外に出ると、意外と雨は強く、空は暗かった。
風こそあまり吹いていないが。ざぁざぁと音を立てて降り注ぐこの雨を見て、誰がこれから買い物に出掛けようなんて思うだろう。
「お財布持ちました?四季は持ってませんからね?」
解ってるよ、と彼は独り言のように呟いた。
「……結構降ってるな。何なら待っててもいいぞ」
後ろで待っている私に対して、顔を少しだけ振り返らせるふうにして言う。
「いいえ。こんな夜道を買い出しなんて、道中お暇で仕方がないでしょう?
おしゃべりのお相手くらいでも、いればマシではありませんか?」
楽しそうにしたのが不思議だったのか、彼はようやく私にちゃんと向き直して顔を一瞥。
そして観念した、とでも言いたげにため息と変な笑いを漏らして、そうだな、と一言。
「悪い、付き合わせる。」
「いいえ。お供致します。」
それだけ言葉を交わすと彼はすぐに背中を向け、どこか頼りないミニマムな傘を差して、雨の跳ね返る外へと踏み入る。
私はその背中を追いかけるようについていった。
初めから強い強いと思っていた雨だったが、何だか進むにつれて激しくなっていった。
「強くなってきたな。最近の天気はこんなのが多いが」
ちらり、とこちらに片目がギリギリ見えるくらいまで振り返る。
「四季は平気ですよ。だって雨の日のお散歩デートですもの。こうなるルート分岐もあるでしょう」
そうか、とすぐ前に向き直す。
んー、清々しいほどのザ・スルー。
解っている癖に、心配はやまない。言葉にはできなくても、確認せずにはいられない。
その優しさとか労りとか、そういう気持ちは評価するけれど。過ぎれば野暮というのを、この人はあまり知っていない。
いえ、そういう子供じみたところも嫌いではないですが。。
と、急に前から手が伸びてきて、私の傘を持っている手をぐいっと押した。
「ほぁっ!?」
道路の端に追いやられる。あまり急に強い力で押されたものだから驚いて変な声を出してしまったが、見ればその手の先にいるご主人様も同じように端に寄っている。
その隣、さっきまでご主人様と四季がいた辺りを、一人の歩行者がすれ違うように歩いていった。
「悪い」
やっぱりちらっとだけ振り返って、どこも悪びれもしないそんな言葉だけが投げかけられた。
「いいえ。。」
あんまり力が強いと何かドキドキしちゃうじゃないですか、ご主人様のケダモノ!←
そんな感じで驚いてたついでに、ふと、いわゆる『乙女ゲー』的なものに出てくる男の子ってこういう強引なノリだったかなぁ、とか考えてしまう。やったことはないけど←
あれ?もしそうならご主人様ってば結構女の気を引くタイプ??というかそんな主人を持ってる四季は勝ち組も勝ち組ってことでOK???
いえ別に、そうでなくても四季ははっぴぃですし、ご主人様に不満もありませんが!
「ところで、PCはいかがです?正直四季にはさっぱりなのですが………」
「執着がないのも考えものか。何が起きても、結局『それも一興』で済ませちゃうからな」
この返事はPCというか、おそらくPSO2の話。うちのご主人様ったらほんとゲーム脳だなー、人の事は言えませんが!←
というのも、最近PCを買ったのだ。
申し上げた通り、このケモミミにパソコンなんていう文明の利器が使いこなせるわけもないので、ご主人様の私物に当たるものなのだけど。
実はしばらく前から買っていたのだけど、早速PSO2をしようとしてvitaとの連動?ができず、運営さんにも『三日で返事をよこすと言ったな、あれは嘘だ』と言われ(←そこまで言われてはいない)。。
しびれを切らして新アカで始めるという四季と同じ暴挙に走ったのだ。いえ四季の場合はvitaでログインすら出来なくなりましたが。。。
「……まぁ、ご主人様がそうしたいと仰るのなら四季は止めませんが。本当、酔狂がお好きですよね。。。」
「俺は悪くない!もう一週間以上待ったのに返事もくれない運営さんが悪い!あと俺もたまには新鮮な気持ちでやってみたい、四季だけずるい!」
「わーぉ本音が漏れた、ご主人様の酔狂度が10UP!」
「あと酔狂でお前に言われるのはさすがに心外なんだが。お前より面白おかしい人類を俺は知らない」
「奇遇ですね、四季もご主人様ほどの酔狂なお人は他に存じ上げません。。」
「……………………………」
「……………………………」
「こうなったらじゃんけんで決めるしか……」
「ストップ!ご主人様、何か四季のノリが移ってません!?それはいけませんからね!?」
「ん、いやちょっと待った」
と、何やらズボンのポケットの中身を確認しだすご主人様。
……彼はいつもズボンのポケットに財布を入れているので、四季としてはその時点で何となく察し。。
ちなみにここまで徒歩で約10分。目当てのお店はもう見える距離まで来ているというのに。
んー、なんてゆーか、さすが私のご主人様だなー(棒)。
「引き返しますか?」
「いや、お前だけでも店で待ってていいぞ。もう近いし……」
「まさか。お暇でしょうからお供しますと言ったじゃありませんか。四季は女ですが、割と言葉は曲げない方ですよ。」
ちらり、と目線がこちらに来る。
それに笑顔で返すと、はぁ、と彼はため息を漏らして、
「………悪い。付き合わせる。」
「いいえ。お供致します。」
こんなお馬鹿は、さすがによくするものでもなし。
この雨音をBGMにもうしばらく雨のお散歩デートを堪能できるなら、それも一興、ってやつだと思ったのだ。
風こそあまり吹いていないが。ざぁざぁと音を立てて降り注ぐこの雨を見て、誰がこれから買い物に出掛けようなんて思うだろう。
「お財布持ちました?四季は持ってませんからね?」
解ってるよ、と彼は独り言のように呟いた。
「……結構降ってるな。何なら待っててもいいぞ」
後ろで待っている私に対して、顔を少しだけ振り返らせるふうにして言う。
「いいえ。こんな夜道を買い出しなんて、道中お暇で仕方がないでしょう?
おしゃべりのお相手くらいでも、いればマシではありませんか?」
楽しそうにしたのが不思議だったのか、彼はようやく私にちゃんと向き直して顔を一瞥。
そして観念した、とでも言いたげにため息と変な笑いを漏らして、そうだな、と一言。
「悪い、付き合わせる。」
「いいえ。お供致します。」
それだけ言葉を交わすと彼はすぐに背中を向け、どこか頼りないミニマムな傘を差して、雨の跳ね返る外へと踏み入る。
私はその背中を追いかけるようについていった。
初めから強い強いと思っていた雨だったが、何だか進むにつれて激しくなっていった。
「強くなってきたな。最近の天気はこんなのが多いが」
ちらり、とこちらに片目がギリギリ見えるくらいまで振り返る。
「四季は平気ですよ。だって雨の日のお散歩デートですもの。こうなるルート分岐もあるでしょう」
そうか、とすぐ前に向き直す。
んー、清々しいほどのザ・スルー。
解っている癖に、心配はやまない。言葉にはできなくても、確認せずにはいられない。
その優しさとか労りとか、そういう気持ちは評価するけれど。過ぎれば野暮というのを、この人はあまり知っていない。
いえ、そういう子供じみたところも嫌いではないですが。。
と、急に前から手が伸びてきて、私の傘を持っている手をぐいっと押した。
「ほぁっ!?」
道路の端に追いやられる。あまり急に強い力で押されたものだから驚いて変な声を出してしまったが、見ればその手の先にいるご主人様も同じように端に寄っている。
その隣、さっきまでご主人様と四季がいた辺りを、一人の歩行者がすれ違うように歩いていった。
「悪い」
やっぱりちらっとだけ振り返って、どこも悪びれもしないそんな言葉だけが投げかけられた。
「いいえ。。」
あんまり力が強いと何かドキドキしちゃうじゃないですか、ご主人様のケダモノ!←
そんな感じで驚いてたついでに、ふと、いわゆる『乙女ゲー』的なものに出てくる男の子ってこういう強引なノリだったかなぁ、とか考えてしまう。やったことはないけど←
あれ?もしそうならご主人様ってば結構女の気を引くタイプ??というかそんな主人を持ってる四季は勝ち組も勝ち組ってことでOK???
いえ別に、そうでなくても四季ははっぴぃですし、ご主人様に不満もありませんが!
「ところで、PCはいかがです?正直四季にはさっぱりなのですが………」
「執着がないのも考えものか。何が起きても、結局『それも一興』で済ませちゃうからな」
この返事はPCというか、おそらくPSO2の話。うちのご主人様ったらほんとゲーム脳だなー、人の事は言えませんが!←
というのも、最近PCを買ったのだ。
申し上げた通り、このケモミミにパソコンなんていう文明の利器が使いこなせるわけもないので、ご主人様の私物に当たるものなのだけど。
実はしばらく前から買っていたのだけど、早速PSO2をしようとしてvitaとの連動?ができず、運営さんにも『三日で返事をよこすと言ったな、あれは嘘だ』と言われ(←そこまで言われてはいない)。。
しびれを切らして新アカで始めるという
「……まぁ、ご主人様がそうしたいと仰るのなら四季は止めませんが。本当、酔狂がお好きですよね。。。」
「俺は悪くない!もう一週間以上待ったのに返事もくれない運営さんが悪い!あと俺もたまには新鮮な気持ちでやってみたい、四季だけずるい!」
「わーぉ本音が漏れた、ご主人様の酔狂度が10UP!」
「あと酔狂でお前に言われるのはさすがに心外なんだが。お前より面白おかしい人類を俺は知らない」
「奇遇ですね、四季もご主人様ほどの酔狂なお人は他に存じ上げません。。」
「……………………………」
「……………………………」
「こうなったらじゃんけんで決めるしか……」
「ストップ!ご主人様、何か四季のノリが移ってません!?それはいけませんからね!?」
「ん、いやちょっと待った」
と、何やらズボンのポケットの中身を確認しだすご主人様。
……彼はいつもズボンのポケットに財布を入れているので、四季としてはその時点で何となく察し。。
ちなみにここまで徒歩で約10分。目当てのお店はもう見える距離まで来ているというのに。
んー、なんてゆーか、さすが私のご主人様だなー(棒)。
「引き返しますか?」
「いや、お前だけでも店で待ってていいぞ。もう近いし……」
「まさか。お暇でしょうからお供しますと言ったじゃありませんか。四季は女ですが、割と言葉は曲げない方ですよ。」
ちらり、と目線がこちらに来る。
それに笑顔で返すと、はぁ、と彼はため息を漏らして、
「………悪い。付き合わせる。」
「いいえ。お供致します。」
こんなお馬鹿は、さすがによくするものでもなし。
この雨音をBGMにもうしばらく雨のお散歩デートを堪能できるなら、それも一興、ってやつだと思ったのだ。