【概 要】

公証人法施行規則が改正(第13条の4が新設)され、

平成30年11月30日から、定款認証の際、法人成立時の実質的支配者について、

反社会的勢力ではないことの申告をすることが必要となった。

 

【手 続】

手続としては、従前の書類に加えて、申告書+本人特定事項資料を添付する。

定款が認証された場合は、定款の認証文に実質的支配者に関する申告内容が、

記載される。

また申告受理及び認証証明書の発行を求めることも可能である。

なお、詳細は、下記を参照のこと。

http://www.koshonin.gr.jp/business/b07_4

(日本公証人連合会HP)

<span style="color:#000000;">https://www.hokura-office.com/teikan/</span>

(文京公証役場公証人保倉裕先生HP)

 

【付 記】

本改正により、公証人が、定款認証時に、法人成立時の実質的支配者が、

反社会的勢力か否かの調査を実施することとなった。

方法としては、

一次的に、公証人が集めたデータにより反社チェックをし、

二次的に、警察が保有している反社会的勢力に関する情報

(以下、警察庁データベースという。)へ照会をかけるというものである

 

これは、本改正の前提となる平成30年2月の有識者による研究会において、

検討されていたものである。

<span style="color:#0000ff;">http://www.moj.go.jp/content/001251457.pdf</span>

(法務省HPから引用)

 

懸念としては、一次的チェックを行う、公証人側のデータベースが、

十分にその機能を果たすか否かという点である。

なお、従前から独自のデータベースを用いて、反社チェックを行っていた銀行は、

平成30年1月4日から、特定の取引を開始する際に、警察庁データベースへ

照会をかける運用を始めている。

https://www.zenginkyo.or.jp/news/detail/nid/8951/

(全銀協HPから引用)

 

この点、日本弁護士連合会も、平成30年7月13日、

本改正に関するパブリックコメントとして、次の指摘をしている。

<span style="color:#0000ff;">https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2018/opinion_180713_2.pdf</span>

(日本弁護士連合会HPから引用)

 

当職としては、弁護士会の指摘のとおり、

すべての定款認証において、警察庁データベースへ照会をかけることは、

現実的ではないが、公証人側の第一次チェックが実効性のあるものでなければ、

反社会的勢力排除の方策としては、不十分だと考える。

本改正の運用では、前述の点がクリアされていることを、願うばかりである。

 

※情報は、記事投稿時のものであり、現在の情報と異なる恐れがある。

 

公証人法施行規則 

第十三条の四 公証人は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第十三条及び第百五十五条の規定による定款の認証を行う場合には、嘱託人に、次の各号に掲げる事項を申告させるものとする。

一 法人の成立の時にその実質的支配者(犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)第四条第一項第四号に規定する者をいう。)となるべき者の氏名、住居及び生年月日

二 前号に規定する実質的支配者となるべき者が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(次項において「暴力団員」という。)又は国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十四号)第三条第一項の規定により公告されている者(現に同項に規定する名簿に記載されている者に限る。)若しくは同法第四条第一項の規定による指定を受けている者(次項において「国際テロリスト」という。)に該当するか否か

 

2 公証人は、前項の定款の認証を行う場合において、同項第一号に規定する実質的支配者となるべき者が、暴力団員又は国際テロリストに該当し、又は該当するおそれがあると認めるときは、嘱託人又は当該実質的支配者となるべき者に必要な説明をさせなければならない。