被災地に行く！！ （前編）

先週、ボランティアで宮城県石巻市に行ってきた。

ボランティアと言ってもそんなちゃんとしたもんじゃなくて、倒壊してしまった友人の実家から、お位牌や写真などの大切な遺留品を救出するために、仲間４人でチームを組んで石巻に向かったのだ。

友人というのは、おれのラジオ番組を７年間一緒にやってきたＦＭラジオ局のディレクターで石巻市出身。

両親が亡くなってから実家を処分せずに、そのまま石巻に残してあって、３月１１日に津波に直撃された。

本当は２週間前に行く計画だったんだけど、決行前夜に強い余震が続いて、少し落ち着いてから行こうと延期になっていた。

高卒まで過ごした故郷があんな姿になってしまった気持ちは、おれらには知る由もない。

でも、そんな彼の力に少しでもなれたらと思い、おれはチームへの参加を志願した。

東京六本木ヒルズに夜中１２時に集合して出発、交代でプリウスを運転して石巻には朝７時に到着した。

東北自動車道は、自衛隊や警察の車両・援助物資を乗せたトラックが通行のほとんどを占めていた。

途中ドライブインに寄ったんだけど、こんなメッセージがあちこち張り出されていた。

なんか、あったかいよね・・・。

「がんばろう！！宮城県！」という張り紙も、あちこちに貼ってあった。

とても、胸が苦しくなった。

友人宅は河口から１００メートルくらいの場所で、かなり損壊が激しい状態だった。

家屋は元々あった場所から５メートルくらい移動していて、かろうじて自立はしているものの、一歩家の中に入ると汚泥と瓦礫でもう何が何だかわからないくらいめちゃくちゃな有様。

しかも天井まで津波が到達したらしく、なにもかも全部が泥に埋もれていた。

周りの住宅も損壊もひどかった。

特に海に近づくほど原型がわからない程の損壊で、柱以外何も残っていない家屋も多かった。

電柱もガードレールもグシャグシャ。

コンクリート造りの幼稚園だけが生々しく生き残っていた。

前週にようやく公道の瓦礫が撤去されて、車が通れるようになったそうだけど、もちろん信号は点灯してないし電気もないから、街全体が妙にシーンと静まり返っていて、地震が来る前のゴゴゴォって地響きだけが、やけによく聞こえた。

壮絶な風景を目の当たりにしながらも、おれら４人は意外と冷静なテンションで、動揺も躊躇もせずにみんなですぐ作業に入った。

ショックを受けている事自体ナンセンスというか、ビックリしてるセンチメンタリズムなんてないというか、冷静にすべきことだけを考えている。。。なんか不思議な感覚。

縁の下から床を突き破って盛り上がる汚泥をスコップでかき出し、釘やガラスに気をつけながら瓦礫を外に運び出す。

汚泥は水を含んで重くかたまり、ヘドロは臭く、大変な作業だ。

そこに人が住んでいたであろう気配は、申し訳ないけど・・・・なかった。

それほどまでに、津波が何もかもを、押し流してしまったのだ。

男４人でやっても、なかなか骨の折れる作業だというのに、東北には同じような倒壊家屋が数十万以上あるという。

それだけを考えても、とてつもない被害の大きさと復興への大変さが計り知れるというものだ・・・。

昼１２時くらいまでの作業で、なんとかめぼしい遺留品も探せて、ひと段落がついた。

雨が少し降り始めた。

時折、下校途中の中学生や高校生が、ジャージや制服で元気に歩いていて、震災前の平和な田舎の生活が、なんとなくおれにも垣間見れた。

昼食をすませた後、一緒に行った仲間の一人が花の苗を持ってきていて、もともと花壇だったところにそれを植えていた。

ちゃんと育つといいけど・・・。

後篇に続く・・・・。

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