ダ.ヴィンチ2010年6月号
「あの人と本の話 スガシカオさんが選んだ一冊」
吉田秋生「海街diary1~4」
海街diary コミック 1-4巻 セット (フラワーコミックス)/小学館
¥2,121
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吉田秋生の漫画が昔から大好きだったというスガシカオさんが
「久しぶりの連載だからテイストが変わっちゃっうのかなと思ったら結構そのままで、嬉しくてずっと読んでいます。」
と揚げてくれたのは、《海街diary》。鎌倉を舞台に四姉妹の絆を丁寧に描き出すシリーズ。
「みんながよく挙げる、《BANANA FISH》よりも、僕はどっちかって言うと、《河よりも長くゆるやかに》とか、《吉祥天女》の方が妙に引っかかっちゃったりして。心のつぶやきみたいな一言が突き刺さってくるんですよ。《海街diary》も、《河よりも》と同じ匂いを感じるというか、例えばこのセリフ
「子供である事を奪われた子供ほど哀しいものはありません。」
一巻で長女の幸が、腹違いの妹すずの為に言った一言に、もう大号泣でしたね、ここは。
このシーンでもう、この物語に惚れちゃった感がありますね。
感動的なものって、だいたい片方からしか見てなかったりするけど、これは四姉妹それぞれの立場から描いていて、台詞の後ろにちゃんと背景がある。
だから凄いぐっとくるんですよ。
なんでこんな台詞が書けるんだろうってゾクッとしますよね。」
胸に突き刺さるひと言をこの人もまた探し続けてきた。
「自分を客観的に見るにはライブをやるのが一番いいんですよ。
お客さんって、自分の鏡だから。」
「オフィシャルブログで「輝け!マイリリック!を開催中なんですが、バンドやってるのか、結構十代の男の子が多いんですよ。パッと目に止まる詩には黄金の一行がある。その一行がなかったら、グズグズなんだけど、その一行の為にすべてがあるみたいな。
今朝もいい詩をピックアップしたら、"今度中3になります"とか書いてあってびっくりしますよ。
年齢や、経験は関係ないんだなって。
伝えたい思いの強さがあれば、その詩は何かを生むんだと思う。
その衝動がなかったら、僕も書けないと思うし、いい刺激をもらっています。」