【第75回】判断がズレる会社、揃う会社
経営は「決め方」ではなく、「揃え方」で決まる
新年は、気合を入れる季節ではありません。
判断を設計する季節です。
ここを飛ばす会社ほど、
春に焦り、夏に迷い、秋に修正し、冬に後悔します。逆に、ここを整えた会社は、派手ではないけれど、一年を通して、驚くほどブレません。
今日はその理由を、「判断」という視点から、構造で解きます。
◉1|社長の判断が正しくても、会社は間違う
まず、大前提から。
業績が伸び悩む会社の多くは、
社長の判断が間違っているわけではありません。
むしろ、社長個人の判断は、かなり高い精度で合っています。
それでも会社が迷走する理由は、これです。
社長以外が、同じ判断を再現できない。
・A部門ではOK・B部門ではNG・現場ではグレー・最終的に社長が全部ひっくり返す
この状態、心当たりありませんか?
これは能力の問題ではありません。構造の問題です。
◉2|判断がズレる会社に共通する3つの構造欠陥
2-① 正解が「空気」に置かれている
・言語化されていない・数字と接続されていない・過去の成功体験に依存している
結果、現場はこうなります。
「たぶん、こうだと思います」「前はこれで怒られなかったので」判断が、察しゲームになります。
2-② 評価制度が、判断を壊している
・正しい判断より、結果が評価される・無理を通した人が称賛される・止めた人が評価されない
すると、現場は学習します。
「判断を守るより、数字を作った方が得だ」
正しい判断ほど、誰もやらなくなります。
2-③ 財務と現場が切れている
・数字は経理のもの・現場は感覚で動く・全体を見ているのは社長だけ
結果、判断はこうなります。
「一旦やってみます」→ 損失が顕在化する → 社長が後処理
◉3|判断が揃う会社は、何が違うのか
ここからが本題です。判断が揃う会社は、
社長が天才だからでも、
社員が優秀だからでもありません。
判断の置き場所が、まったく違います。
◉4|判断は「人」ではなく「構造」に置く
判断が揃う会社では、判断は個人の頭の中にありません。
次の3か所に、分散配置されています。
4-① 評価制度に置く
・どんな判断が「正解」なのか・どんな判断が「守られる」のか評価制度は、会社の判断基準の取扱説明書です。
4-② 組織設計に置く
・誰が、どこまで決めていいのか・どこから上に上げるのか
役職は、肩書きではありません。
判断権限の境界線です。
4-③ 財務・数字に置く
・止まる判断・進める判断・上げる判断
数字は管理のためではありません。
判断を切り替えるスイッチです。
◉5|実務:判断を揃える3ステップ
ここからは、今日から使える話です。
┗STEP① 判断を「役割」に割り振る
まず、これを決めます。
・社長が決める判断・マネージャーが決める判断・現場が決める判断
これを決めずに、
「自律」を求める会社ほど、混乱します。
┗STEP② 判断に「止まる数字」を持たせる
例です。
・利益率◯%以下 → 現場判断NG・工数◯時間超 → 上長判断・回収◯か月超 → 社長判断
数字はKPIではありません。
判断のブレーキです。
┗STEP③ 判断を、評価制度に反映する
ここが一番重要です。
・結果だけを見ない・判断プロセスを見る・判断を守った人を評価する
これをやらない限り、判断文化は、絶対に育ちません。
◉6|社長が楽になる会社の正体
判断が揃う会社では、
・会議が短い・修正が早い・失敗が致命傷にならない・社長が細部を見なくていい
なぜなら、判断が、会社に分散されているから。
◉7|まとめ
判断を抱え込む一年にしない。判断が揃う一年にする。そのために必要なのは、気合でも、経験でもなく、構造です。
判断を設計する季節です。
ここを飛ばす会社ほど、
春に焦り、夏に迷い、秋に修正し、冬に後悔します。逆に、ここを整えた会社は、派手ではないけれど、一年を通してブレません。
今年も、経営を「属人化」させない一年を。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
しいら