アメリカンポップのど真ん中に挑んでいきたいため、いろいろと自分なりの Americanizeに挑戦している。
J-popとの決定的な違いは、言語的な構造の違いからくるものであることがはっきり理解。
日本語は、1音1音を全部発音するので、とにかく音節が多い。
そして文字数がある程度ないと、1つの文章が成り立たない構造であるため、
どうしても音数が多くなる。
例えば、「愛してる」と言うのに、
日本語だと 「あいしてる」(5音)
もしくは 愛をまとめたら(4音)
が必要になるのが通常。
英語だと、最大 3音 「I love you」
「I(あい)」をゴーストノートにもできるので、2音にもできる。
しかし英語の簡潔なことには、なんと「I love you」のたった2・3音で、実際正確に日本語に訳すなら
「わたしはあなたをあいしている」
なんと、14音分もの情報量が、
たった2、3音で英語では伝えらる。
特に最近のアメリカンポップが、ごくシンプルなフレーズのエンドレスループでできているというのは、日本人的にあまりにシンプルに聴こえても、おそらくアメリカ人にとってはもう少し情報量が多いのではなかろうか?
あとは、韻(ライム)と、
日本のポップスにはない概念で、
「フロー」がとても重要になる。
かんたんにいえば、フェイクとかでよくみられるような、1つの音でふわふわとあっちこっちへ引っ張るああいうかんじが、全体に重要。
これは、実は私も
作詞提供するときに、1音1文字、ってしないでサウンド的にふることがある。
譜面通り、1つの音符に1語をぴったり全部当てると語感がぱきぱきになる。
が、その場合も、たいていはあまり問題ない。
なぜなら全体が日本語で、歌い手が日本人である限り、語感が多くぱきぱきするのが普通なので、不自然にはきこえないのである。
つまり、この性質を理解して
どれくらいフローさせるのか、どれくらいパキパキさせたいのか、
というのの加減
こそが、自分らしい Americanizeの具合になってくるだろう。
ちょっとまだあまりに英語力が低すぎて
そもそも自分が言いたいことを表現しきれる引き出しがなさすぎるので
もどかしいところ。
その点、この前出した「Garden」「Jungle」は、今の自分のベストな塩梅を発揮できたと思っていて
「Keep your garden /
Beautiful
Beautiful
Beautiful
Beautiful」
とか
「Survive the jungle
Survive the jungle
Just keep moving on
Before you get thrown off」
(全部韻踏み)
というシンプルなループ、に、結構多くの情報量の歌詞・意味が含められている。
のだが
私は今
ひとつでっかい問題に直面している。
「自分が飽きない具合のシンプルループを模索したい。」
という話を日本ツアーでもしたのですが
10月くらいには、早くも「Garden」の
「Beautiful」リフレインを歌うのに自分で飽きてしまった😫💦
2-3音だからな、少ないもんね。。
せめてコードでバリエーションを出すことでバランスは取ったんだけど。。
それでいうとまだJungleは楽しんでて、
「Survive the jungle」で5音あるから。
唯一の解決策としてはフェイクで変化をつける、だよね。
フローを別で作る的な。
この問題は自分にとって大きい。
実はこの2曲以前にも何曲かアメリカナイズスタイルで書いたのだが、パッと聴き(脳内)はポップで印象的なんだけど、
形にする前に自分が飽きちゃうの。
それでも形にする価値はあるし
簡単ゆえに別に譜面にせずともずっと覚えてるんで、とりあえずやってみてもいいのかもしれないけど、自分が本当に好きなものと、今のアメリカンポップスのメインストリームは、本当に合致しないなあと思う。
残念ながら。
しかし、とはいえ
あくまで最近の若者間での流行がそうっていうだけで
シンプルループに飽き飽きしているという一般リスナーの声もたくさん聞いているし
何よりこの街にはブロードウェイがあり
ミュージカル曲というのは、たいがい非常に文字が多く、クラシカル由来で非常に複雑な構造をしている。
にもかかわらず、多くの人を魅了している。
つまり、今の時代だからって
100%トレンドに迎合しなきゃいけないわけじゃない。
(それに90年代以前は、アメリカのヒット曲だってもっと複雑で長いフレーズだったよね。)
てかまあ、もしかしたらこれは
今までの日本でも変わらない気がするんだが(笑)
やっぱり私は、
「一見複雑で難しいのになぜかポップでキャッチーでつい口ずさんでしまうメロディ」が好きで
アメリカの土台でも、その軸はブラさなくていいんじゃないかなと。
しょうがないよ!
やっぱ自分の心が震えるものを作りたいんだもの。
っていうか、20代前半
たくさんの大人たちに
「しほりの曲は難解すぎる。
もっと下まで降りてきなさい。」
って叱られて一生懸命ポップを学んだんですけど
なんやかや、作家を始めて以降
だいたい私の曲はいろんなアーティストさんに
「今までの中で一番難しいです😭」
と言われることが多くてごめんなさい🙇♂️
と申し訳なく思いつつ
(奈々さん「Sacred Force」「ミュステリオン」から、ももクロちゃんの「GOUNN」なんかも実はかなり難しいです。)
それでも世に出て、たくさんの方に楽しんでいただいているのを実感しています。
つまり
「簡単か難しいか」
というのは、
ポップさを目指すのにおいて超簡単な指針だと思うんですけど
あくまで、要因の一つでしかないよね。
たとえば、私が大好きなクラシックの中から、リストなんかは
「超シンプルポップ」
の部類なんじゃないかと思うんだけど
(「愛の夢」の、メインメロの恐るべきシンプルさと、ぞくぞくする美しさに注目!!!)
誰でもくちずさめるほどにシンプルですが
ピアノのスキルとしては、めちゃくちゃ難しくて、正直私は何度か人生で挑戦したんですけど、冒頭部分しか弾けないです😭
つまり、楽曲としての難解さでいったら
皆さんがおそらく大好きな
変態曲
ってわけですね。
でも、200年も愛され続けるメロディなんだから
やっぱりすごく強いわけです。
時代の加速度がまるで違うので
一概に数字ではくくれないのですが、それでも
200年後にも、人々に愛されているような
私はそういうものを作りたい。
シンプル複雑難解、なんでもいいんだと思う。
極論。
深く、長く愛されるメロディを目指したい。
結論が超シンプルだった。(笑)
しほり