午前1時。予想されてた熱にうなされる。大人になってから滅多に熱を出さなくなったので久しぶりの感覚にテンションが上がる。39度を超えると感情の起伏も激しくなり熱くなった布団にくるまれながら過去を思い出し一人で泣いたり笑ったり。疲れる。思い出すのは小さかった頃に風邪をひいて寝込んでいた時の事。ずっと母は起きていた。布団の枕元には吐いても大丈夫なように洗面器が置かれ、熱で震えながらもポカリスウェットを飲み、大きなメロンパンを頬張る。そして必ずグレープフルーツが食後に出されるのだ。同じ風景を二度と見る事が出来ないなら、もっとしっかり味わっておくべきだった。そんな事を考えていたら涙が止まらない。ワクチンを打って熱で感傷に浸って号泣するなんて家族が聞いたら笑うだろうな。

 

熱さで悶える午前4時。急に全身から汗が出てくる。ゆっくりと症状が変化するいつもの風邪とは違う、突然の変化。その汗のおかげか熱が下がり睡魔が襲う。気が遠くなる。そしてあの日の母の姿も遠くなっていった。