「休みな。27、28辺りに取れるかもしれないんだが、それが無理ならもう無さそうだ」
夕食を終え、あとは寝るだけと着替えて寝室に戻ってきたところ、独り言みたいな声がベッドの方から聞こえてきた。
今のは、休みの日を事前に教えてくれたのか。
彼にしては珍しいことだったりする。いつもは割と寝る直前とかに『あ、明日休みなんだ』とかそんな感じで伝えてくるから、今日は何か心境の変化でもあったのだろうか。
自分のベッドに腰かける彼は私を見ようともせず、ただ前、というか下を向いたまま動かない。
なんというか、疲れて見える。
ちょうどそのポーズが、『燃え尽きた……真っ白にな……』とか言いだしそうに見えたからかもしれない←
私はちょっと間を空けて隣に置いてある自分のベッドに腰を下ろして、彼と向かい合ってその顔を覗いてみた。
「……な、なんだよ。。」
「それで、年始は?」
出来るだけやわらかい顔で言ってみた。
と、気恥ずかしそうに逸らしかけた顔がすっと真顔に戻ってしまった。
残念、タイミングを間違えたらしい。もうちょっと待って、あともう少し近づいていればきっと彼の可愛らしい顔か拝めたろうに。。。
「さてな。9日くらいには休めればいいんだが。」
「え。。。そんなに長く売れます??」
「いや、そういう訳じゃない。
皆『お正月頑張ったからそろそろ休んでもいいはず』って思い始めるだろ。
それが仕事に出る前に休ませるのは俺の仕事だ。」
……今のが当然の感想なのだろうことも知っているけど、もう少し言いようがないものだろうか、この人は。
労働力はいつも万全にすべきだとは四季も思うけど、この人の場合配慮の根っこが『休みをもらえない不満を職場に持ち込まれると効率が悪くなる』だからタチが悪い。
休みをあげるなら『お疲れさま』を建前でなく本音に持ってきなさいと言うのだ。
どっちも本音、という考え方を学んでほしい。
「……ご無理のありませんように。
……えっと、クリスマスなんてイベントは、まぁ、無縁でしょうかね。。」
「無理だな。悪い。
なんにせよ、これから家にいる時間がほんとになくなる。家のこととか挨拶だのも任せる。初詣だけはまぁ……深夜に行ければな。
あと体調崩しても看病はしないから、崩すなよ。」
「はい。四季の心配も不要ですから、家にいる今はお気を楽にして下さいませ。ゆっくりお休みください」
即答したのをどう捉えたのか、彼は意外そうに目を丸くしていたと思う。
……ひどい言いぐさだけど、それを言うのにどれくらいの罪悪感を覚えただろうかと想像して、茶化すのはやめておいたのだ。
ただ、仮に私が体調を崩した時、看病してもらえなくて不満に感じると思ったのならそれは心外だけど。
まぁそういう意味ではないのだろうと思っておくことにする。
彼はしばらくの沈黙のあと、そうか、と一言漏らして、それから長いため息を一つ。
……ありがとう、と言わなかったのは何か思うところがあったのか。
仕事のことを考えているのか、それとも他のことなのか。
でも、少なくとも仕事の方はここからが忙しい時期だし。余計なことは忘れさせてしまうべきだろう。
「……お仕事、何か不安ですか?
独り言でも呟きます?四季でよろしければ、ここにいますよ」
「いやー、今の仕事の話聞かせるとお前怖い顔になるからやめとく。。」
「なんですかそれ!?どんな無理してるんですご主人様の職場!?」
「笑っててくれってことだよ。お前がそうしてくれてると、俺は助かる」
すっと熱を冷ました真面目な声。
他人にはあんまり見せないのだろう優しい微笑み。
そして得意の、恥ずかしげも容赦も遠慮もなく放たれるクっっサい台詞。。。
その聖人じみた真っ直ぐさに、やっぱりこの人は変わってない、と安心してしまった。
そして同時に、今はその愚直な強引さが胸をきつく握り締めて離してくれない。
……昔はもう少し、揺れない心があった気がするのだけど。
強い人間であるつもりはなかったけど、最近こういう方面には特に弱くなってしまった気がする。
てゆーか何を言い出すかと思えば。ついさっきまで私のことで苦笑いとかしてたくせに、急にそんな不意打ちを仕掛けてくるのは、卑怯だと思う。
何か返さなくちゃと頭をめぐったのは『バカなんですか!』とか『アホ!』とか『ボケナス!』とかそんな罵倒ばかりで、それではいつも通り過ぎるしとちょっと他の案を考える。
で、やっぱり思い付かなかったので睨み付けてみた。。。
「むむむむ……………」
「どうした、可愛いぞ」
「ぶはっ。。。
そ、そーいうことを平気で仰る……!」
↑そして恥ずかしくて目をそらす。。。
「ん、あー、うん、確かにアレか、クサかったな。。。」
「無自覚とかバカじゃないんですか?」
あはは……、と頬をポリポリしてそっぽ向くご主人様。。
ていうか、結局言っちゃったしもう!
「……とにかく、色々任せる。
悪い、お前には常々迷惑かけるな。」
「とんでもございません。
でも四季で遊ぶご主人様には朝ごはんT(たまご)K(かけ)G(ごはん)の刑です」
「だが断る。いえ許してくださいお願いします。」
そんなに嫌ですか、TKG………。。。
夕食を終え、あとは寝るだけと着替えて寝室に戻ってきたところ、独り言みたいな声がベッドの方から聞こえてきた。
今のは、休みの日を事前に教えてくれたのか。
彼にしては珍しいことだったりする。いつもは割と寝る直前とかに『あ、明日休みなんだ』とかそんな感じで伝えてくるから、今日は何か心境の変化でもあったのだろうか。
自分のベッドに腰かける彼は私を見ようともせず、ただ前、というか下を向いたまま動かない。
なんというか、疲れて見える。
ちょうどそのポーズが、『燃え尽きた……真っ白にな……』とか言いだしそうに見えたからかもしれない←
私はちょっと間を空けて隣に置いてある自分のベッドに腰を下ろして、彼と向かい合ってその顔を覗いてみた。
「……な、なんだよ。。」
「それで、年始は?」
出来るだけやわらかい顔で言ってみた。
と、気恥ずかしそうに逸らしかけた顔がすっと真顔に戻ってしまった。
残念、タイミングを間違えたらしい。もうちょっと待って、あともう少し近づいていればきっと彼の可愛らしい顔か拝めたろうに。。。
「さてな。9日くらいには休めればいいんだが。」
「え。。。そんなに長く売れます??」
「いや、そういう訳じゃない。
皆『お正月頑張ったからそろそろ休んでもいいはず』って思い始めるだろ。
それが仕事に出る前に休ませるのは俺の仕事だ。」
……今のが当然の感想なのだろうことも知っているけど、もう少し言いようがないものだろうか、この人は。
労働力はいつも万全にすべきだとは四季も思うけど、この人の場合配慮の根っこが『休みをもらえない不満を職場に持ち込まれると効率が悪くなる』だからタチが悪い。
休みをあげるなら『お疲れさま』を建前でなく本音に持ってきなさいと言うのだ。
どっちも本音、という考え方を学んでほしい。
「……ご無理のありませんように。
……えっと、クリスマスなんてイベントは、まぁ、無縁でしょうかね。。」
「無理だな。悪い。
なんにせよ、これから家にいる時間がほんとになくなる。家のこととか挨拶だのも任せる。初詣だけはまぁ……深夜に行ければな。
あと体調崩しても看病はしないから、崩すなよ。」
「はい。四季の心配も不要ですから、家にいる今はお気を楽にして下さいませ。ゆっくりお休みください」
即答したのをどう捉えたのか、彼は意外そうに目を丸くしていたと思う。
……ひどい言いぐさだけど、それを言うのにどれくらいの罪悪感を覚えただろうかと想像して、茶化すのはやめておいたのだ。
ただ、仮に私が体調を崩した時、看病してもらえなくて不満に感じると思ったのならそれは心外だけど。
まぁそういう意味ではないのだろうと思っておくことにする。
彼はしばらくの沈黙のあと、そうか、と一言漏らして、それから長いため息を一つ。
……ありがとう、と言わなかったのは何か思うところがあったのか。
仕事のことを考えているのか、それとも他のことなのか。
でも、少なくとも仕事の方はここからが忙しい時期だし。余計なことは忘れさせてしまうべきだろう。
「……お仕事、何か不安ですか?
独り言でも呟きます?四季でよろしければ、ここにいますよ」
「いやー、今の仕事の話聞かせるとお前怖い顔になるからやめとく。。」
「なんですかそれ!?どんな無理してるんですご主人様の職場!?」
「笑っててくれってことだよ。お前がそうしてくれてると、俺は助かる」
すっと熱を冷ました真面目な声。
他人にはあんまり見せないのだろう優しい微笑み。
そして得意の、恥ずかしげも容赦も遠慮もなく放たれるクっっサい台詞。。。
その聖人じみた真っ直ぐさに、やっぱりこの人は変わってない、と安心してしまった。
そして同時に、今はその愚直な強引さが胸をきつく握り締めて離してくれない。
……昔はもう少し、揺れない心があった気がするのだけど。
強い人間であるつもりはなかったけど、最近こういう方面には特に弱くなってしまった気がする。
てゆーか何を言い出すかと思えば。ついさっきまで私のことで苦笑いとかしてたくせに、急にそんな不意打ちを仕掛けてくるのは、卑怯だと思う。
何か返さなくちゃと頭をめぐったのは『バカなんですか!』とか『アホ!』とか『ボケナス!』とかそんな罵倒ばかりで、それではいつも通り過ぎるしとちょっと他の案を考える。
で、やっぱり思い付かなかったので睨み付けてみた。。。
「むむむむ……………」
「どうした、可愛いぞ」
「ぶはっ。。。
そ、そーいうことを平気で仰る……!」
↑そして恥ずかしくて目をそらす。。。
「ん、あー、うん、確かにアレか、クサかったな。。。」
「無自覚とかバカじゃないんですか?」
あはは……、と頬をポリポリしてそっぽ向くご主人様。。
ていうか、結局言っちゃったしもう!
「……とにかく、色々任せる。
悪い、お前には常々迷惑かけるな。」
「とんでもございません。
でも四季で遊ぶご主人様には朝ごはんT(たまご)K(かけ)G(ごはん)の刑です」
「だが断る。いえ許してくださいお願いします。」
そんなに嫌ですか、TKG………。。。