良性発作性頭位めまい症とは

頭の位置が変化して内耳にある後半規管が刺激されると、それに反応して、短時間の回転性のめまい(動いたり回転したりしているような感覚)が生じる病気です。




●私の場合

26歳の時に初めて発作が起こりました。その後数週間かけて症状が落ち着いていくという感じのものを、33歳までの間に6~7回繰り返しました。

夜寝返りをしたとき、枕をしないで仰向けになったとき、朝起きて布団から立ち上がったとき、床においた書類をしゃがんでながめていたときなどにめまいの発作が起きてしまいました。

私の場合は毎回気持ち悪くて嘔吐してしまいました。

一番最初の発作の時は、脳の病気になってしまったのかなと不安な気持ちで朝になるのを待っていました。当時実家暮らしだったため、母親に総合病院に連れていってもらいました。脳のCTにも異常はなく(脳の疾患からくるめまいか鑑別のための検査)、聴覚にも異常はなく(メニエール病との鑑別のための検査)、症状から耳の平衡感覚を司る三半規管からくる良性発作性頭位めまい症との診断でした。回転性のめまいがして気持ち悪くて気持ち悪くてとても体の置き所がなくて辛かったのを覚えています。不安で過呼吸にもなってしまいました。数日たつと少しやわらいだものの、顔を洗うのに下を向いたときや、仕事中椅子の下をのぞいたときなどにくるくるっと軽いめまいが出る状態でした。特に辛かったのが、まだ息子たちが赤ちゃんだったときのめまい。オムツを変える、おふろにいれるという育児で下を向く場面が多く、めまいが誘発されて育児がスムーズにできませんでした。


●息子の場合

保育園の年長の時くらいから年に1~2回朝起きたときに、めまいを訴えることがあり、横になった状態からなかなか起きられない状態がありました。嘔吐はなく、パニックにらなることもなく、横になったままマンガを読み始めることもあり、2~3時間たつと元気に動きだしいつも通りに戻るといった感じでした。自分と同じ頭位性のめまいとは全く思わず、低血圧かなと思っていました。その後同様のことが小学校3年生まで続き、小学3年生の時にめまいを訴えたときに、眼球の動きが不自然な動きをしていることに気付き(電車の窓から景色をながめている時などに、景色を追っては戻ることを繰り返すような動き、眼振といいます)救急外来を受診しました。息子も脳にも聴覚にも異常はなく、頭の位置が変わることで眼振が出現したため(特殊なメガネをかけた状態で頭を様々な方向に向け眼振の出現の有無を確認しました)、私と同じ良性発作性頭位めまい症との診断でした。先生に確認したところ、遺伝性についてはあまりまだよくわかっていないとのお話しでした。自分が大人になってからなった病気で、時々耳にはしたことがあったけど、親や兄弟、友達などでは同じ病気になっている人がいなかったため、まさかまだ小学校低学年の息子が自分と同じ原因でめまいがでてしまうなんてとてもびっくりしました。そして自分が辛さを知っているだけにかわいそうに感じました。


●治療方法

私の場合は服薬治療でメリスロンとメチコバールが処方されました。

メリスロンは内耳の血流を増やすことにより、回転性のめまいを和らげる薬です。

メチコバールはビタミンB12を補足し、末梢神経の修復を促す薬です。

何度目かのめまいの発作の時にエプリー法という運動療法があることを知りました。頭を様々な方向に動かして耳石を正しい位置にもどすという治療方法です。めまいが出現している時期に頭位をあっちこっちに動かすことはかなりの恐怖、ストレスです。でも早く直したくて専門の先生にやってもらったことがあります。ちょっとよくなっているような、はっきりとわからない状態でした。専門の先生に、エプリー法でなくてもいいから、1日に1セット、頭をいろんな方向に向けて10秒保持するという運動をやると改善するし予防になると教えてもらいました。

まず1つ目の運動は

①頭頂部が真下を向くくらい頭を下げる



②頭をおこす



③枕なしの仰向け

というものです。各姿勢を10カウント保持して①→②→③→②の順番に10セット繰り返すというもの。

2つ目の運動は、

①左耳が真下にくるように頭を真横に倒す



②頭をおこす



③右耳が真下にくるように頭を真横に倒す



というものです。こちらの運動もそれぞれの姿勢を、10カウント保持しながら①→②→③→②の順番に10セット繰り返すというとのです。私の場合はカウントが早くなってしまうことがあるので15カウント同じ姿勢を保持しています。

私はめまいの発作が本当に辛かったので今も毎日就寝前か空いた時間にやっています。

いろんな向きに頭を動かすことで、三半規管のなかのリンパ液の流れをおこし、めまいを起こしている浮遊耳石がくだけて症状が改善したり、リンパ液の流れを起こすことでそもそも固まりができてしまうことを予防するといった説明でした。めまいが出現しているときにこの運動をするのはかなり辛い…でもこの運動をするようになって服薬はしていません。子育てて忙しくて運動の途中で眠ってしまうことがあり怠ったしまうことが多かったときにめまいの出現が1回ありましたが、その後きちんと運動を再開してからはここ7年めまいは起きていません。


息子の場合は服薬治療はなしでした。私と同じ診断だったので上記の運動をやっています。一緒についてやらなくてはならないので最初は週に2回の上記の運動の実施で様子を見ていましたが、めまいの出現がその後もみられたため、週に3回に増やしました。増やしてからはここ2年近く息子もめまいは出ていません。


よく寝返りが少ない人や運動不足の人はなりやすいとの記載も見ますが、我が家の場合、自分は寝返りは少なめですが、息子は夜中寝相が激しく変化し同じ姿勢でずっといることはなく、スポーツもたくさんしていて、運動量はかなり多いので、あまり当てはまらないです。元なでしこJAPANの澤さんも同じ病気を経験していたし、マラソンの大会に出ていた夫の友人も経験していたので、運動をしていてもなってしまう人はいるのではないかなと感じました。


地味な上記のめまい改善・予防の運動は、結構時間がかかってしまいます。好きなマンガを読んだり、スマホをいじったりしながらやって、リフレッシュタイムになるようにしています。下向きの姿勢のときは大きなテレビ画面はみれませんが、息子は好きなYouTubeをかけてお楽しみ時間としています。


一個人の体験談として読んでいただけたらありがたいです。

もし同じ症状で苦しんでいる方がいらっしゃったら、1日でも早くよくなるよう祈っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。