被災地に行く!!(後篇)
被災地へ行く!! (後篇)
雨が降ったりやんだり、あまり天候には恵まれなかった。
スケジュールでは午後からは場所を変えて、海沿いの墓地の修復に向かうことになっている。
地元の人に、「あの辺には、入れないよ」と言われたが、何もせずに帰るわけにもいかないので、とりあえずいってみることになった。
このあたりでは港の倉庫に保管されていた大量の海産物と、漁港特有の匂いの海底泥が、津波でごちゃ混ぜになって陸地にあふれ出していた。さらにまき散らされた海産物が汚泥の中で腐って、ものすごい異臭というか腐敗臭が立ち込めてた。
墓地の中は墓石があちこちに倒壊・散乱し、そこに瓦礫と乗用車が何台も流れ込んでいて、確かに足の踏み場もなかった。
腐敗臭がひどい。
もうマスクをしてても耐えられないよ。
スニーカーについたほんのちょっとの泥でも、強烈な匂いを放つ。
あまり長い時間いられないので、骨壺の有無の確認と墓石の修復だけをすませて、そうそうに引き上げることになった。
道すがら、ふと見ると、墓地の真ん中に咲いた桜の花がまさに満開だった。
ものすごい腐敗臭の中だったけど、なんだかちょっとだけ希望が湧いた。
ここにも春が来たんだ、と思った。
仲間が用意した太陽発電ラジオ20台を役所に寄付したあと
市役所でいろいろな手続きをして、荷物をまとめて帰路についた。
海からずいぶん離れた場所でも、津波によるたくさんの被害が出ているのが、車窓から確認できた。
ドライブインで食事をしたり、現地の特産物のお土産を買ったりしながらゆっくり帰った。
地元産業の活性化のためか、自衛隊の皆さんが、あり得ないくらいのお土産を買いまくってた。
自衛隊員ってかっこいい・・・今回の震災で、おれは小学生みたいに、そう思った。
おれもつられて牛タンと萩の月と、よくわからん銘菓を買ってリュックにゴリゴリ詰めた。
結局東京には21時過ぎにたどり着いた。
その日は帰ってから、すぐにベッドに深く沈み込み、ホントに泥のように眠った。
今日一日を思い返す間もなく、深く眠った。
リュックに入れた冷凍牛タンのことも、忘れて眠ってしまった・・・・。
現地で地元の方や、避難所のボランティアの方とも少し話ををすることができた。
倒壊した家屋は6月末までは撤去もできず、もちろん新しい家も建てられず、自治体も先の復興計画の見通しが全くたてられない状態だそう。
避難所では食事や飲料、少しのエンタテイメント、灯油やガソリンなどなど、すこしづつ行きわたっては来ているものの、
いつ避難所を出て家に帰れるのか、取り壊したあと街をどうすのか、地元の漁業をどうするのか、具体的な目標となる未来が全く決まっておらず、そのことが被災地のみなさんの気力と体力をむしばんでいるように感じた。
現地に実際行って思ったことは、とにかく被災地域が想像を絶するくらい広範囲だということ。
車で走っても走っても、ずっと津波の被災地が続いていて、しかもそれは東北の太平洋沿岸全体に広がっている。
この尋常じゃない広さの被災地の復興を考えると、それだけでゾッとするのを通り超えて、気が遠くなってしまった。
本当に、一歩づつ、一歩づつ、長い時間をかけてみんなで復興を目指すしか道はないんだと思った。
写真を見てもらってもわかると思うけど
被災地は、まだひと段落なんかしてもいないし、
復興のふの字も、始まっていない。
震災からひと月経って、報道メディアは感動秘話や未来の話にフォーカスが移行し始めてる。
でも被災地の人々は、あの日のまま、3月11日のまま、あの日と同じ洋服を着て、どこにも行くことができずに被災地にいるんだ。
おれたちは、もっとそのことを受け止めなきゃいけない。おれはそう思って、ブログで写真を公開することにしたんだ。
もちろん、「お前が偉そうに言うな!!」っていうのも、わかっている。
おれは人に何か指導できるほどの立場じゃ,、もちろんない。
でも、そう言われてもいいから、多くの人に被災地の危機感を知ってほしかった。
そして、「いま、おれらにできること」は、この惨状を悲しんだり、涙を流したりすることじゃないんだ。
それよりも日本を、日本の経済を、日本の心を、元気に活発にすることだなんだと思う。
この元気をなくして、東北の復興はあり得ない。
失速せずに、毎日一歩だけ、1ミリだけでも前に進もう。元気に生きよう。
おれはそう思った。
そして最後に、このブログを読んでいる西日本の皆さんにお願いがあるのです。
東日本は毎日続く余震やら節電やら放射能やらで、どうしても日々意気消沈しがちなんです・・・。
だから西日本のみんなに、元気に日本を引っ張っていってほしい。
思いっきりエンジン全開で、東北に元気を送ってください!!
西日本からの元気な明るいニュースが、いま本当に東日本の活力になると思うんだ。
よろしく、たのんます!!
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