の続きです。
運動会で負けることが恥ずかしいのではなく、
チェッコリ玉入れ
が恥ずかしいのだと語ったシュウ。
もちろん生来の負けず嫌いもあるので
“徒競走で負けたくない”
というのもあると思いますが、
運動会に参加したくないのは
玉入れが原因の大半だろうな…と思いました。
これに対し、夫は…。
『別にやりたくなきゃやらないで、いいんじゃないの?』
いや、そうだけどさ…。
『あくまでも種目は“玉入れ”だろ?ダンスじゃないだろ?』
『玉入れはやりたいって言ってるなら、それで問題ないじゃん』
夫の言ってることは正論です。
でも、それが杉田先生に伝わるか?
と聞かれると別問題。
運動会が迫ったある日の朝、
昇降口で会った杉田先生は、
私にこう聞いてきました。
『運動会、どうされますか?
』
『え?どう、って…??』
『欠席されてもいいですよ?』
返す言葉に詰まりました。
それほどまでにシュウは、
運動会の練習に消極的、
もしくは反抗的ということなのか?
『最近は徒競走の練習はやるようになりましたけど![]()
相変わらず玉入れは、玉を入れるの“しか”やらないです』
ここに夫がいたら、
“それの何がいけないんだ!”
ってキレてたかも…![]()
私は言葉を選びながら、
『でもまぁ、それでも…』
参加できるなら、と言おうとしたそばから
杉田先生はかぶせるように言いました。
『進行の妨げにもなりますし』
…妨げ?
一瞬で、
コウを思い出しました。
2歳で初めて入った認可保育園で、
コウは
“みんなと同じことが出来ない”
“発表会のレベルが下がる”
と言われ、1か月で追い出されました。
まだ自閉症と診断される前でしたが。
シュウでもまた、
同じことを言われるのか。
比べるわけじゃないけど、
あの時のコウよりは
シュウは出来るほうだと思うのに。
というかシュウは
“できない”
ではなく
“できるけどやらない”
のに。
2回目ともなると、
言われた悲しさよりむしろ怒りが。
『…それは、“できれば参加は遠慮してほしい”ということでしょうか?
』
『…え?』
私の声のトーンが変わったことに
杉田先生は気が付いたようでした。
進行の妨げになるとはどのような状況なのか?
入場門すら入らないのか?
運動会の進行を止めてしまうほどなのか?
私は聞こうとしましたが、
その前に杉田先生の頭の中の計算のほうが
早かったようです。
行事とはいえ、義務教育の学校側が
来るな
とは言えない。
言ったら問題になる。
そう思ったのか、
杉田先生は急に笑顔になり
『いえいえいえいえ、そうではなくて!』
『運動会の練習がシュウくんにとってストレスになったら可哀想だなーと思ったので
』
と言ってそそくさと消えていきました。
私はあなたがストレスです…![]()
続きます。
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