺炎や腸炎など、非常に起こりやすいのです。なので、決してご家族様が面会されたから肺炎が発症した、ということではありません。』

さらに説明は続く。

『肺炎になれば、炎症が起こっているわけですから出血する可能性がゼロではありません。出血するとなれば、どうしても血小板が必要になってくるわけですが。。。お母様の場合、血小板輸血をするとアレルギー反応が出てしまい、あまり数値が上がらなかったのです。もともと、血小板を抑制をさせる抗体があるのか、輸血をしても効果が薄い状態でした。ともなれば、肺が出血してしまうと止血が非常に難しくなります。血小板輸血がほぼ効かない状態なので。。。白血球もゼロに近い状態ですし、白血球がなければ肺炎が治りませんし、肺炎が治らないと出血が止まらないばかりか、肝臓や腎臓に影響が出る可能性があります』

つまり、白血球がなければ母の肺炎は治らない。
肺炎が治らないと、肝臓や腎臓に深刻なダメージを与え続けることになる。
となると、たくさんの白血球が欲しい。
しかし、血液センターで買えるのは、赤血球と血小板のみ、とのこと・・・
白血球を増殖させるためには、骨髄移植しかない・・・・

『集中治療部でできることは、肺炎を治すための処置ではなく、酸素供給を安定させることにあります。現在は酸素濃度を100%MAXまで圧をあげて、人工呼吸器を装着し、体内へ酸素を供給させていますが・・・圧がMAXであるため、肺が敗れる可能性もあるんですが、まずは酸素供給が最優先となります。肺が破れないように調整を行いながら、なんとか一命をとりとめている状態です。心拍数、血圧、酸素濃度が安定すれば次の治療へステップアップできます。今は猶予がないので、申し訳ありませんがどなたか、今夜は控室で待機お願いできませんでしょうか・・・』

この日の夜は、弟が1泊することになった。
父も私も旦那も、家に帰っても休まるはずもなく。。。
だが、弟に任せて、深夜2時ごろ帰宅することにした。

電話が鳴らないことを信じて、布団へ入った。

 

 

大分の旅が終わり、和歌山へ帰宅したのは午後8時過ぎ。

家に帰って、コンビニで買ったお弁当を食べようとしていたところに

私のケータイが鳴った。

 

・・・電話の相手は、病院だった。

私『はい、もしもし。』
病院『こんばんわ、○○病院です。夜分に申し訳ありません!すぐ、入院病棟へ来ていただけますか!?酸素濃度が低くて、今酸素吸引機つけている状態なんです。お父様にはすでにご連絡済みです。どうか、気を付けてきてください!!』
私『・・・・っ、はい!わかりました、すぐ向かいます!!』

電話を切ってから、弟から不在着信が3度入っていた。
病院との通話中に、かけていたのだろう。
ラインも入っていたので目を通すと、、、

弟『ねえちゃん、すぐ来て!!お母さんの病室***号室やから!お父さんと二人、今向かってるから!!』

私は『すぐいく』と短く返信し、
旦那に簡単に事の経緯を説明し、一緒に病院へ向かった。

駐車場からダッシュ、夜間救急出入り口へ到着。
守衛さんが私たちに問いかける。

守衛『こんばんわ。行先はどちらですか?』
私『あのっ、無菌室に、、、酸素が、あ、母の娘で・・・今、電話・・・ご、5Fへ・・・』

落ち着いて話せないことを察したのか、守衛さんはすぐ通してくれた。
エレベーターへ乗り、病棟へ向かう。

5Fに到着すると、弟がエレベーター前で待っていてくれた。
そして、病室まで案内してくれた。
無菌室ではなく、違う病室へ移動したようだった。

病室へ入ると、ほんとに・・・・
ドラマで見るような、光景っていうか・・・
先生&看護師さん数名がベッド周りに立っていて、
傍らには泣き崩れている父の姿。
母の口元には緑色の酸素マスクが着用され、
顔がとても赤く、呼吸が荒い。

ベッド横には、心拍数や脈拍がわかるような機械がセットされ、

『ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・・』

静かに、不気味に鳴り響いていた。

母は私に気付いたようで、顔をこちらに向けた。

母『・・・旅行・・・・楽しかった・・・??』
私『うんうん。身代わり地蔵様に出会えたし、、、ちゃんと、おみくじ引いて・・・』
母『熱上がっちゃって・・・疲れてるのに、ごめんねぇ・・・』
私『そんなことないよ。おかーさん、今息苦しいんだから安静にしてようよ・・・』
母『・・・・(にっこり微笑みながら、目を瞑った)』

先生が、静かにクチをひらく。

先生『結論から申し上げますと、お母様は肺炎を患っています。レントゲンを撮りました。左と右の肺は、正常だと黒いのですが、すべて真っ白になっています。肺炎になると、自発呼吸が非常に難しくなるため、今は応急処置として酸素吸引機で呼吸のサポートを施しているのですが、こちらの病棟ではこの処置で精一杯な状況です。そこで、ご家族の方に同意をいただきたいのですが、これからお母様の呼吸を24時間体制で完全なるサポートするため、ICU(集中治療部)でクチから管を入れ、全身麻酔をし、心拍数&血圧&酸素濃度が落ち着くまで救命措置をしたいのです。クチから管を入れることで会話が出来なくなりますし、全身麻酔をかけるため、今までのように意思の疎通もできなくなりますが・・・よろしいですか?

※写真は母ではありませんが、先生の説明はこのような状態の事を指します※
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父『・・・お願いします、妻を助けてください・・・・!!』
私『先生、容態が安定すれば意識が覚醒し、管が取れれば会話できるようになりますよね??』
先生『はい、もちろんです。麻酔を入れる理由は、管を入れることによって起こる激痛を和らげるためなんです。意識があるままだと、暴れてしまって危険が伴います。まずは酸素供給をしないと、全身に血液がまわらなくなりますので、一番最善な処置を提案しております。』
弟『・・・・・・』
私『了解しました。今はまず母が呼吸しやすいよう、全力でお願いします!!』
先生『わかりました。それでは集中治療部へ連絡をとり、移動の準備を行いますね。』

先生たちがバタバタと病室から出ていき、
室内には、私たちだけになった。

母『・・・・ケータイ、充電しといて・・・・』
私『あっ・・・、うん。わかった。充電しとく』
母『らいん・・・見れてないから・・・見たい・・・・』
私『見せてあげたいけど、少しでも動くと苦しくなるから、酸素が落ち着いたら一緒に見ようね。』
母『ケータイ・・・ケータイ持ちたい・・・・電話、したい・・・・』

奄美の姉や妹、甥っ子や姪っ子、かつての職場の仲間たちや数多くいる友人たちと、連絡をとりたかったようだ。

父『おい、安静にせなあかんねんて。。。頼むから、もう喋るな・・・・』

父の、精いっぱいの言葉。
母を思いやっての、言葉。
でも、私は母に対して『しゃべるな』とは言ってほしくなかった。

集中治療部へ入ったら、おかーさんの声がしばらく聞こえなくなる。
でも、父の言う事も正論である。
喋れば喋るほど、動けば動くほど、酸素濃度は低下していくのだから。

30分ぐらい経っただろうか。
先生たちが、戻ってきた。

先生『お待たせして本当に申し訳ありません。これより移動を行いますので、貴重品などはすべて持っていただき、ご家族様は4F集中治療部の入り口前へ待機お願いします』
母『・・・ケータイ・・・持っていきたいんですけど・・・テレビ台の上にあるから・・・』
看護師『ケータイは持ってはいることができないんです。』
母『お願い・・・・電話させて・・・・お願いしま・・・・』

ベッドで移動しながら、懸命に看護師さんや先生に
消え入りそうな声で訴えかける母。
連れていかれるときの母の寂しそうな表情が、目に焼き付いて離れない。

おかーさん。
集中治療部から出てきたら、
元の病室に戻ってきたら、
退院したら、みんなと電話いっぱいしよう。
仲間に会いに行こう。
たくさん美味しいもの食べよう。
一緒に、仕事しよう。

今は、肺炎を治すことが一番大事。

しぃま。
おじーちゃん。
奄美のおばあちゃん。
そして、無事に巡り合えた身代わり地蔵様。

どうか、お願いします。

母を、助けてください。守ってください。どうか、お願いします・・!!

 

 

 

母の骨髄異形成症候群の願掛け目的で
大分県へ5/4(木)5/5(土)の1泊2日で行ってきましたお願い

 


キッカケは、この方のブログが決め手でした。

※掲載許可はご本人様よりいただいております※

母の病気が発覚してから、
この方のブログへたどり着き、
最初から現在の記事を、くまなく読ませていただきました。
泣いたり感動したり、嬉しくなったり・・・、
母の未来を重ねるかのように、というと
ノン様に大変失礼なことだとは百も承知ですが、、、
骨髄異形成症候群という病気を勉強するために、
また、家族として決意を固めるべく、愛読させていただいております。

 

それでは、大分県の旅記録をどうぞお楽しみくださいm(_ _"m)

 


5月4日(木)天候:☁
☆高塚愛宕地蔵尊、参拝の巻☆


朝、8時45分の伊丹空港発大分空港行きへ乗り、
10時前に空港へ到着。
レンタカーを借りて、走る事約90分!
道は結構空いていたけれど、
山越えをしている最中、霧が発生して雨が降り、
視界がとても悪く走行に難儀しましたが
事故ることなく無事に到着。

現地はとても良い天気でした♪
なかなか広いお寺だなぁーと感心!
さっそく、お清めしましたぁ(*'ω'*)

※私はカメラマンなので出演しておりません笑※
弟と、一般のお客様のツーショット(笑)
モザイクの編集下手でごめんなさい(。-∀-)。。。
お清めの水
さらに煙でお清め中の弟。
お清めの煙①
お清め終わって笑顔の旦那(左)と弟(右)。
お清めが終わり、次はおみくじへ!
お清めの煙②
母、大吉❤病気:医者と信仰が大切。
願いは将来必ずかなえられる時が来る!
おみくじ大吉母
旦那、大吉❤
願いは長引くが必ず叶えられる!
おみくじ大吉旦那
弟、小吉☆
願いは思い通りにならず、辛抱のしどころ。
おみくじ小吉弟
私、末吉('A`)
願いは思わしくないが辛抱しなさい。
おみくじ末吉私






私らキョウダイ、ツイてねぇな!(笑)

でも、おかーさんの病気や願いについては
イイコト書いてたし、それだけでもここまで来た甲斐があったというもの!

ウチらキョウダイが足ひっぱってしまったので、
再度おみくじを引きました~。
このおみくじは、見事大吉❤
願い事を書き記し・・・・
願い札①
弟がおみくじを結び、弟が写メ撮ってる姿を
さらに写メを撮る姉(。-∀-)w
願い札②
本殿の様子に・・・・
本殿
恵みの玉を撫で・・・・
惠の玉
お抱え地蔵様にお祈りなう!
お抱え地蔵旦那
一念洞の中は撮影できませんでしたが、
沢山のお地蔵様が祀られていました。
一念洞
参拝が終わった後は、
メインイベントである身代わり地蔵様を求めて、
お店というお店をめぐり歩きました。





が、意外とすぐ見つかりました(。-∀-)www

『病気回復』と『笑顔地蔵』さまたち。
店めぐりで見つけた、干支の猿(母)と猪(父)を並べてみました。
青の頭巾は私、緑頭巾は弟と言う事にしておきましょう(笑)
久々に家族4人が揃いました(*'ω'*)♪
これを透明のガラスケースに入れて、
病室へもっていく予定です。
身代わり地蔵様
あ、あと父の誕生日が5月6日なので
誕生日プレゼントも買いました('◇')ゞ
会社の経営が良くなるようにとの願いで、
父が仕事の失敗をするたびに罰金百円を徴収(笑)
このお地蔵様にお布施したいと思います( *´艸`)
商売繁盛地蔵
おみやげも買い、少し遅めの昼食をとって、
午後3時からホテルへチェックイン。

朝早かったのもあり、GWの疲れがたまっていた私たちは、
ホテルを出ることなくひたすら小休止してました\(^o^)/

 


1番上の姉から、私宛に連絡が来た。
本当は5月22日に和歌山へ来る予定だったが、
前倒しで5月12日〜14日の期間、出来る限り母の傍に居たいのだという。

私は父に相談し、オッケーだと伝えた。

ただ、この事は母には黙っていて欲しいと言われた。

理由はいくつかある。

まず、母が入室しているのが『無菌室』であること。近親家族でなければ入室不可だと病院側から言われていたため、血のつながりがある奄美の姉妹は近親家族に該当するかどうか、病院側としては判断が難しいようだ…。母だけが無菌病棟に居るわけではないので、面会者が多いほど、他の患者さん達もあまり良くは思わないかもしれない。
菌に対して抵抗力のない方達が療養中なので、衛生面など特に充分に理解しなければならなかった。

次に、姉たちの健康管理である。
平均年齢60代後半ともなれば、全くの健康体、と言う訳ではない。母は4姉妹のうち3女になるのだが、長女、次女、四女とも体に不調を抱えている。
飛行機のチケットを取っているものの、直前にならないとわからないらしい。
変に期待させると悪いので、内密に…との事だった。

ある意味、サプライズ(ノω`*)笑

不謹慎だが、こう言う事が好きな私は、少しワクワクした。おかーさんをびっくりさせたい!そのためにはまず、何としても病院側に奄美姉妹の面会許可を取らなければならなかった。

入室出来なくてもいい。
面会者通路からの、ガラス越しで構わない。
ほんの少し、ひと目だけでも会わせてあげたい…他の患者さんに迷惑をかけないようにします、静かにするよう努力させます…

私は必死でお願いした。

当日の母の体調次第では面会可能と言う条件で、何とか許可をいただけた。

やったあ!!お願いラブラブ