18歳の初任給で敷金礼金を支払って賃貸契約をしてから結婚するまで部屋を異常に綺麗に使っていた。家賃は一番高い買い物だったからというのもあるが、ここは私の場所ではなく借り物であるという意識がどこかにあった。もちろん賃貸だから借り物なのだが、その所有者は誰か個人ではなく、しいていえば地球みたいな?ものすごく壮大な話になってしまうが、そんな気がしていたのだ。だって、絶対、いつぞやの人骨あるでしょ。ただ一時、この時代のこの時間だけ一区間お借りします、皆様の頭上で寝泊まりしますがよろしくお願いしますっ!と考えながら床をピカピカにしていた。

そんな私なので、どうもお墓に対してスッキリしない。なんで死者が土地を所有するのか。あんなに石でガチガチにしちゃったら草木も生えず生命も生まれないじゃない。大地は生きてるものの輪の為のものじゃないの?って、なんかずっと思ってる。他人には決して言わないけど。

 

祖母は老衰で朝に亡くなった。亡くなる前の夜、彼女は寝言で鼻歌を歌っていたらしい。病院の同室の人が教えてくれた。いつも畑仕事が楽しくなると鼻歌を歌っていたので、きっと夢の中で畑仕事をしていたら三途の川まで辿り着いてサッサと渡ったのだろう。長生きなんてするもんじゃないって言ってた人だから。

 

だから、思う。祖母、きっと墓の中にいない。

「あんな暗いとこいるわけねえべ、狭いし、結婚だって家の都合で仕方なくしたんだから。未練?無い無い!次!次!」

 

ということで夫には私が死んだら宇宙葬にしてもらおうと思ってる。

骨だけでも「宇宙旅行歴:あり」って事で。