数日後、私は
理々華ちゃんのお母さんに呼び止められ、
小声で話し始めました。
『コウくん、転校の話どう?進んでる?』
『うん…まだ。
学区の小学校の見学、まだ先なんだ』
『そうなんだ…あのね、
コウくんのママの耳には
入れておいた方がいいかと思って。
なつみちゃんのお母さんなんだけどね』
『あ、あぁー…いや、別に…』
正直私はもうなつみちゃんも麻ワンピも
顔を見るのも嫌です。
子供に罪はないと頭では分かってても、
奇声を発して追いかけられ傷つけられた
コウの事を思い出すと、
声も聞きたくないです。
なので例え噂話のような
本人のいない場面でも、
あの親子の話すらしたくありませんでした。
でもそんなのお構いなしに話してくる、
理々華ちゃんのお母さん。
『なつみちゃんね、
4月から転校するんだって!』
…今、なんと?
『だから、2年生から
他の学校に移るんだって!
なつみちゃんから逃げたくて
転校を考えてるなら、
コウくん転校しなくても
いいかもしれないよ!』
転校?なつみちゃんが?どこへ?
私はさっぱり意味が分かりませんでした。
自分の娘を“軽度”と語り、
軽度=支援学級、
重度=支援学校 、
という認識しかない麻ワンピが、
まさか支援学校へ転校させるわけがない。
それになつみちゃんは
学区もここの小学校。
5年生(普通級)に姉も通ってるんです。
持ち家だと言ってたし、
引っ越すのも考えづらい…。
『…ごめん、転校ってどこへ?
さっぱり意味が…』
『それがね…
これは本当に言いにくいんだけど…』
さらに小声で
理々華ちゃんのお母さんは言いました。
『離婚するんだって。
ご実家が県外で、地元に帰るみたいよ』
…離婚?!!
私はしばらくの間、
瞳孔が開きっぱなしでした
←あ、これは瞳孔無いですね。
