おとす 1 | 静かな夜に

おとす 1

素人が書いた妄想小説です

嵐のにのあい  非リアル設定です

⚠️登場人物のキャラがパブリックなイメージと

だいぶ違います

読んだあと、「こんなの⚪⚪じゃないっ!」と

いう感想は受付ますが、苦情は受付ません…

読むのは自己責任でお願いします……





あぁ~頭がガンガンする…
店内の騒がしい音楽や
じゃらじゃらとパチンコ玉のあたる音
朝の開店時からお客さんで埋め尽くされた店内
当たらねぇじゃねぇかと罵倒する大きな声……
あぁもうイライラする……

今日は朝から調子が悪かった…
熱だって出ていた…
なのに、休みたくても人がいないから出勤しろ
だなんて、なんてブラックな店なんだ……

「ちょっと…これ運んで欲しいんだけど…」
ドル箱三つ出たおばさんに呼び止められる
カウンターまで運ぼうと箱に手をかけた瞬間に
ふらつき、
箱の中のパチンコ玉が少し溢れてしまった

「なにしてんのよっ!!」
おばさんのキーキーとした高い声が頭に響く
「すっ…すみません…」
慌てて、膝を付きパチンコ玉を拾う…
「もういいわよっ!他の人に頼むからっ!
使えない店員ねっ!」
頭の上から罵声を浴びせられる

なんでここまで言われなきゃならない…?
こっちは体調悪いのをおして働いてるのに…
あぁもう、泣きそうなのとイライラなのとで
爆発しそうだ…

その時……
「ねぇ……あんた……」

いまだに膝をついたままの俺に
そう声をかける人物…
呼び掛けられた方向を見ると、
そこには肌が白くて金髪が印象的な男性が
タバコを咥えたまま台の方をみていた
「…はい…?」
「…あんた…大丈夫…?」
そう言うと俺の方を見た…

その瞬間、あんなに騒がしかった店内の音楽も
じゃらじゃらというパチンコ玉があたる音も
全てが音をなくして止まったように感じた

金髪に、タバコ…
こんな昼間からパチンコを打ってるなんて
きっとろくな生活してない…
そんな雰囲気がプンプン漂ってる…

それでも、その人物が俺には輝いて見えた
キレイな人だなぁ…って見惚れてたんだ…

「…おい?」
「あっ…いえ…すみません…大丈夫です…
ありがとうございます……」
なんとかその言葉を絞りだす
その言葉を聞いたその人は
「なら…いいけど…」
と一言だけ呟くと、また台の方に向き
もう既に興味がなくなったのか
そのあとは俺の方を見てはくれなかった……


次の日…
やっぱりまだ体調は戻っていなかったけど
それでも昨日よりは明るい気持ちで出勤する
昨日の彼が…今日も来てくれないかなと
期待を込めて……

午前中から店内をくまなく探しつつ
仕事をするけど、彼の姿は見えない…
今日は来ないのかと、諦めかけた夕方…
彼が店に入ってきた
気だるそうに、金髪の後ろにピョコンと寝癖を
つけたまま…猫背の彼が店内を歩きまわり、
良い台を探す…

…なんてことのない、客がやる仕草…
だけど彼の一挙一動を目に焼き付けている自分


このときには、もうしっかりと自分の気持ちを
自覚していた…
店が開店した時から、彼が来ないかソワソワと
していたし、来たら来たでドキドキして
声をかけることなんて出来ない…
こんなもどかしい気持ちを世間では
恋と呼ぶんだろ…?

それならもう俺は完全に彼に恋をしている