千夜一夜物語 44 | 静かな夜に

千夜一夜物語 44

素人が書いた妄想小説です

嵐のにのあい  非リアル設定です

BLチョロッとだけ





マサキ's 王宮日記



俺とショウちゃんが流した噂を
カズは知っていた

流した噂は、事実とも嘘だともとれるもの…
だけど、もしかしたら…と躊躇させるのが目的
だったし、自分自身がどう思われるかなんて
その時はどうでも良かったんだ…
敢えてそうすることで、これ以上悲しい思いを
する女性が増えないようにって
納得してショウちゃんと決めたから

カズにあの噂のことで問い詰められた時
カズはもう俺に笑いかけてくれないかもしれない…
あの綺麗な瞳はずっと俺を軽蔑したまま…
もう二度と…語り合ったりすることはないと……
自分で納得して決めたくせに悲しくなった

けれど、噂の事やカズが気になっていたという
幼馴染みのえみちゃんについての事を
ショウちゃんがきちんと説明してくれ、
それから、きっと一番心に引っ掛かっていたで
あろうジュンくんについても真相がわかった…

けれど、やっぱりあの噂を聞いてショックだった
というカズの顔が見ていられなかった

「…せっかく俺の事を信用してくれていたのに、
また噂を聞いてしまったからだよね…ごめんね…」

……そうだよ……
俺はカズの信用を失くしてしまったんだ…

そんな絶望する俺にカズが言った一言…

「……国王様が私の調子が悪いんじゃないかと
部屋に送ってくれた日…です…噂を聞いたの…
目の前にいる優しい国王様になんでそんな
黒い噂がたつんだろう…って思って」

そんなカズがその時を思い出して
一生懸命に語ってくれた言葉…

あの日…
カズは調子が悪そうだった…
本当はカズと一緒にいたかったけど、
調子が悪いのにそんな事を思っては駄目だと
無理矢理部屋に帰した日…

「まって……それってカズが泣いてた日?」
「はい…」

……俺に…なんで黒い噂が立つんだろうって?
……今目の前にいる俺と、噂の俺が違い過ぎるから…
それで泣いてくれてたの?


「……うれしい…」
「はい?」
「だって!カズが俺のことで涙を流してくれたって
事だよね?」

そんなの嬉しいに決まってる
いつの間にカズの中で俺という存在が
大きくなったの?
じゃないと、俺の事を思って涙を流すなんて
しないよね?
さっきまで、絶望の中にいたのに
なんだかうわぁーと気分が上がって、
嬉しいとありがとうの気持ちを込め…
その言葉をたくさん伝えた…

そして、少し気持ちが治まると
カズを抱きしめていたことに気づいた
気持ちが上がり過ぎて無意識に
抱きついていたみたい
やりすぎたと思って
カズを抱きしめていた腕をゆっくり離すと
そこには耳まで真っ赤な顔をしたカズ…

でも俺を見上げたその瞳は……
なんだか俺を捉えて離さず…
引き寄せられてしまう

絡む視線……

ドキドキしたまま次に見てしまうのはカズの唇
何度そこに唇を重ねたいと思っただろう…

ゆっくりとカズとの距離をつめる…
嫌だったら拒否してもいいよ…
その為にゆっくりと近づいていっているんだから…

……あともう少しで唇が触れる距離…
カズはいまだに動かないし…

いいんだね…?
もうこれ以上は止まってあげられない…

すると、そっとカズの瞳が閉じられた


……じゃあ、もういいよね…

ゆっくりとカズの唇に自分の唇を重ねる…


「…ずっと…こうしたかった……」
俺の気持ち全てを乗せてカズに囁いた