「ねぇ、弓って強い?」




それはある日、唐突に。


マイルームにて私と彼と、何故かこの白いのとでコーヒーなんぞしばいているぶれいくたいむ中。そんなことをぽつりと一人言のように呟いたのは、四季と違ってぴんと上に立ったケモミミが目立つ、白い四季だった。




見れば項垂れるみたいにコーヒーカップの上に拡がる波を無表情で見つめる、テーブルを挟んで四季の正面に座る白いの。今の無機質な声の質問には、何か思い詰めた物でもあったのだろうか。




私は一体彼女が何を言っているのかよく解らなくて、隣の彼に、そしてまた正面の白四季にと交互に目を見合わせる。が、ご主人様は違ったようで、




「興味があるなら触れれば良い。何でだ?」




「触ってみようと思って作りはしたのよ、新しいガルグリの弓。あ、言い忘れてたけど強化してあったノクス何本か溶かしたからね。
ほら、私一応Br/Guじゃない、カタナ使いだけど。調べたのよ色々ネットで
……いえ、調べようと思ったのよ。だけどないの、どこにもないの。Br/Guのカタナ使いなんて、どんなに調べても想定している人すらいないのよ!」




かたん、と何故かテーブルにグーチョップかますあほの子。その前にテーブルに謝れ。あと勝手に強化したことも謝れ、ノクスの30とか良い値段で売れるんですからねあれ。




それはそれとして。まぁ、そりゃそうですよねぇ、とご主人様と目を合わせる。
彼も彼で苦笑いとかでごまかしつつ、まーそーかもなー……とか結局認めるけど責任は持たないスタイル。




と、何が不満なのか頬とか膨らませつつこちらをぎろりと睨み付けてくる白四季。あらかわいい。そんなに可愛いと、首はねて瓶につめますよ?




「い、いきなりどういうこと!?助けて司、あなたの嫁でしょ!?」




「ご主人様の後ろに逃げたら本気にならないでもないですからやめてくださいねー?
とゆーか当たり前じゃないですか、ガンナーですよ?射撃職ですよ???カタナも使うーならともかく、弓を使わない人がなぜガンナーなんてやろうってんですか。
そもそも技量マグを使ってる人がいないからそこを担当していただきたかったのに、それを押しきって打撃マグにしたのは貴方じゃありませんか、打撃担当の幼女にも謝れ。
それを今から弓始めたいとか、一体どーゆう了見です?」




むっとした顔をするが、特別言い返すところがないのか、やはり口は閉ざしたままに睨み返してくる白四季。




「あーよしよし慰めてあげよう、白四季おいでー」




「行かないわよ。火力もなければ体力もない残念系アークスのくせに調子に乗らないで下さる?」




「(´・ω・`)」




「ちょっ、ご主人様に向かってなんたる……!!ほんとのことだから言って良いことと悪いことがあります!」




「(´;ω;`)」




「……あなたも大概毒舌よね。常々思っていたんだけど、どうしてそんなナチュラルに毒を吐けるの?ご主人様とか言ってるけど敬ってないでしょほんとは……。
ってそうじゃなくて!相談してるのよ!確かに私のステータス上カタナの方が合うけど、それでもクラス上弓が強い時っていうのがあるなら考えようかなってお話をしてるの!」




いえそれはわかってますけど。




とはいえ、こと弓に関してはむしろご主人様の本職だ。
相談する相手を間違えているわけでもなし、話を聞くくらいは善意でしてやれる範囲のこと。




……ちらり、とご主人様の横顔を盗み見ると、何やら考える人のポーズで色々思考を巡らせているようだった。




「とりあえず、メインは刀で行きたいわけだろ?先に気を付けるのは、刀を使うタイミングを損なわない程度に留めて使うことじゃないのか?
まずは刀が役に立たないときだけって意識して使えばいい。それ以上の弓の使い所は、経験で見つけていけるだろ。」




「火力作業ゲー的な趣の強いPSO2にそんなPS的なものを求めても「おいばかやめろPSO2はアクションゲーです!」




「……何か、自分と似た顔の女が女捨てて漫才に生きてるの見てると、こう、胸にくるものがあるわね………。」




失礼な。




そこで話は一旦切れて、各々手元のコーヒーに手を伸ばしたりする。




ちなみにご主人様と四季はブラックのままだが、白四季は砂糖なしのミルク入りだ。白だけに。この子、見た目も四季と似ているなら好みも似ているのかもしれない。




お酒を含むみたいに、くいっと少しだけ口に含んで、味わってから喉を通す。




ふぅ、と一息。どうせなら、今度私もミルク入りで飲んでみようか。




「そもそもカタナ使いだしたのだってあなた、あの方の影響なんでしょう?人真似なら人真似らしく、クラスから何から真似しておけば良いじゃありませんか。確かあの方弓捨ててらっしゃいましたよ?」





「そっ、そんなんじゃないわよ!!」




がたんっ、とさっきより強く揺れるテーブル。えぇー?ほんとでござるかぁー?




「ほんとでござ……ござるって何!?
じゃなくて!別に、私がカタナを使い始めたのは余ってる武器が倉庫にあったから!テクニック職のあなたを倒すのには手数の多い近接武器の方が良いと思っただけなんだから!
間違っても彼が使ってたからとかじゃないんだから、それを勘違いしないでよね!!」




「はい、まごうことなきツンデレ論法入りましたー!ご主人様、今のツンデレ力はズバリ何馬力くらい出てました?」




「そうですねー、『別に』『~だけなんだから』『勘違いしないでよね!』の三段活用を取り入れたツンデレの王道フレーズ、意外性こそなかったもののむしろこの分かりやすさがいい!ということで65点!
ところで四季さん、ツンデレは馬力で表されるのか?」




「もうわかった、あなたたちに聞いた私がバカだった!
いいわよ、武器は作ったのだし、あとは実戦で慣れていくわ。じゃあね!」




と、残ったコーヒーを一気飲みして立ち上がり、この場を去ろうと踵を返す白四季。んー、こーやってすぐぷんぷんするからツンデレとか言われるんだけどなー。いえこのままが面白いからそんな忠告はしませんが。




「でしたら最後に一つだけ。
純粋なカタナ遣いだと一層目を向けられやすいと思いますよ?弓の練習の前に、まずは弟子入りでもしてきては如何です?」




その言葉に、小さな背中はぴたりと止まった。




「……目を向けられるとか弟子入りとか、おかしなことを言うものね。そこの腑抜けに飼い慣らされ過ぎて、プライドも野心も亡くしてしまったのかしら。」




半分だけ振り向いたその顔に浮かぶのは、嘲るような嫌らしい笑み。
それを見て、つい、むっとした。




「人の顔で醜い表情しないで頂けます?飼われているのはあなたでしょうに、相変わらず立場のわからない。どうせよそ様に迷惑をかけると解っているなら、やはりここで死んでいきますか?」




「あら怖い。ですけど忘れないことね。
私はあなたと違って、主人のいない身ですもの。身を守るのも獲物を狩るのも自分一人でこなさなくてはならないの。
――だから不意打ちの借りは必ず返すわ。対等か、それ以上に力をつけてから、もちろん不意打ちで、当然あなたもね。
それまで、せいぜい仲良くしましょう?油断したところを容赦なく、後ろからバッサリ二つに割いてあげるわ」




ふん、と最後に得意そうに鼻を鳴らして、彼女は部屋を去っていった。




「要約すると、『勝負に勝ったから言うこと聞きなさい、あなたは私のご主人様になるのよ!』がプランA。
もし勝てなくても『いつでも狙ってるんだから油断しないことね!か、勘違いしないでよね!狙ってるんだからね!!』でまとわりつくがプランBと。さすがツンデレっつーか、さすが私?歪みねー。」





「ほんとにお願いだからそのシリアスブレイカー封じてくれない!?」






















勢いで書いてみました!←




ショートストーリー?ってこういうので良いんでしょうか。セリフ多目な漫才風味強めにしたつもりなのですが………え?それはいつもです?




なお作中に出てくる『彼』とか『あの人』とか言ってるのは、以前の小説の最後を見てくださった方はお分かりかと存じますがgrindaさんのこと。




白四季的ツンデレ論法によれば、
『不意打ちの借りはいずれ返してやるんだから』
と、仲良くなってもいずれ背中から不意打ちはかけるつもりらしいです。。




ついでにそれが成功したら『今日からあなたは私のもの(ご主人様)よ!』


負けても『つ、次はこうはいかないんですらね!』とやっぱりつきまとうつもりっぽい。。。




grindaさん逃げて!!


















お話に出た新ガルグリ弓。↑でも言っていた通り弓はほとんど使わないのですが、使い所があればと属性揃ったので強化するだけしちゃいました!あとは能力付けですね!




ご存じの方も多いことでしょうが、こちら、潜在能力が近距離、中距離、遠距離それぞれ用に3つに分かれております。


適正距離で攻撃が当たったときに、ダメージアップ、クリティカルアップ、HP回復(1ヒット1のみ。。。ですが距離の目安にはなるので便利です)という効果ですね。
なお近距離の方がダメージに、遠距離の方がクリティカル率に傾倒している模様。




潜在はガンナーだから近距離で……とも思ったのですけど、近くならカタナでいいのでパス。そもそも弓の近距離技代表格のカミカゼとか、ガンナーのゼロレンジ系のスキル効きませんしね。……ませんよね?




で、遠距離にするか!とも思ったのですが、ほら………、今度新しい弓のPAカスタマイズ、出るじゃないですか。シャープボマーを、前に飛び跳ねながら真下に打つみたいなやつ。
あれ超かっこよくないです?←




で、あれが使えそうな中距離の潜在を解放しましたとさ!
でもいざ使ってみるとやっぱり遠距離の方が実用性あった気がするんですよね強化し直そうかな

















↑パーティ招待に反応しないからお迎えに来たご主人様の図。。





「何してるんだ?」




白四季「………いえ、SS撮ってただけ。」





ごめんなさい気づきませんでしたぁぁ!!






※ところで題名の『ゆとり脳』は、「欲しいものは力で奪う!」的な白四季の簡単設計な思考回路を揶揄しただけです。。。