昨日Spotifyについて書いてみましたが
なんとなくネット上での反応を見てみて、やはりこれからの日本音楽業界にも役に立ちそうな気がするのと

日本のリスナーさんと、Spotifyの相性が、アメリカでよりもいいような気がするので、ちょいちょいこの話もしていこうかなと思いました。


アメリカ音楽ファンと、日本の音楽ファンには
決定的な違いがあります。


世界でもうCDをほとんど誰も買わない流れの中、唯一CDがまだ売れる国として、海外の音楽系大学(かの有名なバークリー大学とか!)などでも「特殊な例」として学ばれてたりするほどに特殊な日本人ならではの、違いはなんだと思いますか!?




それは・・・




ファンがアーティストを応援したい気持ち。




もう、これが一番の原因だと、NYに来てから気づきました。
ヨーロッパではまた違う傾向があるとも聞きますが、とにかくアメリカでは
、好きな曲、というのがあっても、じゃあ


そのアーティストを絶対的に常にずっと応援しよう!!


みたいな
気持ちにはどうもならないようです。


CDがますます売れなくなってアーティストが大変になっていくことなんかどうでもよくて、それこそ「Spotifyでタダで聴けたらラッキー!!」以上。

だからこそ、ストリーミング配信があっという間に広がったのと、単純に人口、マーケットが日本の比じゃないくらい大きいですから、配信メインにしても、各社マネタイズのシステムも早急に整えて普及してる、という感じかなと思います。


特に、ここでも書いたことあるけど
NYは、「全米でも史上最悪のオーディエンス」として有名。(笑)


そこらじゅうにアーティストがごろごろいすぎるし、周りはほとんどエンタメ系の職業の人であふれてるし、街中でショーが毎日毎晩溢れすぎていて慣れすぎているので、「ライブ一回」「新曲リリース」などなどの、感動単価、価値単価が最低なんですね。。
ありがたみもなんもない。


ので、去年、NYで最大のHip Hopイベントに行った時に驚愕したんですけど
その日、Blackstarという、伝説的な二人組が、10年前に喧嘩別れして以来初めて一緒にライブする!ということで、地元ヒップホッパーたちは「今日は伝説的なやばい日だ!!」
と大興奮していたのですが

肝心のライブをみてると

「え????
ほんとにあなたたち、感動してる?喜んでる?これってすごい伝説なんじゃないの!?!?」


と、ハテナマークが頭を占領(笑)

どんなビッグアーティストでも、どうやらこの現象に遭っていて、NYだけは本当に気が乗らない場所、ということで敬遠されるのがおなじみの話だと知りました。


NYがひどいとしても、なんとなく、アメリカの傾向代表として、そういうことが起きやすいことが予想されます。


ベテランさんからボンジョビ、最新ポップからもアリアナグランデ、などなど、無類の日本好きで、日本ツアーはまず欠かさないという海外アーティストが多いのは皆さんもご存知なのではないでしょうか。


「なんでそんなに日本好き??」


って、日本人的にはピンとこないのですが
日本のファンは、ここが圧倒的に真逆のベクトルなんです。


熱心。
尊敬。
マナーがいい。
ライブ中も一生懸命聴いてくれる。
一回好きになったら、1曲リリース単位で終わりではなく、長く、「アーティスト」として応援してくれる。

そして、一番すごいのは


好きなアーティストを
応援したい!
励ましたい!
力になりたい!


そんな気持ちが、強いというのが
ほかのどこの国にも見られない
日本特有の傾向だと思います。


ほかのどこの国に、ジャケット写真が違うだけの中身が同じCDを毎回買いそろえたり、ライブに行くたびに、もう持ってるCDを何度も何度も買ったりする人がいるかといったら、
ふつうに皆無だと思います。

(1種1000枚買う人がいたり、ちょっとすごすぎますよね。。)


しほりすとさんの中にも
「自分が家で聴くよう」「部屋に飾るよう」「友達に布教するよう」「車で聴くよう」

などと、何枚か買ってくださる方もいたりして
アーティストとしては、もう本当に涙が出るほどに嬉しくてありがたい気持ちになります。


まずは、世界でも極めて特殊レベルに高い
アーティストへの敬意と、熱心な応援の想い
国内のみならず、世界の有名アーティストたちをとりこにしている最たる理由だと思います。


(そりゃーライブしたくもなるよ!)


そして、配信系のものが日本でイマイチ伸びない原因にふれます。


私といえば、ある時期より、著作権印税の不透明性の件でニュースになって以降
そういう情報やら相談やら、お声がいっぱい集まってきたんですけど


本当に心を打たれたのは、
「アーティストや作家にちゃんと分配されていない」
ということに対して憤っていらした方が非常に多かったことなんですね。


ライブでの使用料は、ライブハウスが払うもので、アーティストが気にすることではないのに
複数の地下アイドルの方々から

「作家さんに印税が入るようにするために申請したいんです。どうしたらいいですか?」

という相談が来たりもしました。
この問題は包括契約と、分配システムの穴など、いくつかの問題が絡み合ってるので、ちょっとここでは割愛しますが


最近の著作権関連ニュースの反応をみていても
たくさんの方が気にかけているポイントが


「アーティストに正しく還元されていないこと」


に対して不信感を抱いているのが
感じられます。


こういう一連の包括契約の穴問題が
日本では

「企業は定額配信ってお得でいいってあおってるけど、それって本当に自分が応援してるアーティストにちゃんとお金が分配されるんですか?


という点において
みんなが信用をしていない。


これが、長年「CDは全く売れなくなる」という業界人がたくさんいるにもかかわらず
他の国と違って、唯一CDがまだ売れる国として異彩を放っている原因なのでは

としほりは考えます。


特に、アイドルや弾き語り、バンド系など
手売りCDで活動する人口が爆発的に増えたこともあり、CDはインディアーティストの大きな生活の糧になっています。



さて、一方アメリカでも
自分規模で活動するアーティストは

「DIYミュージシャン」

と呼ばれており
世にはたくさんのDIYミュージシャンが生計を立てるためのノウハウ本、塾、ウェビナー、などなど、かなり転がっているくらい人口が多いんですけど


まあとにかくほとんどの人がCDなんかもう買いません。
たまたまライブで見かけて
おお!こいついいな!
とかがあっても

気持ちとしては「がんばれ!応援してるぜ!」

口ではみんな言うけれど
無料(正しくは定額ですが)で聴けるSpotifyに曲が載ってるかどうかを聞いて、
「曲聴くよー!!」


っていうところで終わる
というのが一般的な傾向です。
タダで聴けるんだったらタダでいいじゃん、で終わりです。

自分が好きな曲、には興味あるけど
その好きな曲を作っているアーティストの生活がどうなるか
には別に興味がない。

個人主義的な感じですかね。


また、裏方である、作曲家などにも興味がないそうで
音楽番組でも、歌手の名前はクレジットされていても、作家の名前がTVで出ることもまずないそう。
私の名前がTVで作家クレジットされてるキャプチャを見たアメリカ人が驚愕したのをみて私が驚愕しました。


日本の音楽ファン(特にアニメやアイドル系)は、どの作家がこの曲を書いたかに興味がある人が多いし、たくさんカバーされている楽曲の印税が作曲家に全然入っていないと知った多くの人が、憤って話題にしてくださったのではと思います。


アメリカだったら
誰も気にしなかったんじゃなかろうか。



また日本では、定期的にライブハウスに足を運んだりあえてiTunesなどのネット配信よりもずっと単価の高くて不便なはずのCDを購入することで、
アーティストに対して

「好きです!
応援してます!
がんばってください!」


という想いを
言葉だけではなく、文字通りアーティストが今後も伸びていけるよう、活動をがんばれるよう、支援する行動によって、表現したい人が多いのが


日本の傾向なのです。

(書いてるだけで泣けるわ😭✨!!)


これらのことを、総合的に組み合わせると
なぜ日本で配信がいまいち伸びないか、
の理由が浮き彫りになります。


が、とはいえ、悲しいかな確実にCDプレイヤーを持っているリスナーの数は減っていますし
CDセールスも引き続き激減して、ストリーミング制に移行しています。


昨日の、ディストリビューターからの明細をみて
私は今確信しました。


アーティストへの愛や尊敬が深い日本人こそ、実はSpotifyとの相性がいいのではないか?


だって、通勤通学中にSpotifyでエンドレスリピートしてくれるファンが一定層いてくれたら
ちゃんと収入になりそうですよ!?


そのためには、アーティストの方でも
ストリーミングからマネタイズをしっかりしているディストリビューターを選んで配信することが必須条件にはなるのですが

私がアメリカに来て使っているのが
CD babyというディストリビューター。ほかには、Tune Core など、日本でも展開しています。

彼らが素敵なのは
Spotifyのみならず、いろんなストリーミングサービスと提携しており、何回再生されたかをきちんとカウントしてアーティストに還元してくれてること、またYoutubeに、無断で使われているケースからも、きちんとカウントしてお金をアーティストに還元してくれます。

なので、なんだったら、たとえば私の曲(今は3枚のEPしか世界流通してませんが) を、知らない誰かがYoutubeにBGMとして勝手に使ったりしても、私本人にそこの再生数分のお金がきちんと還元されるのです!
(なので全然使ってください。笑)


これは素敵じゃないですか?
Youtubeからも配分してもらうためには、曲を流通するときにもう少しだけお金を支払って登録する必要があるのですが


実は、世界ではこのように
アーティストが死に絶えるだけはなく
アーティストにほんのわずかだってきちんと公平に還元しよう、というシステムも整備されてきているのです!!


もし、大好きなアーティストさんがいて
普段からたっくさん聴いているんだけど、もっと何か応援したい!
という想いがありあまっている人がいたら、ぜひSpotify、広告ありなら無料で使えますので試してみてください。

Spotifyは、若干SNSみたいなところもあり
アーティストをフォローできたり
自分で好きな曲のプレイリストを作って、オンライン上で公開できたりもします。

それを例えば、ブログやTwitterに貼ったりしたら、それを見た他の人も、そのプレイリストをお気に入りで登録などできます。

つまり、
布教にも向いているツールなのではないでしょうか!?


音楽家でなくても
一般ファンのプレイリストがセンスがよくて大人気になったり、それが仕事になったり、
そういう方の人気プレイリストにたまたま載ったことで、世界的にブレイクした!

みたいなアーティストさんも
アメリカなどでたくさん出現しています。


というわけで、長くなりましたが
まずは手始めに しほり Spotify をチェックしてみてください😻
(ちゃっかりてへ。)


しほり