読書の秋!!ってことで。
おつです。
読書の秋企画「山小屋日記」が、思いのほか好評だったみたいで
調子に乗って、もうひとつ載せるね。
べつに日記なんで、オチとかないけど。
他の日記は暗いねー。あたりまえかー、スランプだったし。
でも、貴重な経験でしたよ。
「山小屋日記」
ふもとの町に下りていく道すがら、妙に気になるそば屋があった。
この辺りにはそば屋が多く、まぁどこのそば屋に入ってもそれなりに美味しいそばが食える。中学生の頃からそばばかり食っているぼくが言うのだから間違いない。
そのそば屋の立て看板には、サイケっぽい装飾文字で大きく「天然きのこ」と書かれていた。
きのことそばのとり合せは、当たり前すぎて難しい。
当然天ぷらで出すのだろうが、果たしてこの激戦区でどんなオリジナリティをつけるだろう?
まさかありきたりのきのこを天ぷらにして、「天然・新鮮」とうたっても、そば好きは首を縦に振りはしない。
かといって量でもなかろう、そんなに大量に食える代物でもない。
だとしたら、なんだ?
まさか、そばのつなぎにきのこを使用しているのだろうか??
そんなバカな、そんな事がもし現実にあったとしたら、大変なそば革命だ。
気になる・・・このそば屋激戦区で、「天然きのこ」を売りにしたそばとは、一体どんなそばなのか??
そう考えた20秒後には、ぼくは駐車場に車をとめていた。。
店は人影もなく、奥の座敷まで見渡せる広々とした造りになっていた。
端っこのテーブル席に座り、手書きのメニューをみる。「天然きのこそば」と書かれている。
他にもいくつかメニューがあったが、ここまできて山菜そばもないだろう。
「きのこ、ひとつっ!!」
なめられてはいけないので、「前にも来たことがあって、初めてじゃないよ」風な注文の仕方をしてみた。
が、店のおばさん(おねえさん?)に、「はい?」と聞き返されてしまい、「きのこそばをひとつ下さい。」と普通に注文してしまった。そんな自分が、少し小さく見えた。
ほどなくそばが運ばれてきた。
おや?天ぷらじゃない・・・湯通ししたきのこだ・・・。
しかも大根おろしと和えてある。
きのこの器のほかに、そばツユの器がある。
要するに幾分かのきのこをツユに落とし、それにそばをつけて頂くということだ。
驚いたのはそのきのこである。
見たことがないきのこばかりだ・・・味は・・・まぁ・・きのこ味なんだが、カサが異常に小さいもの、赤とも黒ともつかない柴漬けみたいな色のもの、切り刻まれた部位から、その巨大さが想像できるもの、はっきりいって不気味だ。
さらにぼくは驚愕の事実を知る。
店内の壁あちらこちらに写真が張ってあるのだが、最初は店に来た有名人か何かの写真だろうと思っていた。
そばもあらかた食べ終わる頃に、ふと一枚の写真が目にとまった。店のオヤジが手にいっぱいきのこを抱えている写真だ。
そしてその一つ一つのきのこをクローズ・アップした他の写真には、「危険、猛毒」だの、「鍋によく合う」だの、あからさまにオヤジが書いたと思しき文字が注釈として書かれていた。
要するにそうゆうことだ。
山でこのオヤジが大量に採ってきたきのこを、自慢のそばにあわせて出す、確かに天然、たしかに新鮮。
結局、ぼくはここのそばを7・8回くらい食したが、毎回きのこの種類が違う。
その日に採れたものが、その日のメニューになる。なんとか食あたりはまぬがれたが、
あのオジサンはちゃんと免許とか持っているのでしょうか?
後日談なのですが、きのこばかりではなく「山菜そば」も同じ要領で製造されていて、よくよく見てみるとメニューには「天然きのこそば」の前に、小さく「 手摘み 」と書かれていた。
しかし、原価かなり安いですよね・・・・これ。