最近星野源さんと細野晴臣さんの対談本の『地平線の相談』(2015年、文藝春秋社)を読んでいるのですが、そのなかで星野さんが細野さんにLiveについて尋ねる場所があり、細野さんが「ライブって自分の調子に合わせてやるべきだ」みたいなことを言っていて、そこをちょっと引用します。

 

細野:そういえば、最近やっと気がついたんだけど、ライブっていうのは伸び縮みがあるからこそ面白い。その場のコンディションで変わるからね。今日は調子悪いなと思ったら、調子悪い演奏をしないと。

 

星野:逆らっちゃいけない。

 

細野:だから、気持ちに逆らわず、後ろ向きたかったら向いちゃえばいいんだよ。

 

(『TV Bros. 』2007年11月10日号より)

 

この細野さんの「今日は調子悪いなと思ったら、調子悪い演奏をしないと」の部分がものすごく衝撃的で。

 

最近その意味をすごく考えるのです。

 

どうやっても調子が出ないときってあります。で、この言葉が胸のなかに入ってきてからは「あ、調子悪いんだ」と、そこになんの意味も加えずにストンと受け入れることができたのです。

 

なんかほら、やっぱり「調子が悪い」と焦るじゃないですか。「こんなはずじゃない」とか「早く終わらせないと寝られない」とか。そういうときに焦っちゃうと「力を発揮しない自分」に腹立ってきたりするんですよね。それで焦りが焦りを呼んでどんどんズレが生じてきてしまう。

 

しつこいけどもう一回良いですか(笑)

 

「今日は調子悪いなと思ったら、調子悪い演奏をしないと」

 

この言葉を知ってから、実はあんまり緊張しなくなりました。もちろんすごく色々な場面で緊張するのですが「今日60点の体調とか心理状態なら、その60点を信じられる」というか、そこから上げてけばいいやってちゃんと考えられるようになったのです。

 

だから、原稿とかでも「アイデアが浮かぶまですごく時間がかかる」というときでも「そしたらいつもよりも時間をかければいいや」と、その状態を受け容れることができやすくなりました。

 

プロってもしかしたら60点の瞬間もあるけど、そこから観客に気づかれないように「そのときにしかできない100点に持っていく術」を持っている人たちなのかなって思いました。

 

雑談でした。