今日、失敗をした。
ゴミ出しが間に合わなかったのだ。
清掃のお兄さんが来た気配で
慌てて玄関を開けた時には
両手に白い袋を下げた
お兄さんの凛々しい後ろ姿が
遠くに見えていた。
私、ブラトップ一丁だった。
考えた。
海外スタイルなのって開き直って
お兄さん追いかけるべきか。
でも、忙しく働くお兄さんの思考を
汚しちゃいけないと思って。
パタンと玄関の扉を締めたよ。
そう、そんな失敗は生きてるうちに沢山経験する。その失敗の経験は笑い話にするのが一番いい方法だと思ってる。でも、それがもし、海外で英語が話せなかったら。我は悶々の塊と化すだろう。
『ニューヨークが教えてくれた“私だけ"の英語 “あなたの英語"だから、価値がある』
著:岡田 光世
銀座を歩いている時、海外からの旅行者に「そのトレンチコート素敵ね!」と言われアワアワしてしまった事がある。そんな素敵な言葉を歩いてて言われた事無いし、咄嗟に返す言葉が出てこなかったのだ。どこの商品か聞かれたので「Muji」と答えハニカミ笑いでその場を去った。
本当はもっと伝えたかった。このトレンチコートは母に買ってもらって、すごくお気に入りなのって言いたかった。でも英語で瞬時に言えなかった。数年経った今でも、ジワリと悔しさが蘇る。
伝えたいことがある。それが相手に正しく伝わると心が晴れる。その繰り返しのおかげで積もる嫌な思いは消え、新しい感情を迎え入れるようになる。
この本でニューヨークの人々の掛け合いを読むと、人々の懐の深さに驚くと共に、空気を読む事と自らを主張する事のバランスが上手だなぁと関心する。自分の心を守るために伝えること、相手を尊重するために空気を読むこと。そのどちらも必要だが、なかなか上手くできない。
英語じゃなくてもいい。
私は最近、手話の動きが綺麗だなと感じることがある。あと生まれ故郷である北海道のアイヌ語にも心惹かれる。
グローバルな視点でとか、国際的な舞台でなんて立派な理由はいらない。素敵だし、綺麗だし、気になるし、伝えたい、そんな人が目の前にいる、それだけで十分だ。
今日ゴミ出しを失敗したのってアイヌ語で。
その時ブラトップ一丁だったのって手話で。
お兄さんの思考を汚しちゃいけないって英語で。
どうやって伝えれればいいんだろう。
そんな事を考えつつも
ひとまず起きたてホヤホヤの夫に、朝の失敗談を日本語で捲し立てようと思う。
●次の収集日の木曜日まで私の気持ちは悶々なので、この際、大掃除してやろうかと目論んでいる。台風だし。海外のスプラッター映画か関西のお笑い番組を爆音で流しながら。