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デビュー曲 1997年の2月26日発売「ヒットチャートをかけぬけろ」
収録曲
・ヒットチャートをかけぬけろ
・サービス・クーポン
・ひとりぼっち
![$スガ シカオという生き方](https://stat.ameba.jp/user_images/20121001/22/shikaorespect/bc/6c/j/t01000100_0100010012215940704.jpg?caw=800)
この曲のCDのジャケットに大きく書かれていた言葉。
【If you get my tricky rhythem on the radio, call me like you used to.】
(俺のイカサマ音楽がラジオから聞こえたら電話をくれよ)
このタイトルは、自分の曲がヒットチャートに上がれば、当時失踪していた友人が気がついてくれるかもしれないとの思いを込めた言葉でした。
![$スガ シカオという生き方](https://stat.ameba.jp/user_images/20121001/21/shikaorespect/f1/2b/j/t02180144_0218014412215934573.jpg?caw=800)
(この曲のMVの一場面)
「川崎の倉庫街でのPV撮影には1人で行き、いきなり、昆布を体に巻いてくれと言われたが、臭いから嫌だと拒否し、かわりにカセットテープを巻きつけられた。メジャーデビューってこんなもんなんだ・・と思った。」
挑発的なタイトルにもかかわらず、PVのなんだかぱっとしない風貌とのギャップが余計に強いインパクトとなって彼は現れた。
スガシカオ
「デビューの日は家で曲をアレンジしていた。翌日最初の仕事で(事務所の先輩)山崎まさよしさんのライブにお邪魔して歌わせてもらいました。
僕のことを全く知らない人たちを前にもう緊張してて、何を歌ったか覚えていないくらいです。
でも、曲の後にしどろもどろながら面白いことを言ったらしいんですよ。
会場が大爆笑になったけど、どうしていいか分からず、逃げるように引っ込みました(笑)
なので、僕への最初の評価は“あいつ面白いな”だったらしいです。」
【制作秘話】
デビュー曲「ヒットチャートをかけぬけろ」でサックスを担当されている菊地成孔さんによる、彼との出会い時の文章です。
「痩せっぽちなその男の子は、プロデューサーが「サックス・ソロをやってくださる菊地さんだ」と僕を紹介するや否や、
「初めまして!有り難うございます。うわあ、楽しみだなあ。僕、ついこのまえまでサラリーマンだったんですよ!プロの方にレコーディングセッションに来て頂くなんてすごいなあ。よろしくおねがいします!」
と、丁寧にお辞儀をしながらニコニコしていた、それはまだ音楽家の笑顔というよりも、幾分営業マンの笑顔に近く、僕は、彼の自己申告にウソが無い事を察した。バックトラックは危なっかしい感じだった、僕は、この真面目な子が、来年にはまたサラリーマンに戻っているだろうことを、そして今夜が、彼の人生の中で、ほんの一瞬のサマーオヴラブになり、家庭を持ってからも時折思い出す様になることを祈った。
しかし、ヴォーカルが始まってからは驚愕の連続だった。一音一音、そして歌詞の一言一言が凄まじい強さと、鈍い光を放っていた。新鮮で胸に突き刺さる、自嘲的な歌詞。国産のメンソール煙草の様に青々しくもハスキーな声、それに反して図太そうな歌唱法。さっきまでのサラリーマン上がり君とは、まったくの別人だった。
相手が男性だった事もあり、気持ちはすぐに言葉になった。僕は「これは凄く良いですよ。売れますよ。いやあ素晴らしい。曲も歌詞も書くんですか?そうですか、お名前は何と仰るのですか?」と聴いた。彼は「有り難うございます!僕、あ、そうだ!サラリーマン時代の名刺なんか出しちゃおうかなあ。あはははははは!」と言いながら、<株式会社○○ ××課 菅 止戈男 (すが しかお)>と書いてある名刺を出した。」
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スガ「実はあれ、ツー・スリーと16ビートが並列で走っててね」
そこに気付いて初めて「“ヒットチャートをかけぬけろ”はブラックミュージックに傾倒している」って事が理解できるんです。
vocalの音を意図的に音符に置き直し、しかもそれをリズムとして把握して、その全体のリズムの像の型をみるという作業の上にあの「歌詞」がある。
歌メロはスリーツー。でもリズムは歌メロと無関係にツースリーを意識した16分を刻まないといけない。
しかも歌のスリーツーのドライブを殺さないように前乗りの16分キープが必要という難易度の高い曲。スガシカオ的なメロディは模倣しようとしてもなかなかできない。それっぽい歌詞を作っても音符配置のコツまでコピーしないと無駄。滑らかに裏拍を突いているのです。」