今回は速読について、もう少しお話します。
一時期、私は速読を魔法だと思っていました。10倍の速さで意味を理解できれば、どのくらい本を読めるだろう? 資格試験にも更にスムーズに合格できるのでは?
そうして私は、様々な速読テクニックを試してみました。
パラパラ漫画の要領で、繰り返しページを開く。一行ずつ読むのではなく、素早く全体に目を動かす。文章を画像のように焼き付けていく。
しかしどうしても、効果を実感できなかったのです。
相性の問題もあるでしょう。
ただし…
速読をマスターした後、学習期間1年の試験に1ヵ月で合格した人間を私は知りません。
そのとき、ふと思ったのです。
『ゆっくり読んで理解できない箇所を、10倍の速さで読んで分かるだろうか?』
思い出して下さい。
試験学習を開始した当初、手元のテキスト(基本書)を最初に開いた時のことを。分からない言葉のオンパレードでしたね?
それを順序良く学習することで、少しずつ意味を理解していく。過去問などの問題演習を行うことで、理解した知識が使えるようになる。
たとえ学習初期の段階で、テキストを10倍の速度で読めたとしても…
10倍の速さで分からないことに気付くだけではないか?
そう、思ったのです。
しかしながら、速読自体は有効なんですね。ただし『試験に使う』という大前提があります。テキストを理解するためには、精読が必要です。ゆっくり読み、1つずつ内容を押さえていくこと。
その前段階として速読を行うと、精読が効率化するんですね。
見知らぬ土地に行くのと、一度行ったことがある土地に行くのとでは、受ける抵抗が違いますね。
それが『試験に使える速読術』です。
重要ポイントは2つあって、1つは前回お話した『心の中の音読をやめること』です。
読むのが遅い方は、言葉に出すのと同じ要領で、心の中でも読んでいるんですね。
2つ目のポイントは、文章を均一に読まないこと。
たとえばこのメルマガを、もう一度冒頭から、漢字とカタカタにだけ注目して読んでみてください。
たとえば以下の部分。
『一時期、私は速読を魔法だと思っていました。10倍の速さで意味を理解できれば、どのくらい本を読めるだろう? 資格試験にも更にスムーズに合格できるのでは?』
漢字だけを抽出します。
『一時期 私 速読 魔法 思って。10倍 速さ 意味を 理解 本 読める? 資格試験 更に スムーズ 合格』
上記のようになります。
意味自体は伝わってきますよね?
もちろん平仮名を無視するわけではありません。ただ、注目すべきポイントを変えるということ。リズムを付けて、活字を読むということです。
斜め読みでも飛ばし読みでもなく、自然に速度を上げながら意味を捉えていく。精読前の下地を作る。以上を心がけて下さい。