あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

院長の八木原です。

 

最近、ネコちゃんのおしっこの症状が立て続けにありましたので、それについて書きます。

今年は暖冬のようですが、夏に比べ冬はネコちゃんの飲水量が少なくなります。

すると、排尿回数の減少により尿道を洗い流す効果が弱くなり細菌性の膀胱炎をおこしやすくなったり、

尿の濃縮により結石ができやすくなります。これを猫下部尿路疾患(FLUTD)といいます。

 

症状としては、トイレの回数が増える(頻尿)、一回のトイレの時間が長くなる、トイレ時に鳴いて痛がる、

尿に血が混じる(血尿)などです。

 

とくにオスのネコちゃんは陰茎(ペニス)の尿道が細く、結石が詰まりやすいという特徴があります。

 

イラストでみる猫の病気(講談社)より引用

 

尿道に結石や、膀胱炎によってできた細胞(炎症産物)などが詰まると尿道閉塞をおこし、排尿ができなくなります。

この状態が丸一日以上続くと、最悪の場合、急性腎不全になり、命にかかわる重症となります。

尿道閉塞は緊急性が高いため、すぐにカテーテルなどを用いて尿道に詰まった物質を膀胱内に押し戻し閉塞を解除します。その後数日間尿道にカテーテルを設置し、急性腎不全に対する点滴、膀胱炎に対する抗生剤などを投与しながら入院で治療を行います。

 

上記のような処置により閉塞を解除後、何度も閉塞を繰り返す場合は尿道を広げるために会陰尿道造瘻術を行います。

この手術は閉塞しやすい陰茎先端を切除し、尿道球腺付近の太い部分の尿道を引っ張ってきて皮下に固定するものです。

下の写真は手術後3週間のものです。通常、陰茎の尿道は3Fr(外径1mm)が通るくらいの太さですが、手術後6Fr(外径2mm)のカテーテルが余裕をもって通ります。

飼い主様も、勢いよくおしっこがでるようになったと満足していました。

 

 

 

 

手術後も結石や膀胱炎の再発に注意しながら管理していくことになります。
排尿に関するお困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。
 
 
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四季の森どうぶつ病院