sugar rush 16 | 静かな夜に

sugar rush 16

素人が書いた妄想小説です

嵐のにのあい  非リアル設定です

BLチョロッとだけ





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俺の方を振り向いたニノの瞳は、最初驚き
まん丸になっていたけど、
段々と刺すような冷たさに変わっていった
そして、その瞳は逸らされた…
明らかに俺に対して何か怒ってるよね?
でも、俺にはニノがそんなに怒るほどの原因が
わからない…聞かせてくれないかな…その理由を…
その為に、今日ここに来たんだから…

「……ニノ……何か…怒ってる…?」
「…別に……」
……うん…ニノがすぐに言わないだろうって
いうのは想像ついてたけどね…
だからって…俺もここで
すごすご引き下がる訳にはいかないんだよ……

俺は、距離を詰めるためニノの方へ歩いていくと
ニノの片方の手首を掴んだ
至近距離で見るニノは俺の行動にビクッと
怯えたような瞳をしたけど、直ぐにまた
さっきの瞳に戻り、
「…痛いんだけど……離して…」
と冷たく言い放つ…

でも、なんだかこの手を離しちゃいけない
ような気がして、更に力が入ってしまう…
だって、冷たい表情…瞳の中に…
なんだか泣きそうな色が見えるんだもん……
きっと…俺が気づいてない理由があるんでしょ…?
それ……教えてよ……

「…ねぇ…ニ…ノ……」
「そういえばさっ!!……あの子…ゆうきくんだっけ?
明日診察日だからさ…時間遅れないように
確認してあげてよっ!!」
「…えっ…?う…うん…」
凄い早口で話始めたと思ったら、いきなり
今ゆうきの話…?

「それとさ……また…診察台の近くに椅子…
必要かな?この前、帰る時には歯医者に
慣れたように見えたからもういらない?
あっ!相葉さんは昼間仕事でしょ?
もし一緒に来るなら……おっ…奥さんの方かな……」
ペラペラと今までにない早さで捲し立てるけど…
そんなにゆうきの事を心配してくれてるの?
今?この状況で……?
「……昼間はたぶん…ばあちゃんが一緒に
来てくれると思うけど……なに…?ニノ…?
なんか変じゃない……?」
「はっ?なにが?いつもと変わらないけど…」
言葉は強気なんだけど…
明らかにいつものニノと違う…
……それに…ちょっと……泣きそうじゃん……

「あぁ……変だというなら相葉さんの方じゃない?」
泣きそうだと思ったら今度はまた…冷めた表情…
「……なにが…?」
思わず、声が低くなってしまったのが
自分でもわかった
でも、ニノはそれに一瞬怯んだものの先を続ける
「……こっ…子どもがいるのに…俺に可愛いって
言ったりさ…距離感バカなんだよ…
なにが…俺もニノって呼びたいだよ……毎朝毎朝…
待ち合わせの約束なんかしてないのに……
コーヒーショップなんか…来るなよ……
休日に公園でキャッチボールなんて…良い父親像…
俺に見せんじゃねぇよ…」

やっとニノが思っている事を言ってくれたと
思ったら変わらず早口だし、所々何いってんのか
わかんないけど……
でも、ゆっくりニノが吐き出してくれた言葉を
咀嚼する……
「…ニノ…やっぱり可愛いって言われるの
嫌だった…?」

俺が一番気にしていた事を聞くと…
あ~とも、う~とも言いそうで言わない…
なんだかハッキリしないな…
「……大体…家族っていう大切な人達がいるのに、
俺に可愛いとか言うなんて…おかしいだろ…
なに?からかってんの?」
次にニノが発した言葉に耳を疑う……

家族がいる?誰に?もしかして俺に……?
ニノはなんの勘違いをしているの?

……だけど、言う事を言った後の
そっぽを向いているニノを見ていたら
わかった気がした……


……なんだ……そっか……
そういうことか……

明らかにニノは怒って横を向き、俺と視線を
あわせないけど、理由がわかった俺にはそれさえも
可愛く見える……
むしろ…この状況は嬉しく感じちゃうんだよ…
だって……ニノのその態度……
勘違いからの嫉妬でしょう…?

いつも俺ばかりがニノの事を好きで、
追いかけてて…
俺の言動で時々耳や顔が赤くなるを、
もしかして俺の事を好きだったらいいな…って
淡く思っているだけだった…

だけど…今目の前にいるニノは…
明らかに不機嫌で怒っているけど、俺の様子を
窺っているようにも見えて…

うん……ニノには悪いけど…
すごく嬉しい……


でも……どうしようかな…
ニノが怒っているこの状況では、次の瞬間にも
出ていけと言われかねない……
すぐに誤解だよ……ゆうきは弟の子どもなんだよっ
て言ってあげればいいんだろうけど……

「…最近…ゆうきの母親とは会ってないんだ…」
と、少し声を抑えて呟く
これは本当…
弟のお嫁さんは弟同様忙しい…

でもこの言葉を聞いたニノの反応は、
えっ?と少し期待するような反応で俺を見る……
だけど直ぐにそんな事を思ってしまった自分を
責めているのか、俯いてしまった…

ごめんね…ニノ…
随分と意地悪な事をしているのはわかってる…
でも、ニノが俺の事が気になってる…
嫉妬してしまうほど好きになってくれている
という小さな事実がもう少し欲しいんだ…

俺がニノに気持ちを伝える為の、
決定的なものが欲しい
ニノも俺の事が好きだという確信が欲しい…


「…ニノは……俺に子どもと奥さんがいるって
知ったから、機嫌悪いの?」
「はっ?なに言って…
相葉さんに、か…家族が居ようが居まいが
俺には関係ない…」
「じゃあ…そんなに怒る必要ないじゃない…
関係ないなら…」
そういうと、押し黙ってしまった
しかしすぐに…
「家族がいるのにわざわざ他人の…しかも男の俺に
『可愛い』なんて言うのも変だろっ!」
「……ホントにニノが可愛いと思ってたから、
言ってたんだけどな…じゃあもう言わないように
するよ…ついでにもうあのコーヒーショップにも
行かないようにする……」

……なんて、これは大きな大きな賭け…
ニノの表情、反応を一瞬たりとも
逃さないようにする

「別にいいんじゃない?さっきから俺には
関係ないって言ってるよね?」
そう言いながらニノの瞳の奥が揺れた気がした…

あ…泣いちゃいそう


そう感じ取った俺は
ニノの腕を引っ張り自分の胸の中に閉じ込めた