目を覚ますと、コントローラーのボタンをポチポチする聞き慣れた音が耳に触れてきた。




……スマホをとって時間を確認すると、午前6時。ていうか前。
今日がPSO2の日ということで、昨日は大概夜更かししてこれである。どんだけゲームに飢えてんですか、ご主人様。




……ふと、きっと今日は私の忍耐力を試されるな、と予感がした。
いや何せ朝からこの本気具合だから、多分ぶっ通しでゲームにお付き合いすることになるだろうという、ある意味いつものことなのだけど。。。


とにかく、気合いを入れるのを兼ねて軽くベッドの上で伸びをしてから、私はようやく身体を起こした。






「おはようございます、ご主人様」




「ああ。いや、寝ててもいいんだぞ」




挨拶と共に返されたのはそんな言葉。
気遣いはありがたいのだけど、そこは四季の流儀もあるので引ける訳でもないのがつらいところ。。




「ご主人様が起きてるのに、四季が寝てるのは何かやです……」




彼はこちらを見ることもなく、そういうもんか、と首をかしげる。
その視線の先にあるのは、うん、わかってたけどアークマランドですよね知ってた。。。




「…………。もー……どんだけ飢えてんですか、ご主人様…………。。。」




「だってシエン欲しいんだよ!
弓を属性揃えるんだよ……!!」




「あっ思った以上に本気じゃないですかやだー」




でも属性揃えるのは無理だと思います、と先に予言しておくのはやめておいた。。




まだ本調子じゃない身体をふらふらと歩かせて、彼の背中に肩を寄せる。
画面の先で忙しそうにしてるご主人様のサブキャラさんを半目で追いながら、やっぱり気だるいので目の前の肩を枕に頬を乗っける。




それから、ゆっくり目を閉じた。




「無理しないで寝てろって」




「……少し、こうしてたら元気になります……」




お!ホムラの……、
あ、ワイヤーね………わーい、ホムラワイヤー三本目だなー……おかしいなー、ワイヤーしか出ないなー………」




「ガン無視かーい……。さすがの四季もこれには寝覚めぱっちり…………とはいきませんね………………」




「いかないんだ。。。」




ですね、はい。眠いです。。。




とはいえ、ぱっちりとはいかないまでも少しは元気が出てきたところだ。


そもそも、これでも嫁の端くれである。主人の行く先に寄り添うのが妻というもの。ご主人様がノリにノッてるこのタイミングに、ここぞとばかりに隣ではっちゃけないでなんとする←




そういうわけでよいしょっと立ち上がり、




「さて、朝食は?まだですよね?」




「あぁ。あ、今ようかんがフライパンを占拠してる」




なんと。朝イチでゲーム始められる前にそんなことまで。。


何というか、知っていたことだけど感心してしまった。
多芸なのは元より、ひとたび娯楽に走ろうとするとそのための準備に一手間加えるというか。


多分、『楽しむ時は楽しむことでいっぱいにする』みたいな考えなのだろう。
私とは違う思考回路だけど、その努力的な方向性は私の好むものなので、やっぱりその辺には触れないでおく。




「えへへ、ありがとうございます。
では、朝ごはんは四季がご用意いたしますね。希望がないと昨晩の残り物ですけど、いかがなさいます?」




「構わないよ。あの茄子の煮浸し?と、大根の皮?の……なんか炒めたっぽいやつ ??美味しかったぞ」




「ふふ、ザ、手抜き調理!と思って試したものを褒められるのも、それはそれで悪い気はしませんね。。。いや気まずいかも?(

それでは少々。あ、次の一周終わったらゲームは切るんですよ?お食事中はスマホもダメですからね?」




「し、四季さんたまに厳しいよなそういうとこ……。。。」




「たまにじゃありません、スマホはいつも禁止ですー。。。見なかったことにしてるだけなんですー!」




ひぃ、とかそんな変な悲鳴を背中に部屋を出て、台所へと向かった。










……さて、残り物とは言ったけれど、とりあえずお味噌汁くらいは用意せねば。


あとはごはんに梅でも乗っけて、今朝必殺の和朝食、「主菜迷子の副菜祭り(残り物)」と洒落混みましょう。




それからお昼に夜のメニューをうっすら考えて、それを用意をするタイミングと、それ以外の彼と一緒にゲームしたり休んだりするタイミングを考えていたら、無自覚に頬がにやけてしまっていた。


一人で妄想してニヤニヤするとか我が事ながらちょっとアレですね。。。
反省はしている、後悔はしていない!(キリッ






今日は根気が要り用になる。
きっとアークマ周回するんだろうし、彼のことだから寝落ちするまで止まらない。


そうなってから悔しそうにゲームを一旦やめる彼を今から想像して、やっぱりくすりと笑みがこぼれた。




そう、元気も根気もいるだろうけど、それはきっと穏やかな時間。
急ぎ足な仕事人だからこそ、休息はそういう形の方がとりやすいだろう。




小鍋にお味噌を溶きながら、願いを込めるように、祈りを捧げるように頭の中でいつもの決め台詞を唱えてみる。






今日も良い一日になりますように。
















↑なお昨日のお話