sugar rush 1 | 静かな夜に

sugar rush 1

素人が書いた妄想小説です

嵐のにのあい  非リアル設定です

BLチョロッとだけ





「あっ……痛てて……」
思わず右の頬を押さえる
ズキンズキンと鈍い痛み…なんだか嫌な予感…

とりあえず会社の備品の薬箱から痛み止めを
取り出す
さっき飲んだの…何時だっけ…?
飲んだ直ぐはなんとなく痛みも引いた気がしたけど
またズキンズキンと痛みだす…
これ…もう薬じゃ誤魔化しきれないかな…

数日前から違和感はあったんだ…
だけど今は歯医者に行きたくても仕事が忙しすぎて
行く時間が取れない…
そもそも毎日残業続きで、歯医者が開いてる時間に
受診出来ない…

……どうしよう…
こうなると、ずっと歯の痛みの事しか
考えられなくなって仕事にならない…
とりあえず今日は仕事を切り上げて受診しないと…

俺は立ち上がって会社を後にした


……そして時刻は20時少し前
着いたのは実家のそばの
『二宮歯科』
昔はここのおじいちゃん先生に
診てもらっていたんだ
なんとなく、昔から知ってる所の方が
安心出来るかなと思って、わざわざ実家近くまで
来ちゃった…
実家と俺の一人暮らしのアパート…
そんなに遠くないしね

それにここのじいちゃん先生凄いんだ…
痛みなんてなくて、気づいたら治療が終わってる…
……最後に来たのは…もう…中学生ぐらい…?
その時よりも看板も外観も古くなっているけど
雰囲気はそのまんま……懐かしささえ覚える……

懐かしくて、思わず佇んでいると
「お大事に…」との声と共に女の人が
患者さんと出てきた
その人を見送ったあとドアに掛かっていた
『診察中』の札を裏返し『本日終了』に替えた

「あっ!ちょっと待って待って!」
慌ててその女性に声をかける
せっかく来たのに、歯を診てもらえないのは困る
何しろもう薬では誤魔化しが効かない所まで
きてるんだ…
「…すみません…もう診療時間終わりなんですよ…」
この女性…歯科助手さんかな…
が、申し訳なさそうに話す…
いや、診療時間終了はわかるんだけど…
どうしよう……

絶望に打ちひしがれていると
「…山田さん…どうしたの…?」と
中から男の人の声
「あっ!二宮先生…」
歯科助手さんがほっとしたような顔になる
二宮先生と呼ばれたその人は
ドアからひょいっと顔を覗かせ、俺を見ると
「歯……痛いの……?」と聞いてきた

「はいっ!!スッゴク痛くて
どうしようもないんです!!」
俺はここが最後のアピールの場だと思って一生懸命
答えた。治療が無理ならせめて市販薬ではない、
もっと効き目の強い痛み止めとかくれないかな…
なんてそんな期待をしたんだ……
そしたら、
「…元気じゃない…」ってクスクス笑われた…
あれ…逆効果だったのかな……でも歯が痛いのは
本当なんだけどな……
そんなことを思っていると…
「…いいよ…そんなに痛いなら…入って…」と
中に入るように促してくれた
その言葉に歯科助手さんは
「二宮先生っ!!」って慌てたように声をかけると
「山田さんは帰っても大丈夫だよ…
お子さん、まってるんでしょ?
一人で大丈夫だから…」と優しい口調で答える

俺は申し訳ないな…と思いながらも、
診察して貰えることがありがたかったから
そのまま中に入った