第020話 はずかしくって

        初めて見る子は、三つ編みをしていてチャイナ服を着ている。おどおどしていて、行人が話し

       かけるだけでビックゥと驚いてオロオロする。尚もその子はプルプルと震えながらも、籠を指さし

       行人が注目するとバッと立ち上がって軽やかにジャンプすると一回転バックを決めてパンツを

       見せながらも籠にガボッと体ごと収まる。その光景を見たとんかつは拍手しながらも、ぷーぷー

       とアンコールすると、その子は何とか落ち着いて「ワタシ梅梅言いマスネ」と自己紹介して紙芝

       居で説明を始める。

        梅梅の一家は雑技団だけど、本人はスゴイ恥ずかしがりやで失敗ばかり。座長である父が克

       服させるために、一年ほど前に一人旅に出させたが、人と話ができずに人目を避けていた。そ

       の道中、心強い友達ができて二人旅ができるようになったが、今年になって隣島に行こうと海に

       出たとこで大嵐になって、別れ別れになってしまう。梅梅が何とかたどり着いたのは村より北の

       岬で、そこで凶暴で変な動物たちに追われながら友達を探してた。そして、2週間前にその岬で

       花見をしているのを見つけ、追っていたらこの村に着いたというのだ。その追っていた間は木の

       実で食べ凌いでいて、食べ物を分けてほしかたケド言えなくてついドロボーしてしまったという

       ワケで「ゴメンなさい」と謝ったわけだが、行人の言うきゅうり畑の話になるとぶるぶる震えて、

       「ひょっとして」と振り向くや籠を体ごと倒して転げ出て「あ あ あ あの…」とオロオロし始める。

     「外のヒトってやっぱり変わってるよねーーー」

     「そだねー……ってオイボクも変だって言うんかい

       そのひょっとしてというのは梅梅の友達で、オロオロする梅梅を行人の背後にびったりくっつけ

       探しに行くことになる。だが途中の丘でまち姉を見かけ「隠れて!!」とドンと梅梅を威勢よく突き飛

       ばす。「あーーーー」と声を上げてゴロゴロと落ちていく梅梅。這い上がりかけたとこで「あやね

       が手掛かりを見つけた」と、まち姉が見せたかぶり物を見た梅梅が「あ…それワタシの…」と声

       をかけたところで「わっ出てきちゃダメだよ」と行人が今度は梅梅の顔をどんっと腕伸ばして

       突き飛ばす。ゴロゴロゴロゴロゴロゴロと転がる梅梅は「あーーっ」と悲鳴を上げた挙句にゴチーンと木

       に頭を打ち付ける音が…。そのタイミングで、まち姉が「このかぶり物をゆきのの飼ってる犬に

       嗅がせれば犯人は捕まる」と言うので、友達探しどころじゃないと判断して「これはやっぱり梅梅

       ちゃんに正直にあやまってもらった方がいいかも」とすず行人は、「犯人がすごく反省してて

       みんなにあやまったら許してくれるよね?」とまち姉に聞くと「ええもちろんよ。私は心の広い女

       よ。」とニコッとして言うので、梅梅を茂みから這い上がらせるが…。「でも悪いコにはけじめと

       してきつーーっくおしおきしとかないとねドキドキ」とうふふふふふふふふふと言う気味悪い笑みを浮

       かべながらも釘バットを持って言うもんだから、「やっぱ隠れてっ!!」と衝動のあまり今度は両手

       でどんっと威勢よく突き飛ばし、ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ梅梅は転がり落ちていくのだった

       …。テメー行人、三度も梅梅ちゃんを突き落としやがって!

        場面は変わって、いぬいぬにかぶり物を嗅がせ探させるまち姉たち一行。「梅梅には安全な

       トコに隠れるように言っておいた」と行人は言うが、いぬいぬがにおいを見つけたとばかりに吠

       える。実際には梅梅が岩のハリボテ状のかぶり物に身を隠しただけでこそこそしているのに気

       が付き焦る行人すずの二人。すずが「あのビーバーさんじゃない?」と気を逸らした隙に、

       人がその梅梅に近寄り「あの人に見つかったら大変だって」と促すが友達を探したいと言う。

       そんな梅梅に優しく ぽん と頭を撫でるようにして「まちの方をなんとかしたら探してあげるから」

       と語りかけると梅梅はカァァァと赤くなって「そんな悪いデスヨ」と言うものの「いいって。すず

       はなからそのつもりだし」と親切に切り出す行人。するとてれてれとさらに赤くなって「あ アリガ

       トウございマスヨ……。わ ワタシ旅に出てから人に親切にしてもらたの初めてデスヨ…」と行人

       にお礼を言えるようになる。……が、そこへりんが駆け詰め寄ってくる。ちかげの家のきゅうり畑

       がやられたと言いに来たのだ。そこへ思わず振り向くまち姉にびくっとして反射的に「わっ

       れてっ!!」とまたも岩のハリボテごとどんっと突き飛ばしてしまい、後ろの湖にばっしゃーーんと

       「あーーっ」という言葉とともに梅梅は落ちていく…コノヤロー行人何度目だと思ってんだ!?

        今度はちかげの家のきゅうり畑でにおいを探し当てたいぬいぬは、すず行人の方を指さす。

       後ろを向いて木の切り株のハリボテ上のかぶり物をしている梅梅とひそひそと会話していたの

       で、思わずびくっとしたが、いぬいぬはその二人の間を抜け川へ向かう。一同も川へ移動する。

       その川前でまち姉が「私の目は誤魔化せないわよ……」と気付き、川の一点目掛けてドヒュッと

       吹き矢を吹く。すると川中から飛び跳ねクルクルと回転し地面に着地したのは、きゅうりを手に

       持ちボリボリと食う河童。「あのヒト遠野サンですよ。」と言う梅梅に、「アレは亀か何かだって」と

       行人。「悪さをするもののけを封じるのは巫女の役目」と言いつつ「覚悟なさい!」と近付くまち

       姉に、すず行人は「悪気があったわけじゃないだろうし反省してる」と静止させようとするが、そ

       の河童の遠野さんはベロベロベーーーと舌出してまち姉を挑発する。これは最早、一触即発

       状態だったところに「ま 待てくだサイネ!」と梅梅が前に出る。「ゴメンなさいデスしょ……

       食糧盗んでたのワ ワタシデスヨ遠野サン悪くないデスヨ」とあうあうとしどろもどろしながら

       自白すると、遠野さんも気づいて感動の再会モードに。…まち姉をどんと挟み撃ちしながら…あせる

       で、遠野さん梅梅を「どんだけ探したと思ってんじゃい」と噛んでいたシーンで、ゆきのりん

       にちかげはポカーン状態だったが。しびれを切らしドドドドドドドと暗黒モードMAX状態になるや

       「あんた達が真犯人だったワケね」というまち姉に、ビクッとして「ひゃ!ひゃぁあん!!」と思わず声

       を出す梅梅。よくもこの私を陥れてくれたわね…と、梅梅遠野さんにじりじり詰め寄る。「ゴ ゴ

       メンデス許してデスゥ~!!」と言う泣き声の梅梅の言葉も通じなく、「そーゆー悪いコは………」

       とさらに間を詰め、「おしおきよ!!遠野さんたちに飛び掛かるとこだった…。これが、初の

       梅梅の「ひゃゃや~~ん!!」のシーンだ。が、そこを行人は背後からまち姉の胴を両手で抱え込

       むようにして抑え止める。「彼女だってあやまったことだし…」と。しかし、まち姉はぷーーーと膨

       れた態度で「でも……」と尻混むが。りんの「濡れ衣着せられたのだって、単にあねごの日頃の

       行いが悪いからだろ」という言葉と「あんなにあやまってるのに罰だなんて鬼ですの」とのちかげ

       のセリフのあまりに「私の方が悪者みたいじゃない」と拗ねてしまうまち姉だった。それを「ほーら

       いいコいいコ」と子供のようにあやす行人のお陰で、「私は心の広い女よ」と遠野さん梅梅

       二人を許すこととなったが…。せっかく「ありがとうございま……」と梅梅が言いかけたところで

       遠野さんまち姉の手を噛むものだから、結局やまち姉遠野さんの喧嘩となってしまったの

       だった…。そしてその後…

        ケガして帰ってきたまち姉をよそに、布団の中で「お姉ェ様ざまぁみさらせ…」という寝言を吐

       いて寝ていたあやねに、お決まりのオチが落ちようとしていたのだった。

 

       鼻血回数  00回

       01巻目累計 11回

       02巻目累計 11回

       03巻目累計 05回

       03巻目累計 01回

 

番外編 かわりたくって

        第020話の翌日。まちが梅梅の新入りの一件で行人からの悪印象を払拭しようとする話。

        あやねに怖い女かどうか聞いてみるとドストレートな反応。反射的に当然のいつもの返しを

       してしまう。だからそーゆーコトするから。

        で、今度は行人と二人きりになったタイミングで尋ねてみようとする。が、行人は「また押し倒し

       てくるんじゃないかなー」と警戒されて離れていくのでショックを受ける。しかし様子がおかしいん

       じゃないかとおでこをつけられ、「熱があるね」と寝かされ払拭どころではなかったという。

 

       鼻血回数  00回

       01巻目累計 11回

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