Amore 11 | 静かな夜に

Amore 11

素人が書いた妄想小説です

嵐のにのあい  非リアル設定です

BLチョロッとだけ




ベッドからソッと降り、朝食の支度をするために
キッチンへ…
暫くすると、ペタペタと後ろから足音がし、
俺の腰に腕が回る

「…まぁくん……怒ったの…?
俺が可愛くない態度をとったから……」
あぁ……さっきの…毛布を被って
なかなか出てこない事を気にしていたのか……
可愛くないわけないじゃないか……
朝、目が覚めたら隣には恋人がいる
その恋人はこんなに可愛い事を言ってきてくれる……
なんて……絵に描いたような幸せな朝……

俺の背中に抱きついているのを、向きを替えて
顔を上に向かせる
その琥珀色の瞳を見つめながら、
ソッと唇を重ねると、ちょっと赤くなる顔…でも…
俺の顔を真っ直ぐ見つめながら微笑む表情を見て、
心の中があたたかいもので満たされる……

「さぁ…簡単だけど朝食出来たよ…
食べようか……カズ……」
パンと、卵を焼いただけの簡単な朝食…
それでも目の前にカズが座っているだけで、
意味がある……


「今日、まぁくんはコンビニのバイト?」
「そう…夕方からね…。
カズは…午後大学のゼミだっけ?」
二人の今日の予定を確認する……
じゃあ、お昼までゆっくり出来るね…と
嬉しそうに言うカズに思わず俺の顔も緩む


カズ……
……二宮和也……
現在、大学三年生。

まぁくん…は俺のこと……
相葉雅紀…『雅紀』だから『まぁくん』……
コンビニやその他のバイトも掛け持ちしてる
フリーター

俺たち二人が出会ったのは、うん……
どこにでも転がっていそうなエピソード
俺が働いているコンビニにカズが
たまたまお客さんとして来ていた……

3ヶ月前のある雨上がりの時に
カズはコンビニに傘を忘れていった
なんてことないビニール傘だったけど、
一応落とし物として事務所で保管する
ビニール傘だし、そんなに高い物でもないから、
これはこのままゴミになるのかなぁと思っていたら
その日の内にカズが傘を取りにきた
凄いキチンとしてるんだなぁと思ったのが、
その時のカズの印象……

それから、コンビニでお客さんとして来れば
軽く会釈をするぐらいの仲となり、
レジで一言二言話すような関係となり、
その内に、ご飯行ったり遊びに行ったりして、
それから恋人同士となった

俺たちは同性同士だったけど、意外と友達から
恋人になるのに時間はかからなかった…
お互い…それが当たり前のように距離が
縮まっていったんだ……
そう、すんなりとね……




……それも……そのはず……





だって俺……



『悪魔』だった頃の記憶……
……そのまま……持ってるもん……

ううん……正確にはその前の『天使』だった時の
記憶も残ってる……

『人間』になる時に、俺が『悪魔』として10年間
居たこと、それからその前の『天使』でいた時の
記憶は消さないといけないって
あの時サトシさんは言ってたのにね……


その記憶を忘れてないから、初めてカズが
俺のバイト先のコンビニに現れたときは
「やっと逢えた」って感じたんだ
絶対恋人同士になれるって確信があった…


……だって、そうじゃなければ
人間になった意味がない……


……でも…カズも…
前の記憶を持っているのかどうかは…
…わからない……

聞いてないんだ……

なんとなく……聞けない……



俺とカズが友達として仲良くなっていくなかで
色々な話をたくさんした

驚くことに、俺とカズには共通するものが多くて、
幼い頃に両親を亡くしているとか、
施設で育ったとか…
それに細かい所で、少年野球チームに入ってたとか、好きだった漫画の話とか……
その一つ一つにカズは  一緒だねと
嬉しそうに笑った


だけど、俺にはその幼い頃からの想い出は
まるで取って付けた想い出のように感じるんだ
『作られた想い出』とでもいうのかな……


両親を亡くしたのは幼い頃だったから、
覚えていないにしても、お世話になったはずの
施設の場所がわからない…
野球チームに入っていたけど、その時のメンバーの
顔は思い出せないし…好きだった漫画も
キャラクターは頭に浮かぶけど、
ストーリーが思い出せない……
こんな感じ……

だけどね、コンビニでカズと会った瞬間から、
その場面が、大切な記憶として刻まれていく……
そう……
その瞬間からやっと『人間』として
生き始めたみたいに


俺はね……
それでも全然構わないんだ…
だって、カズと一緒になるために
人間になったんだから……
カズと居られれば
それ以前の記憶があやふやなことなんて、
大したことじゃない……


…だけど、カズは…?
俺との共通点を見つける度に、嬉しそうにする。
カズは昔の想い出を本当に大切にしている…

そんなカズに、天使だった頃の記憶があるか?
なんて…


聞けない…