シンデレラのスニーカー 8 | 静かな夜に

シンデレラのスニーカー 8

素人が書いた妄想小説です

嵐のにのあい  非リアル設定です

BLチョロッとだけ




「…あの……本当に大丈夫ですか…
さっきまで一緒にいた松本さんは……」
なんとなく声と手の震えが気になって、
さっきまで二宮さんの後ろに一緒にいた
松本さんの事を聞いてみる…
「…潤くん?潤くんはね…今飲み物と軽い食事を
取りにいってる…よく潤くんの事知ってるね……」
二宮さんが聞いてくるから、
またしてもスニーカーで来てしまって、
松本さんに会い、革靴を貸してもらったことを
話さなくてはいけなくなった…

「…そうなんだ…普段革靴履き慣れてないから、
そんなになってるの…?」
そう言いながら、俺の足元を指差す…
見ると片方の靴紐がほどけていた…
慌ててしゃがみ込み、結び直すが上手くいかない…
何回やっても縦になってしまう…
なんだか立派な革靴で紐が縦になってしまうなんて
…カッコ悪い……

アレッ?アレッ?と何回か靴紐を結んだり、
ほどいたりしていると、目の前に柔らかそうな
指先が伸びてきた
「あなた……意外と不器用なのね…
ほらっ最初に結んで上にきてる方をこうして……
よしっ!!」
あっという間に靴紐を綺麗に結んでくれた

「…あの…すみません…ありがとうございます…」
未だに俺の足元にしゃがみ込んだままの
二宮さんにお礼を言うと、ふと顔が上がり
目が合う……
吸い込まれそうな、琥珀色の綺麗な瞳…

「……急に目の前に顔があると、
びっくりするんだけど……」
二宮さんの冷静な声に慌てて、顔を離そうとすると
その反動で後ろにしりもちをついてしまった……
「…っ…痛ってぇ……」
思わず、声が出ると目の前の二宮さんは
またしてもクスクス笑いながら
「…どんだけ、忙しないのよ……」と片手を
差し出してくれ、俺が起きるのを手伝ってくれた

するとそこに
「かずっ!少しはお腹に何か入れないと……
あれっ?」
松本さんが、お皿とグラスを持ってやってきた
「…何かあったんですか?」と
俺に聞いてくる…

松本さんが戻ってきたのなら、
もう心配ないだろうと安心したことと、
さっきの事を勝手に俺が言ってもいいのだろうかと
考えていると
「…なんでもないよ…それより潤くん…
何持ってきたの?」
と、二宮さんは松本さんが持ってきたお皿を
覗き込む


さっきたくさんの招待客の前での二人の振る舞いと、
この今の砕けた感じのやり取り…
なんだか違い過ぎて困惑する…
さっきまで松本さんは、二宮さんの後ろに下がって
言葉遣いもまるで秘書…?執事?みたいだったのに…

「……なんだか、お二人の感じ…
さっきと違いますね……」
どうしても気になってしまい、失礼かと思いつつ
質問してしまった…
すると、二宮さんが
「あぁ……俺と潤くんの母親は姉妹なんだ…
だから、潤くんとは昔から知ってる
従兄弟同士ってわけ……」
俺の質問に答えてくれたかと思いきや、

「あっ!……このサンドイッチ卵焼きタイプじゃん!
俺、このタイプの玉子サンド苦手なの知ってる
でしょっ!!」
「これしかなかったんだよっ!他にかずが
食べられそうなヤツがなかったんだから
我慢しろよっ!」
と、まるで兄弟喧嘩のようなやり取りを始めた

なんだかその様子が、…意外でびっくりした
二宮さんは俺の……一個下だっけ…?
なのにさっきの沢山の仕事関係の人に
囲まれているのをみた時は、凄いと思ったけど
なんだかアンバランスのようで……
さっきの襟元掴まれていた時も声震えてて……
こういう場所では仕事なんだから
いつもの自分以上に
背伸びしなくちゃいけないのかなって思ったけど、今、松本さんといる二宮さんは、
年相応というか、さっきと比べてとても幼く見える…
たぶん、喧嘩している内容も影響していると
思うけど……

未だにギャーギャー言い合っている二人をみて
思わず、くふふっと笑い声が出てしまう
それを聞いた二人が揃って俺を見る
「……なによ……?」
二宮さんは、そんなやり取りを俺に聞かれていたのが
恥ずかしかったのか、ちょっと顔を赤くしながら
しかし、話し方はさっきよりもだいぶ砕けた感じで
話かけてくる

それがなんだか、可愛らしくて
もう一度笑ってしまった
「…いや、ごめんなさい…つい……
……二宮さんは、卵サンドはみじん切りの玉子に、
マヨネーズ…が好きなんですか?」

思わず、『つい……』のあとに『可愛らしくて』と
言いそうになった所を堪えて、
慌てて質問に変えてみた……
流石に初対面の人に可愛らしいなんて言ったら
失礼だろう……

すると、俺のいきなりの質問にも
「そうっ!あのマヨネーズと玉子って
最強な組み合わせじゃない?」
と、興奮しながら答えてくれた…
すると…
「……この人、偏食なんですよ…
好きなものには拘るけど、基本あんまり食事に
興味がないんです…それに高すぎる料理を
食べるとお腹壊しますし……」
「っ!ちょっと潤くんっ!何いうのよっ!」
慌てた様子で松本さんの口を塞ごうとしてる……

……だからね、その二人のじゃれあいが、
もう可愛いんだよね……
また笑いそうになる口元を手で隠す……


すると、
「雅紀っ!そろそろ帰ろうか!
あっ…二宮さんも…松本さんも……
こちらにいらしたんですね…」
と翔ちゃんが俺を探しに来てくれた…


もうそろそろ、夜も深くなってきたということで
俺達は、二人に挨拶をし、
その会場から帰ることになった