趣味は何ですか?と聞かれて、ずっと続けてきていることと言えば散歩だったのです。

 

特に、10代20代の頃が、本当に会話ができない人間だったので、自分に起きた出来事を人に話して整理するのではなく、散歩によって消化してきたところがありました。

 

今でも実家の方にたまに帰って、当時ずっと歩いていた散歩コースをひとりで歩きます。

 

どこの道をたどって、どこの自販機で缶コーヒーを買ってとか、そういうコースが決まっていたのです。

 

受験の時に、どうやっても勉強のコツがつかめない時も同じコースをブツブツ言いながら歩いてきたし(笑)

 

友達の信頼を裏切ってしまった時にも、落胆しながら歩き、

 

学校に入って研究テーマがよくわからなかった時も、歩いてきました。

 

ただ、そういう散歩をずっと続けていくと、たとえばこういう冬の、雪が降る前日とかって、景色が心なしか「シン」としてきて、街から音が消えていったりします。

 

もうすぐ雨になる時は、心持ち、景色がウェットになるというか、ソリッドな写真の絵から、水彩画のようなシーンに入れ替わっていったりもします。

 

そして何より、散歩をしていると、「今日まで続いてきた景色が、まだ終わっていないのに、もう過去の風景として感じられるようになってきた」という瞬間に立ち会うこともありました。

 

僕は、自分自身の大きな決断というか、大きな変化の境目に関しては、散歩にずっと尋ねてきた記憶があります。

 

たまに、人と話してもよくわからないで整理ができない時って、散歩はお勧めしたいです。

 

「あの角を曲がってお花を買って、おいしい焼き芋屋さんで芋を買う」

 

になると、それは散歩ではなくて用事になっちゃうので、もし良かったら「このお店でドリンクを買う」ぐらいの、ひとつだけの楽しみにしておくのが個人的にお勧めです。あの寺に生えてるタンポポを見にいくとか。