多数の死傷者を出したJR脱線事故の発生から
1週間がたった。
企業のリスク管理に関心を有する一弁護士として、
本件で気になったのは、多数の方も感じているように、
企業トップの事故後の対応、
具体的には、特にマスコミに対する対応である。
事実関係が全く明らかになっていない段階で、
事故原因が置き石にあるかのごとき発言を行い、
その後の調査により、
本質的な原因が別の所にあることが判明するなどとは、
企業の経営陣に危機管理に関する意識の低さを
強く感じずにはいられない。
企業における事故や不祥事(事故等)の発生後において
最も注意すべきは、
その事故等が発生したそのこと自体は
最早どうにもしようがないのだから、
後はいかにして、
いわゆる「二次災害」を防ぐか、ということである。
(もちろん被害回復に努めることが最重要ではあるが、
この点についてはまた別の考慮を要する。)
ここで二次災害とは、要するに
事故等発生後にその事故等に対する経営陣の
対応が適切でなかったために、
それに起因して発生するレピュテーションリスクや、
マネジメントの責任問題の発生等のことである。
そもそも、事故等が発生することがないように
企業の内部統制システムを構築することが
企業の経営者の責務に包含されるということは
今日では特に異論はないであろうし、
企業の経営陣がこれに注力すべきことは当然である。
しかし、その上で更に問題となるのが
事故等発生後の経営陣の対応である。
本件のように不正確な情報、
しかも自己の責任を回避・軽減する方向に
働きうる情報を拙速な形で開示するなどというのは、
危機管理態勢の欠如を如実に表しているものと
言われても仕方がないであろう。
私などは、
この人たちは弁護士に意見を聞くことを
しなかったのだろうか、と本当に首を傾げてしまった。