こんにちは。
司法書士の本間詠美子です。
今日は、3月11日。
東日本大震災からもう6年も経ったなんて信じられない思いです。
私自身は、震災によって大きな被害を受けたわけではありません。
ただ、震災を経て、日本社会の様々な矛盾があらわになった気がしていました。
不勉強な私の知らなかったいびつな関係が明らかになった、ここから社会を変えていかなくてはいけない、変わっていくんだ、と思いました。
でも今、何もなかったかのように、これまであった矛盾をそのままに社会が進んでいっているように感じています。
奇妙さと一抹の無力感でたまに呆然としてしまいます。
国有地払い下げの問題も、同じように表面的なところで収束していくんでしょうか?
一部の人が負担を被り、ほとんどの国民の権利はなんとなくないがしろにされ、そしてほんの一部の人だけが潤う構造はそのままに・・・。
いずれにせよ、生活が戻っていない被災者の方に対しては、自分の身近で自分のできることをすることしかありません。
司法書士会などでも、各地で無料相談や電話相談窓口を開設していますし、被災地への巡回相談などを行っています。
気がかりのある方は、ぜひ一度ご相談下さい
私にご連絡いただければ、内容によって、お近くの司法書士会や弁護士会、法テラスなどご案内します。
お近くの方でしたら(東京の東側)、もちろん、私にお声がけいただければと思います
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さて、
前回までで、遺言の原則的な3方式の説明が終わり、ようやくここから遺言の中身の話になります。
(「原則的な3方式」とあるからには、イレギュラーな方法で書く遺言っていうのもあるわけです)
厳格な方式が求められる遺言。
なぜ厳格に方式が決められているかというと、
この文書で、法律的な効力を発生させることができてしまうから、
でした。
そして、遺言の法律的効果でいちばん重要な(と思われている)ことは、
自分が亡くなったあと、自分の財産をどう後世に残していくかを自分で決められる、
というところでしょう。
日本の法律では(でも?)、後世への財産の引継ぎ方のなかで一番優先されるべきとされているのは、「亡くなった方の意思」です。
それがつまり「遺言」です。
「相続人」という人がでてくるのは、「遺言」がないとき・ない部分についてのみ、が原則。
もちろん、「遺留分」という制限はあって、相続人には最低限の保証がなされるようになってはいます。
でも、最優先は、あなたの意思。
あなたが築いた財産やこれまで引き継いできたものを、あなたの意思で、だれかに引き継がせると示した場合、それが一番優先されるべき、と考えられているんです。
ところで、遺言のもう一つの特徴を覚えておられるでしょうか?
それは、
効力が発生したとき、遺言をした人はお亡くなりになっている、
ということ。
つまり、
書かれた内容に不明な点があっても、本人の意思を確認する方法はない、
ということです。
だから、遺言の中身は、なるべく明確で、解釈の余地が少ないこともとても大事なことです。
「わかりやすく書くなんて簡単」、って思っているかもしれません。
でも、(私も反省を込めて書きますが、)人が書いたものって、けっこう意味不明なことがあります。
もちろん、簡単に書ける内容の遺言もあると思います。
でも、少し複雑な内容であったり、自分がなにか思い込みをしていたりすると、意外なほど意味がわからない文章になってしまうのも事実。
それに、遺言には遺言の言葉遣いや前提っていうものがあります。
例えば、推定相続人に対してする遺言とそうでない人に対してする遺言、使うべき言葉が違うって知っていますか?
それにそもそも、遺言で決めて「法律的に意味のあることとないこと」、区別できますか?
もちろん、意味がないことでも書いていいんですが、それだけ書いて、有効にしたいことが抜けていたら大変です。
加えて、メインの内容ではないけど、書いておいたほうがいいことや、こういうことも決めておくといいよ、っていうことも色々あります。
例えば、「遺言執行者」という人を定めておいたほうがいい場合があるって知っていますか?
他の話題を間に挟みつつ、遺言の中身について、これから何回か書いていきたいと思います。
ちょっと細かい話になってしまうかもしれませんが、どうぞお付き合いください!
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今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
遺言についての疑問やご質問を受け付けております。
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