まずサーブで火種があがり

トスの仕草で火が大きくなり

ブロックした瞬間最悪な結末確定で

アタックで関係性終わる

 

そんな不機嫌バレーボール

 

『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼』

著:堀元見、水野太貴

 

 

 

 

 

Xを覗けば言葉について毎日毎日どこかで誰かがご自身の主張をされている。その言葉が発せられた温度も空気も分からないから何の判断も出来ないのに、きっと当人は話したくて知ってほしくて自分が正しいと肯定したくて書いてるのかなと考えると、みんなお喋り好きだなと感心する。ま、わたしもね。

 

言葉は不思議だ。

意味の他に温度があり情緒がある。

だから厄介だし、楽しい。

 

我が家ではお腹が痛いことを「ポンポン、イタタ」と言う。残念ながら40代と50代の世知辛い世の中を死んだ目で生きている熟年夫婦なのだがお腹はポンポン。誰かに盗聴されていたら確実に小さい子がいる家だと思われるが、そこにはカサカサ肌の腰痛持ち夫婦しかいない。

 

では、なぜポンポンでイタタなのか。

 

それは棘

言葉が持つ棘のせいだ。

 

イライラした不機嫌な顔で

「私お腹痛いんだわ」と

「私ポンポンイタタだわ」ならば

前者は触らぬ神に祟りなしだが後者は気軽にお薬提案できる。正確な言葉は確かに情報の伝達としてパーフェクトだが言葉を発した際の表情を3割増にしてしまうので不機嫌は更に不機嫌になるが、言葉を変えてオノマトペを使えば顔は不機嫌でも相手に不機嫌をぶつけたいわけでは無いアピールが可能。それに、いい大人が真顔でポンポンって言うんですよ。仕事先では頑張ってるんですもの、家の中ぐらい大人じゃなくていいじゃないですか。

 

そもそも腹痛はご自身でどうにかするしか無い問題で、救急車レベルなら不機嫌通り越して悶絶しているはず。腹が冷えたのか食べ過ぎか飲み過ぎか毎月のものなのか精神的なものなのか分からず、その問いかけにお薬飲むかお腹温めるか病院行くしか返答の選択肢が無いのに不機嫌のボールも一緒に投げつけられたらたまったもんじゃない。

 

そう、この不機嫌のボール。

投げちゃ駄目、ぜったい。

 

だからこそのポンポンイタタ

 

不機嫌に伝えるのか

不機嫌を伝えるのか

 

正しいも大切だけど

相手を忘れずに

ポポポポーン