【第87回】新規事業は、甘い覚悟から崩れていく


居場所を決めたあとに、試されるもの

新規事業は、アイデアでは決まりません。

商品でもありません。設計で、ほぼ決まります。


でもそれでも崩れる事業がある。

なぜか。

覚悟が、足りないからです。

◉新規事業は「決める仕事」だと、何度も書いてきました


• 居場所を決める

• 市場を切る

• 判断停止点を見つける

• 価値を設計する

• 価格で意思表示する

• 広げず、深く掘る


ここまでやれば、理論上は整います。

理論上は。


でも、崩れる。崩れる瞬間は、いつも同じです。

・反応が弱い

・数字が鈍い

・問い合わせが少ない


そのとき、心の中でこう言い始めます。


「もう少し広げた方がいいかも」

「少し安くした方がいいかも」

「もう少し柔らかくした方がいいかも」


ここからです。

◎一度ブレると、構造は元に戻らない

市場を広げた瞬間、誰の判断を引き受けるのかが曖昧になります。

価格を下げた瞬間、判断責任は顧客に戻ります。


言葉を柔らかくした瞬間、価値は抽象化します。


そして静かに、事業の「性格」が変わる。


◎新規事業が一番壊れるのは、黒字のときです

赤字なら分かりやすい。

でも怖いのは、なんとなく回っている状態。

・売上は立っている

・利益も出ている

・でも疲れている


それは、設計ではなく“無理”で回している状態。


◎1人親方で終わる事業の共通点


能力はある。売上もある。


でも、こう言います。

「結局、俺がやらないと」

これは責任感ではありません。


判断を、事業に渡せていない。


◎仕組み化に進む事業との決定的な違い

違いは一つだけです。

判断を、個人から構造へ移せるか。


これができないと、


• 人を入れても崩れる

• 売上が増えても疲れる

• 規模が拡大しても不安が増える


◎新規事業は、未来を作る仕事ではない


ここが最後の話です。

新規事業は、夢を見る仕事ではない。

未来の責任を、先に引き受ける仕事。


甘い覚悟とは何か

甘い覚悟とは、

• 反応が悪ければ変える

• 数字が鈍ければ広げる

• 不安なら値下げする


その場しのぎの修正。

でもそれは、設計ではなく、恐怖への反応。


本当の覚悟とは

• 居場所を守る

• 切った市場を戻さない

• 価格を安易に崩さない

• やらないことを守る


売上よりも、構造を守る。


新規事業編の結論

ここまで読んでくださったあなたへ。

新規事業とは、何をやるか、ではない。


どこでブレないか。

居場所を決めたなら、

守ってください。


市場を切ったなら、

戻らないでください。


価格を決めたなら、

逃げないでください。


それができる事業だけが、

仕組みになります。


それができない事業は、

どれだけ売れても、いずれ崩れます。


新規事業編は、ここで終幕です。

次回からは新章に入ります。

しいら