俺が一番欲しいもの  6 | 静かな夜に

俺が一番欲しいもの  6

大好きな人達のお名前をお借りしています

ほんのりBL的な表現もありますので、
苦手な方はご遠慮ください
少し前の5人のお話となります
にのあい風味です






……今真っ黒なその画面を睨みつけながら、
俺は言いようのない複雑な気持ちで
いっぱいだった…

それは、ゲーム内で恋人同士になって
クリアをしたとしても、
現実には恋人同士になるなんて到底
無理だということ…



そして……
出てきた俺と相葉さんしか知らない
エピソード……
もし本当に相葉さんが提供したものだとしたら、
今でも昔のあんな些細な出来事を
覚えていてくれたのかと嬉しくもあった……


……けれど、ゲームとしては
相葉さん編のあのエピソードたちは使えない…
公にしてない情報が過ぎる…
それに最後のあのプライベート写真
部屋の中が映ってるし、アウトだろ…


明日、ぱーやんに伝えないと…
そう思いながら眠りについた



****

「ぱーやん、あのゲームさ…
ちょっと直した方が良い部分が…」

次の日、いつもの楽屋。
その日はたまたまぱーやんが朝迎えに来られず、
やっとお昼に合流が出来た
ぱーやんの姿を見るや否や、直ぐに
あのゲームのことを話し始めたんたけど、
どこかぱーやんは不思議顔…?
そして、極め付きは
「…二宮さん…
さっきから何の話してるんですか?」
と言い始めた…
「はっ?次のライブのグッズとして
ゲームソフトを売り出したいから、
不具合とかがないか見てくれって
言ってたじゃんっ!」
そう返すも、やっぱりキョトンとした顔を
してくるから、向こうのテーブルで
本を読んでいた潤くんに話しかけた

「ねぇ!潤くんっ!次のライブのグッズとして、
ゲームソフトがあるんだよね?」
俺の声かけに潤くんは本から顔を上げて
返事してくれたけど…
「えっ?なに?ニノが次のライブのグッズ
考えてくれてんの?……でも…
ゲームソフトだと権利とか色々な面で
難しいと思うよ…?」
なんて、冷静に返してくるから、
反対に俺は余計に焦った
なんで、ぱーやんも潤くんも
あのゲームソフトを知らないって言うのか
意味がわからなかった

俺は確かにあのゲーム…
嵐のメンバーと恋人同士になれるという
恋愛シュミレーションゲームをやったのに…
どうして…?

そう困惑していると、
さっきから事の成り行きを楽屋のすみで
見守っていた相葉さんがスッと
近づいてきた……
「……ニノ…どうしたの…?」
ゲーム内で恋人同士となり、
その一瞬は嬉しかったけど、それが逆に
現実では叶わない事なんだと認識して
しまったから、意識しすぎて
今は相葉さんの顔を見られないというか……
「…いや…なんでもない…」
無難な受け答えをして、手持ち無沙汰に
鞄を掴んだ
そして、その中に朝携帯ゲーム機を入れたのを
思い出した

慌てて鞄の中を漁る…
そして、出てきた携帯ゲーム機には
「…なんで…ソフトが刺さってないの…?」
鞄の中をもう一度見てみても、ひっくり返して
みても、ソフトは出てこない…
そのまま入れてきたハズなのに…

「ニノがそのゲーム機持って来るの
懐かしいね…少し前はそれでゲームしてたの
思い出したわ…」
鞄からゲーム機を取り出した所で楽屋に
入ってきた翔ちゃんにそう言われたけど、
ごめん、今はそれどころじゃない…


ぱーやんも潤くんも知らないと言う…
実際ソフトはない…
じゃあ、俺がやっていたアレは何だったの?
もしかして夢とか…?
それが一番あり得るけど、あんなに事細かな
設定やエピソードをはっきりと覚えてる夢なんて
あるだろうか……

考えていると、さっきからずっとそばで
俺の行動を見ていた相葉さんが、ニノ…と
俺の耳に口元を寄せてきた

「ニノ……

『コンプリートおめでとう
ご褒美は何がいい?』」

その聞き覚えのあるフレーズに
俺は即座に反応して相葉さんを見る

おそらくだいぶ驚いた表情をしている俺を見て
少し含みのある笑顔をしたかと思うと
再度俺の耳元に口を寄せ
「…ニノが本当に欲しいもの……
手に入るかもよ…」
と、囁いた



……どうして相葉さんがそのフレーズを
知っているのか……
もしかして、まだ夢を見ている途中なのか…?


でも……なんか、もうどうでも良かった…


だって、それでなくても、あり得ない事ばかり
おきているんだから…
もう一つぐらい、絶対にあり得ないことが
おきたっていいんじゃないの…?
いや、寧ろそっちの方が重要…
相葉さんの顔を真正面から見据える


俺が本当に欲しいもの…


願ったら本当に手に入るんだろうか
だって、目の前の相葉さんはさっきとは違って
今度は優しい目をして俺を見ている…

言ってみようか…
俺の欲しいものは昔からこれだったんだって…


「…相葉さん…
俺の欲しいものはね……」





Fin