シンデレラのスニーカー 28 | 静かな夜に

シンデレラのスニーカー 28

素人が書いた妄想小説です

嵐のにのあい  非リアル設定です

BLチョロッとだけ



『そっか…出張ならしかたないね……気をつけてね』
『うん……また皆でご飯食べるの楽しみにしてる』

さっきの にのとのメッセージのやり取りを
見てため息をつく…
先週はどうしても断れない接待があるとかで
うちでの食事会は無かった
…そして、今週はにのが父親と視察の為の出張だ
ということで、また食事会がなくなってしまった……

うちににのが来たのは大ちゃんのカレーを
食べたのが最後……
その買い出しの時に俺のバイト先の同期がにのに
失礼な事を言ってしまい、その後からにのの元気が
無くなったように見えた……
帰りも、そそくさと帰ってしまったように感じて
俺は気が気ではない……

とりあえず俺は、同期とバイトで一緒になった時に
…ああいうことは言うなと釘を刺しておいた……
俺はにのに逢ってから一度も、就職に有利だから…
とか思ったことはないし…
俺がにのと居たいからいるんだと…
強めに説明したらわかってくれ、謝ってきた…
本来ならにのに直接謝ってほしいところなんだ
けどね……

それから…
にのに…逢ってないんだ…
理由はさっきみたいに、仕事上のりっぱな理由…
メッセージだって、ほぼ毎日してる…
内容は……今日俺が見かけた面白いものだとか、
テレビの内容だとか……
くだらないけど……
でもそのくだらない内容にも、にのは反応して
メッセージを返してくれるから、
避けられてはいないんだろう……


でも……
やっぱりちゃんと逢って…
顔を見て…話をしたいよ……



今週こそは…と意気込んでメッセージを送る…
『今週はどうかな?今度は煮込みハンバーグ
作ろうと思うんだけど……』
ハンバーグが好きなにのへの、わかりやすいお誘い…
でも……その返信は……
『……ごめん…その日は人に逢わなくちゃ
いけないんだ……』


仕事で忙しい にのに、これ以上の負担は
かけられない
『そっか……じゃあまた来週ね☺️…』
ニコちゃんマークをつけ、字面を明るくする…
本当は涙のマークでも送りたい所だけど…
そんな事をしたら、きっとにのは気にしてしまう
から……
だから、俺の本音は少しだけ隠す



****
「おっ?今日の夕食は煮込みハンバーグか?
美味しそうだな」
土曜日の昼下がり…
珍しく、この時間に部屋から出てきた大ちゃんに
そう言われた

今日も、食事会はないから大ちゃんと翔ちゃんと
三人の夕飯だ
今日は『人と逢うから』とにのに言われて、
食事会を断られた日…
……なのに、煮込みハンバーグを作ってるとかね……
にのは来ないのに……
どんだけ、女々しいんだよ…俺……

「雅紀が手の込んだ料理を作る時って…大概…
何かに悩んでたり、現実逃避したい時だよな……」
煮込みハンバーグと一緒に食べる為、
パンを切っていた俺に大ちゃんが言う……

……っえ……?
そんなこと……

自分では気づかなかったけど…
そうかも……
無心で料理を作ることで、心を落ち着かせていると
いうか……
「…きっと翔ちゃんも気づいてると思うぞ…」
手を止めて大ちゃんを見ると
「……一緒にいる期間はまだまだ短いけど……
それでもわかる……家族なんだから……」
そう言って、頭をポンポンと触れると
切ったパンを一枚掴み、つまみ食いしながら
自分の部屋へ戻っていってしまった……


俺は料理をする手を止め、ソファーへと座った
さっきの大ちゃんの言葉が頭をグルグル回る
悩み事……現実逃避……


今の俺の悩み事は、『にのに逢いたい』の
一択なんだけどな…
でも、にのは……今仕事を頑張っているのだから…
 俺なんかが邪魔しちゃいけない…
きっと俺が想像もつかないような仕事の大変さ
だってあるだろう……

そうだよ…
あのバイト先の田中が言った言葉…
あんな酷い言葉も、もう何回も言われてるのかも
しれない…


かたや、俺はしがない専門学生…
俺の方が年は一つ上のはずなのに、
この差はなんなんだろう…なんて…


大きなタメ息をつくと、ジムに行っていた
翔ちゃんが帰ってきた
「おっ?今日は煮込みハンバーグか……
あれっ?今日二宮さん来る日だっけ?」
キッチンを覗き込みながら呟く

翔ちゃんも  二宮さん=ハンバーグって
イメージになってるのかな……

ただ俺が作りたかっただけだと言おうとした時、
翔ちゃんが信じられない言葉を
吐いた…

「来るわけないよな………だって松本さんが、
今日二宮さんはお見合いだっ……て言ってたし……」



………は?


いま……翔ちゃん……なんて言った?