子供の頃、おばあちゃんの家に行くのが楽しみでした。


母の実家は、いま私の父が住んでいる岡山県の瀬戸という町です。


おじいちゃんが、材木商で下駄やの裏に大きな工場がありました。


そのおじいちゃんは、材木を切る機械で、指の先を何本か無くしていました。


いつも電動のこぎりの音がしていて、何人かの職人さんが働いていました。


そこで下駄を作り、お店の椅子に座って、おばあちゃんが下駄の鼻緒を


すげていました。



だんだん時代が変わり、下駄やさんから、運動靴や、ハイカラな靴を売るよ


ようになりましたが・・・・。



小学校時代の靴はいつも、おばあちゃんの店で貰っていました。


奥の部屋は、積み上げた運動靴や、バレーシューズのゴムの匂いがしていました。


遊びに行くと、よくお店を手伝って、お客さんの買った靴などを包むのが


大好きでした。


おばあちゃんは仏さんのように優しい性格で、私はおばあちゃんが


大好きだったのです。


おばあちゃんは時々、刻みタバコをキセルに詰めて吸っていました。



材木商のおじいちゃんは、満作さんと言って、結構面白いキャラクターだったみたいです。


いつも瀬戸から、私たちが住む総社市まで、カブのバイクの後ろに


桃の箱を積んで来てくれました。バイクでは40分くらいかかったと思います。


今は工場は無くなってしまいましたが、子供の遊び場としては最高でした。


また父の実家のお寺も懐かしいです。母の実家からは車で1時間くらいの


ところです。


その当時、紙芝居を見せる自転車のおじさんも来ていました。


私も近所の子供たちに混じって、アメを買う代わりに、紙芝居を見るのが


楽しみでした。


父のお寺の天井は大きな梁があって、土間がありました。


その土間には昔の薪で料理するおくどさんがありました。


風呂はもちろん薪で沸かす五右衛門風呂でした。


正月になると、餅つきをして、たくさんの人が集まっていました。


夏には、寺の境内に、夜店も並んでいて、にぎやかでした。


今は、どちらも改築して昔の面影はありませんが、心に残っている懐かしい


風景です。


いつか絵に描いて残してみたい心の中のノスタルジアです。