良いのか悪いのか、最近高級なお肉が食べられない。最初は軽快に箸が進むのだが途中から喉ストッパーが発動し飲み込めなくなるのだ。これは私だけの現象かと思ったが夫も同様とのことで歳なんだなと目を瞑るしかなく少し寂しい。思えば歳を重ねると食の好みが変化していくのは面白い。食べ物の好みは自らの変化を表す最高のモノサシなのかもしれない。

 

食べる物、食べられる物、食べられない物、食べない物。その境界線に存在する文化。あるモノは可愛いから人間の隣に友として存在し、あるモノは醜いから殺害し、あるモノは美味しいから食べる。自らの文化とは違う食文化を持つ者たちを野蛮だと言う人達の手の中には可愛がられるために品種改良させられたモノがいるのだろうか。動物を愛で語る人は多いが人間の曖昧な愛で語ることほど怖いことはない。自分の子供のように思っていますと言いつつ最近仕事が忙しいから今は実家で育ててもらってますって最高なホラーだと思う。