皆さんは、どんな風に「好きなミュージシャン」を探していますか?

たまたま流れてきたラジオから。
同級生が勧めてくれて、
お兄ちゃんが洋楽好きで、
なんとなく
TVでみているうちに好きになった
とか、
ほんのささいな偶然から
興味を持ったり、
一瞬で恋しちゃったり。


そんなふうにして
世界中に星の数ほどいるミュージシャンの中から
好きなものに巡り合ったりしていきます。


さて



私は
見つけられる側のことを、ずっと考えています。


たくさんいる中から
見つけてもらうには
いろいろな条件が必要です。

みんなにとっての
「ささいな出会い」

ひとつが

見つけられる側の運命をがらっと変えるのです。



そういう意味で言いますと
私自身は、まだ全然

「世の中に見つかっていない身」だということを

ずっと痛感しながら
今も地道に音楽活動を続けています。


子供の時からずっと世の中に伝えたいことがあった。
表現したい考えや思いがあった。


ゆえに折れても折れても
一度もやめることを考えずに
ただひたすら目的地へ向かって歩き続けられる。


それでも、あまりにも
長いこと売れないままで
すごく凹んだりもしますが

歌手としての私が地味でも
少しずつ、作詞や作曲の方から
見つかり始めている気がしていて、
しがない私の励みになっています。



まだ、私自身がとても地味な状態ではありますが
何回か、
「よく見つけてくださったなぁ。。」

と思っている特別な機会がいくつかあります。



なんのコネクションも、キャリアもなかった時
まだ1曲も採用されたことがなかった時


一番最初に「作詞家しほり」を見つけてくれたのは

高校時代から大好きだった憧れの
菅野よう子さんでした。


マクロスFの「ユニバーサル・バニー」


当時、20代前半~半ばくらい
シンガーソングライターとして
メジャーを目指しつつ
挫折ばかりしていたあと


当時周りにいた大人の人、偉い人とか?に
3年間ずっと「お前の曲はダメだ、歌詞がひどい」
と毎日のように言われ続けた末
心身ともにボロボロになってしまって、歌手としてはなんとか身を立てられるようになってはいたのですが


トラウマで、1年間ほど
全く曲が書けなかった時期がありました。
怖くて書けなかったのです。

とくに、歌詞については
そうとう自信を失ってしまっていて、


奇跡的にマクロスFの「詞先コンペ」をいただいたときには
「菅野さんとお仕事できるチャンス!! 
  でもよりによって苦手な歌詞なんて・・!!」

と思ったのですが
絶対に絶対に絶対に勝ち取りたかったので
全力で3作の歌詞を提出し

そのうちのひとつが採用となり
「ユニバーサル・バニー」となったのでした。




あんなにたくさんの大人たちに
「しほりの歌詞はダメだなぁ」
と毎日言われ続けて、傷ついてほぼ折れてた私の心は


あのとき、憧れの菅野さんとの楽曲制作の中で

「このフレーズもいいよね!
 うーん、あのフレーズもいいよね♫」

と、菅野さんに褒めていただいた言葉で
一挙に蘇ったのでした。


菅野さんの方針はシンプル。


「常識もなにも関係なく
   とにかくインパクトがあればOk!」


ああしろこうしろ
これじゃだめだ

と、いろんな人に言われてきたこととは
全く逆の方向で

私を押さえつけてたネジが
ぽーん!!!!

と、2、3本
一気に抜けたような感覚でした。

(ただ、求められるレベルが高すぎて
 その場で全力で応えていく作業が、めっちゃスポ根でした。笑)


ユニバニのリリースは、映画の曲だったため
1年近くあとになりましたが


その制作の直後
菅野さんの言葉で何か自分の中で確信を得て

全力で作詞も作曲もやり
(仮歌詞、仮歌っていいますけど、本気詞・本気歌で提出しました)
編曲はお友達に手伝ってもらいましたが
編曲もそのとき初めて全力で考えて
自分のイメージ通りに仕上げました。


初めての作詞作曲での採用、
水樹奈々さん「沈黙の果実」でした。


このときに、奈々さんチームに
見つけていただいたご恩を感じています。


知名度もキャリアもゼロ(ユニバニが出る前ですし)
「しほりって誰?」
な状態で、よく作曲だけじゃなく
まんま、まるごと歌詞まで信頼して任せてくださったな!と。


このあたりが作家デビューのきっかけだったと思います。


そこから、たくさん曲を書いてきて
「初恋サイダー」のように
結構前に書いたのが
今になって、ものすごい人気になっていたりとか
それも、自分の知名度が全く関係ない状態で(笑)


今、まだ世に見つかってないけど
出るべきとこに出られたら
絶対にたくさんの人に愛される!!と思いつつ
私のiTunesで眠ってる曲もたくさんあります。
(だいぶ、いろんなところで使われてストックが少し減ってきましたが。)


さて
次の大きなきっかけは

ももクロちゃん「GOUNN」でした。



奈々さんの人気のおかげで
アニメ系では割と「しほり=変態曲の人」みたいになってたけど
ポップス方面ではまだ実績がなかったので
(初恋サイダーが当時まだ広まっていなかったし)

全くの無名の新人みたいな状態で
何百曲とかの中から
よく見つけていただいたな((((;゚Д゚)))))


今でも思います。


タイミングとか、相性もあるので
自分なりに絶対にいい曲!!と確信する曲を出した先は
ほんとにご縁としか言いようのない
宝くじみたいな世界ですが、
ただ、常に全力勝負でないと、勝つ可能性もとても低い。


決して順風満帆、とは言えない道のりですが
ただ、若くして早くに成功することが
幸運というわけでもない
ということも実感しています。

ずっと、早く売れたかったですけどね!


でも、早くに見つからなかったことが
逆にながーい目で見たとき
「神様に守られてたんだな」
なんて思うんです。



今回のNew Albumに収録されている楽曲たち



実は


多くがちょうど10年前、2005年に書いた曲です。


そう、
数々の偉い人たちに
「しほりの曲はだめだ、もっとああしなさい、こうしなさい」
と言われていた時代の曲たち。


自分では自信があったのに
なんでこんなに伝わらないんだろう。。
何がいけないんだろう?

と悩みながら書いてた曲たちだったりします。



でも、正直
今のプロになった自分からみて
とてもよくできている曲だったりして
逆に今の自分にはかけないかも?
と思うくらいの
みずみずしい感性みたいなものを感じます。



しいていうなら
あまり「親切なメロディ」ではない。かも?

(昔に遡るほど、難解な曲を書いていました(^◇^;)


でも、これ時代ですね
10年前の音楽業界では
シンガーソングライターには
もっと「親切なメロディ」が求められていたんだと思います。


それこそ、定番だったのは

「誰でもカラオケで歌える曲を」



耳にたこができました。


みんな言うんだもん。


そういう曲の素晴らしさもあるけど
でも私は嫌だった。


私にしか歌えない曲がよかったし
誰にも似てない個性のままでいたかった。


フィールドや時代が変われば
常識も変わります。


「ユニバーサル・バニー」を歌ったMay'nちゃんも
「アニソン界の女王」と呼ばれる水樹奈々さんも、

超人的に歌がうまい人です。


そして
そんな彼女たちが大人気になる時代というのはすごくて


超人的な超絶技巧で歌いこなす
彼女らを真似て、ファンがこぞって
難しい歌を歌うような時代になりました。


アニメ系、J-POP系とわずですが
最近の若い子たちは
もう、みんなすごく上手です。


10年前の「カラオケで歌いたい」

のレベルとは、完全に土俵が違う。



そんな時代の変化のおかげで
自分のとんがった曲作りが、受け入れられるようになったのでは、と考えています。


誰でも歌えるようなシンプルな名曲を残すのも
一生のうちのでかい課題ですが

誰もが「(歌えるかどうかは別として)歌いたくなるような歌」
というのは
案外難易度の問題は超越できるのではと思うこの頃。


そういう意味では
「歌われすぎ現象」と呼ばれるほどになっていた
初恋サイダーなんか、嬉しい例です。


(自分で自分の書いた曲を歌おうとしたら
難しすぎて書いたやつ出てこい!!なんてこともありますが。笑)


とても長くなってしまいましたが
長年ずっと秘めてきた想いを
どんどん音楽にしていきたいと思います。


今、みつけてくれたたちに
感謝!!!


これから見つけてくれる人に出会えるよう
引き続き前進!!!


とりあえず、主に10年前の曲
どんなものか
いっちょ聴いてやってください。




しほり。