いつも連休明けはバタバタしますね。

ようやく少し落ち着いてきたのでブログを更新します。

 

 

今回は、支店の登記の話です。

 

本店と支店とで、管轄する法務局が異なる場合、

現状では、本店の管轄法務局における登記記録とは別に、

原則として、支店の管轄法務局にも登記記録が存在します。

 

※例外的に、支店の登記記録が作成されていないケースもありますが・・。

 (記事「支店の登記記録がみつからない」参照)

 

 

なので、支店の登記がされている会社については、

申請する登記の内容によっては、

本店の管轄法務局と、支店の管轄法務局、

それぞれの法務局に宛てて、登記申請する必要があります。

 

※ちなみに支店の管轄法務局宛にも登記申請が必要になるのは次の通り。

  ・商号の変更

  ・本店の移転や変更

  ・支店の所在地の移転や変更、廃止

 

 

支店の管轄法務局に登記申請する方法は次の2通りです。

 

 (A)まず本店の管轄法務局に登記申請して、

   登記が完了したら、続いて、支店の管轄法務局に登記申請する方法

 

 (B)本支店一括申請を利用する方法

   (本店の管轄法務局宛の申請書の中に、

   支店の管轄法務局宛の申請内容も盛り込むことができる方法)

 

登記申請の実費だけで比べると、

(B)の方が300円(支店1か所あたりの手数料)高くなりますが、

(A)で、支店の管轄法務局宛に申請書を郵送することを考慮すると、

トータルの費用では(B)の方が安くなります。

 

また、一括申請することで、時間の短縮にもなるので、

おそらく殆どのケースで、(B)の方法が利用されていると思います。

 

 

 

 

さて、やっと本題です。

 

 

 

今回、支店(本店とは別管轄)のある会社が商号変更をしたので、

その旨の登記を本支店一括の方法で申請していました。

 

 

登記をオンラインで申請すると、

登記完了時に、法務局から完了メールが届く仕組みになっていまして、

(たしか設定で通知の有無を選択できたような気がします)

 

※私は、登記が完了したら、

 なるべく早くお客様に書類をお渡ししたいタイプでして、

 普段は、法務局から完了メールが届いたら、

 条件反射的に、変更後の謄本を請求してしまいます。

 

 

で、いざ、この件についても完了メールが届いたので、

本店の管轄法務局における登記記録の謄本と、

支店の管轄法務局における登記記録の謄本を請求しようとしたところ、

 

なぜか”支店の登記記録が見つからない”

という不思議な状況にハマってしまいました。

 

 

商号変更をしたので、

当然ながら新しい商号で検索をするわけですが、

検索結果に表示されません。

 

2、3回、同じ作業を繰り返してから、

”まだ支店の登記は完了していない”ことに、やっと気が付きました。

 

一瞬、焦ってしまった自分が恥ずかしい…。

 

 

 

そこで、変更前の商号で検索しなおしたところ、

普通に検索結果に表示され、

 

数時間後には、これが「登記中」の表示に変わり、

 

それからさらに数時間が経ったら、

変更前の商号では検索結果に表示されなくなりました。

 

改めて、新しい商号で検索しなおしたところ、

無事に、支店の登記も完了したことを確認できました。

 

 

 

 

一応、以下に解説を。

 

 

本支店一括申請の場合、

本店の管轄法務局宛に1件だけ登記申請するのですが、

 

実質的には、上記の通り、

”本店の管轄法務局宛の申請”と”支店の管轄法務局宛の申請”

の2件分を申請しているのと同じ意味になります。

 

※以下の流れで手続が進みます。

  ①本店の管轄法務局で、本店の登記申請を審査する。

  ②本店の管轄法務局で、本店の登記申請を完了する。

  ③本店の管轄法務局から支店の管轄法務局へ、通知がいく。

  ④支店の管轄法務局で、支店の登記申請を完了する。

 

 

本支店一括申請の方法では、

形式上は、本店の管轄法務局だけに宛てて送信するので、

 

本店の登記が完了した時点(上記※②)で、

自動的に完了メールが送信されてしまうのだと思います。

 

つまり、この時点では、

支店の管轄法務局では、何も始まってもいない、というわけです。

 

 

もし、ここで謄本を請求すれば、

変更前の支店の登記記録の謄本が発行されてしまいます。 

 

※上記③④の流れは、実質、半日程度で完了しますし、

 現実には、支店の登記記録の謄本を請求する人はほぼいないので、

 実務上、何か問題が生じる可能性は限りなく低いのだと思います。

 

 

 

以上、支店の登記記録の謄本を確認する必要がある場合は、

ちゃんと、支店の登記が完了したことを確認してからにしましょう、

という話でした。

 

※商号変更だから気が付いたけど、

 例えば、本店の表記が少し変わっただけ程度の変更だったら、

 気付かずに古い情報の謄本を請求してしまったかもしれません。

 

 

 

ちなみに、支店の管轄法務局における登記記録の制度は、

令和4年9月1日の法改正をもって廃止されます。

 

改正後は、今回の記事のような状況は起こることはなくなります。

最後の一ネタとして。

*******************************************

司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒https://k-legal.jp/

 

にほんブログ村 士業ブログ 司法書士へ←司法書士ブログランキング